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日常
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しおりを挟む「……あの……それは……?」
今から何が始まるのか見当もつかず彰人が不安そうにいうと、彼女は優しく微笑みながら振り向いた
「ご存じかもしれないですが、Subの方のレベルというものはDomほど明確に測ることが難しくなっています。そのため、今から山本さんにはさまざまなレベルのDomのCommandを聞いていただき、どのレベルまで耐性があるか確認をさせていただきます」
「あー……それは録音されたCommandを聞くってことですか?」
渡の話で横に座っていた須田が少し怪訝そうに聞き返すと、渡は同意の意味で頷いた
「……それってどんなCommandが使われるんですか?」
DomからのCommandに対して、未だに恐怖感が拭えない彰人はより不安そうな声をあげる
「基本的なものですよ、Stand upとSitを交互に聞いていただくだけです」
「……わかり、ました」
「それなら、一個Commandを聞くごとに俺にCareさせてもらえないですか?」
体が緊張でこわばっていく自分を見かねたのか須田は先にそう言ってくれ、渡ももちろんと言わんばかりに頷いた
「彰人、Come」
須田は座っていた椅子を立ち上がると、俯いていた彰人の頭上から声を掛けた
「……?」
「Hug」
気恥ずかしさはありつつも、腕を広げて待ってくれている須田の目の前に行き、背中に手を回して体をくっつけて見せた
「Good Boy、大丈夫、安心しな?言ったっしょ、俺が守るって」
身長差があるからか体をくっつけるとちょうど耳の辺りが心臓の高さになり、須田の声と共に心音が聞こえる
頭を撫でながらRewordをしてくれる心地よさに目を閉じて、規則的なリズムを刻む心音を聞いていると少しずつ落ち着いてきた
「できそ?」
「はい、大丈夫です」
彰人が落ち着くまで抱きしめ続けてくれた須田が少しして声をかけてくれると、腕の中で頷いて視線を合わせるために腕の中で顔を上げた
「急に上目遣いしてくるじゃん、可愛いなおい」
身長差から自然に上目遣いになった彰人に須田は少しだけ照れたようにはにかんだ
つられて彰人も少しだけ顔を赤らめると腕の中から離れ、検査をするために渡に向き直った
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