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日常
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しおりを挟む「それでは検査を始めていきますね、このヘッドホンを耳に当てて目を閉じていただいていいですか?」
渡はそう言って機械に繋がったそれを手渡してくれ、言われた通りに彰人は耳につけた
「これからDomのレベルが高い順にCommandを流していきます。須田さんは1回毎にRewordとCareをお願いしますね」
「わかりました」
須田は横で頷くと、彰人の頭を優しくもう一度だけ撫でてくれた
「山本さんは、検査の間少しでも不調を感じたらすぐに仰ってください、その場で検査は中止します。検査の間は目を閉じて音に集中してもらった方が正しい検査結果になるので、可能であれば目を閉じて受けてください」
「……はい」
「ここまでで不明点などありますか?」
渡は淡々と検査内容について説明を行っていき、最後に確認するために2人のことを見ながら聞いてきた
「大丈夫です」
須田が先にそう言って、彰人も横で頷くと渡は検査を始めるため機械の方に向き直った
「それでは始めますね」
その言葉と共に、ヘッドホンから電子音でのカウントが始まった
ーー3,2,1………Standup
録音されたDomのCommandを聞いた瞬間、全身がびくりと震えそのまま座っていた椅子から彰人は立ち上がった
「Good Boy……大丈夫か?」
渡が須田に手で合図を送ると、すぐに横で須田が立ち上がって頭を撫でてくれた
「……はい」
緊張で額にじわりと汗が浮かぶのを感じながら、頷くと須田は耳につけていたヘッドホンを外して、彰人の肩を優しく触りながら自分の方に向き直るようにゆっくりと動かした
「大丈夫、よくできてるよ」
須田の言葉にこくりと頷くと、次の検査に移るためもう一度ヘッドホンを耳につけた
「大丈夫そうですか?」
渡は優しい口調で山本の意思を確認し、次のレベルに落として再び音声を流した
そこからは淡々と音声を聴き、須田にRewordを受け再び音声を聞くという検査を繰り返し、約5分ほどで全ての検査が終了した
当初の予想通り、流されたCommandの全てに対して、彰人は逆らうことができず指示通りの行動を繰り返す結果となった
「……っ……」
わかっていたとしても、自分がSubの中でもより耐性が無く自我が弱いということを認識せざるを得なくなり、無力感に襲われた
「脳波を再度確認してからきちんと結果をお伝えしますので、1週間後また来ていただけますか?」
わかりきった検査結果になるとはいえ、精密な測定結果を聞くため、再び健康センターの予約を取ると須田と連れ立ってその場を後にした
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