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訓練
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しおりを挟む講義を終えて、荷物をまとめていると前で教授と話していた須田が彰人の所へと歩いてきた
「おつかれ」
「お疲れ様です、びっくりしました」
笑いながら挨拶してくる須田に素直に伝えると、須田は得意気に笑って見せた
「いやぁ、絶対驚くと思ったから言わないでおいたんよな。思った通りの反応で大満足よ俺は」
そう言って頭をくしゃくしゃと撫でてくる須田の手が気持ちよくて目を細めると、隣に座っていた学生が羨ましそうに見ていることに気がついた
「あ、あの!俺……山本の同級生で佐藤っていいます!その……えっと……」
突然自己紹介を始めたと思ったら、陶酔しているような表情をする同級生に、彼がSubとしてDomの須田に惹かれていることを感じで、心臓がちくりと痛むような気がした
「お、佐藤ねよろしく!講義で分からないことあった?」
「あ、えっと……ちょっと詳しく聞きたくて今度お時間もらえないですか?」
佐藤の熱狂的な視線に気がついたのか須田は少しだけ困ったような表情を浮かべた
「んー、ごめんな?俺あくまでも補助だからさ、分かんないとこあったら教授に聞いたほうがいいよ」
優しい須田のことだから時間を作るんだろうなと思っていた彰人は、やんわりと断る姿に驚いた
「簡単な部分だけでもいいので2人でご飯食べながらこの後話聞けないですか?」
本能的に強いDomに惹かれて、少しでも関係を持ちたいというように食い下がる彼に須田は困り顔を強くし、同時に彰人の心臓はより強く痛んだ
「ごめんな、俺この後サークルの方に行かないと行けないから。それに……パートナーいるから君が望んでることに応えてあげられないわ」
再度断りの言葉と一緒にはっきりと拒絶の言葉を伝えると、佐藤はショックを受けた顔を露わにして、もごもごと謝罪と挨拶の言葉を述べると荷物をまとめてその場を去っていった
「あの……よかったんですか?」
須田がはっきりと拒絶してくれたことで、自分が思ったよりも安堵してしまったことに後ろめたさを感じながらそう聞くと須田は優しい笑顔を見せた
「なーに言ってんの、パートナーの目の前で口説かれたらそりゃ断るっしょ。まあ、目の前じゃなくても断るけど」
その言葉に少しだけ心臓の鼓動を速めながら頷くと、一緒にサークル室に行くために席を立った
「彰人、今日サークルの後時間ある?」
「え、はい。ありますよ?」
「よし、じゃあ今日からちょっとずつ訓練始めてみっか」
歩きながら須田にそう言われ、いよいよ始まるのだと実感する
「まあ、今日はセーフワード決めて、ほんでお互いどういうことがしたいのか確認するだけにしような」
須田はそう言って背中を伸ばすように伸びをすると、一緒にいつもの道を歩き出した
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