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訓練
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しおりを挟む「……わかった、そのふたつは使わない。これからPlayしていく中で好き嫌いがまた変わったら教えてな?」
そう言って記入を終えると、自分でまとめたルーズリーフと睨めっこを始めた
数分の後満足したのか用紙を彰人に手渡し、過不足ないか確認するように言われた
「……大丈夫、かな?」
改めて書き出してみると、自分はDomにとって手間のかかるSubなのではないかと不安になる
「須田さん……?僕とのPlay面倒くさくないですか?僕の方がSubなのに全然須田さんの自由度ないし……」
仮の状態だとしても面倒なパートナーと思われなくて、そう言葉にするうちに勝手に涙が溢れてきた
元から大きな目を涙で濡らしながらそう尻すぼみに口にすると、須田は目を丸くしながら彰人に呼びかけた
「彰人、Come」
涙で濡れた不安そうな顔のまま須田のそばに行くと、体格差のある小さい体を抱き上げるように膝の上に乗せた
「GoodBoy……心配しなくて大丈夫だから……面倒臭いなんて思わないし、言ったろ?俺はお前がちゃんとしたパートナーを見つけられるようになるまでずっと護るって」
つい先ほど決めたRewordの約束を全て守ってくれるように、抱きしめ背中をさすってくれる須田に彰人は抱えていた不安を全て流し出すように涙を溢した
「僕、ちゃんといい子にするから……だから……捨てないで……」
悲痛な声でそう呟く彰人に、須田は抱き締める腕に力を入れた
「捨てたりなんかするわけねぇから……側にいるから……」
向き合うように抱えられたまま抱きしめられ、何度もそう言ってくれる須田に甘えるように彰人は体を預け涙が引いていくのを待つしかなかった
「ごめん、なさい」
ようやく涙腺が元の状態に戻り、ごしごしと濡れた顔を袖口で拭うと、擦ったことで赤みを帯びた顔のまま謝った
「謝んなくていいって、この間も言ったろ?」
わしゃわしゃと頭を撫でられて、きゅっと目を瞑ると撫でていた大きな手が頬に移動するのを感じた
「こんな赤くなるまで擦るなよなぁ……」
目元のあたりを親指で優しくなぞられて、心配するような声でぼやかれる
「今日はこんなもんにして、しばらくくっついてていい?」
膝の上で抱えられたままそう言われ、頷くと膝の上ではなく間に挟まるようにして座らされた
頭の上に顎を乗せられて座ると、背中から須田の心音と体温が伝わり、また泣きたくなる程安心してしまった
しばらくの間その体勢のままテレビを見たり、会話したりして時間を過ごし窓の外が暗くなる頃須田は彰人の家を後にした
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