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日常
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しおりを挟む「彰人?」
健康センターから出て、サークル室に向かう間じっと押し黙って歩く自分のことを見かねたのか横を歩く須田が名前を呼んだ
「……どうしたんですか?」
振り向くと、少しだけ眉尻を下げて困ったようなような顔をする須田がいた
「結果、来週聞きに行く時俺も一緒に行っていい?」
結果を聞きに行くだけだったため自分1人で行くのだろうと思っていたからか、その言葉に少しだけ驚いた
「まあ、受けようって言ったの俺だし……それに、これからどうやって訓練していけばいいかアドバイス欲しいしさ」
心配してくれていることが伝わるその声音に、彰人は自然と頷いた
「はい、一緒に来てくれると嬉しいです……」
返事をすると、下がっていた眉尻はいつもの位置に戻り、今度はくしゃりと笑顔を見せてくれて
「よし、そしたらサークル室で甘いもん食べてちょっと休憩したら帰るか」
そういうと2人は一緒にもう何度も歩いたサークル棟までの道を歩いて行った
それからあっという間に1週間が経ち、再び健康センターに行くと、前回と同じく渡が診察室で待っていてくれた
「こんにちは、それじゃあ前回の検査結果と今後の訓練などについてカウンセリングをしていきたいと思います」
2人が診察室に入り、椅子に座ると渡は話し始めた
検査結果は思った通り、Subの中でも影響を受けやすい低いレベルであることを告げられた
「影響を受けやすいと言っても、デメリットばかりでは無くて、SubDropと呼ばれる危険な精神状態になった際、信頼しているDomが側にいれば精神的な後遺症を残すことなく正常状態に回復することができます」
説明の中で、彰人がどんどん暗い表情になっていくのを見かねたのか渡はフォローするようにそう話した
「1番山本さんにとって良いのは、心から信頼できるパートナーを見つけきちんとClaimをすることです、あとは対処療法になりますがきちんとした病院に罹っていただって抑制剤を飲むことで体質にもよりますが耐性をつけることも可能なので検討してみてください」
渡はそういうと、大学周辺にある専門病院を紹介する冊子を手渡してくれた
「それから須田さんにお願い、なのですが……」
山本へのカウンセリングが終わると、渡は須田の方に向き直った
「山本さんに対して訓練を行うにあたってですが……1回のCommandに対して常に十分なCareを行うことを心がけてください。この程度で大丈夫だろう、という認識ではなくきちんと安心できている、という状態の確認が取れるまですることを約束してください」
「わかりました」
その後はいくつか2人に対してのカウンセリングがあり、1時間ほどかけて話を進めていった上で診察が終了した
「何か不安なことがあればいつでも来てくださいね」
渡から最後に優しい笑顔でそう言われて、2人は健康センターを出た
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