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金木犀

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夏合宿

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須田に全部とまでは行かなくても、どうして自分がDomを恐れるのかだけは話そうと思い須田の姿を探した

海の方に行っても姿は見つからず、電話にも出ないため誰かに聞こうと、ビーチバレーをしている集団に近づくと、上條の姿が見えた

「上條さん!」

「ん……?あ、彰人。どうしたん?」

ボールを打ち合う輪から外れて彰人の方に寄ってきてくれた上條は1人で立っている姿に首を傾げながら聞いてきた

「須田さん、見ませんでしたか?電話したけど繋がらなくて」

「須田さん?あー……腹減ったって言っとったらから、海の家行ったかもしれへん」

彰人の質問に少し考えるそぶりをしてからそう答えてくれ、上條の言う通り海の家の方へ向かってみることにした

「ついて行こか?」

1人で行くのを心配してくれたのかそう言ってくれる言葉に首を振って、1人で砂浜を横切り海の家へと向かった

いくつか並ぶ海の家はどこも賑わっていて、須田の姿はなかなか見つからなかった

暑さもあり喉の渇きを覚えて、1番近場の海の家で何か飲み物でも買おうと思い建物の中に入ると、食事をする人で混んでいるだけで、レジ前は思ったよりも空いていた

ラムネを買って店の外に出ると、突然右後ろから肩を掴まれた

「お前、彰人?」

背筋が凍る聞き慣れた声に体を硬直させながら振り向くと、そこには5年間の悪夢を強いてきた翔と同級生たちの姿があった

「っ……か、かける……くん」

無意識に震える声で翔たちの姿を見ると、記憶よりも少しだけ伸びた身長で自分のことを見下ろしていた

「久しぶりじゃん、お前高校卒業してから携帯全部変えたろ。勝手に逃げやがって」

口元は笑っているが、目の奥に光はなく口調は怒気を含んでいた

「……っ」

言い返すことができず視線に囚われて固まっていると、翔に突然手首を掴まれ海の家から離れたところへ移動し始めた

「は、離して!!」

「うるせぇよ、Come来い

須田のPlayとは違うただの暴力的なCommandに身が竦み、震えながらついていくとその後ろを同級生たちがついて歩いてきた

「そうだ、彰人パーカー脱げよ……ちゃんと外してないよな?」

歩いていた足を止めて翔が振り向くと、彰人が羽織っていたパーカーのジッパーを無理やり下ろし左肩を露わにした

「はっ……、逃げたくせにちゃーんと俺があげたCollarは着けてんだな、いい子いい子」

須田に言い出せずにいた彰人を過去へと縛り付ける左腕の枷をみて、翔は昔と同じチェシャ猫のような笑みを顔面に広げた

「彰人、遊ぼうぜ……久しぶりに俺らと」

「い、嫌だ!もう、翔くんたちとのPlayはしない!僕にちゃんとしたパートナーがいる!!」

悲鳴のような声で、須田のことを想いそう言った瞬間、目の前のDomの目つきが変わった

「は?てめぇは俺のおもちゃだろうが……逃さねぇよ」

Glare視線によって恐怖心に支配され、逃げることができずに腕を掴まれたまま翔たちについて行くしかなかった
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