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日常
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しおりを挟む須田は彰人に約束した通り、あの日から少しずつ訓練をするための準備を始めた
「彰人はさ、正確に自分がどのレベルにいるのかわからないんだよな?」
普段待ち合わせる学生協前ではなく、珍しく学部棟の前で約束をし須田と合流すると、目的地は告げず何処かへと歩きながらそう質問された
「はい……明確にレベルがあるっていうのはこの間聞いて知りましたし……」
「そっか、じゃあまずは自分がどのくらいのレベルなのかちゃんと知っておいた方がいいわな」
後を追いかけるように歩きながらそう返すと、須田は特に表情も変えずにそう言った
しかし、同級生たちをはじめ入学当初に揉めたDomや知り合って間もない須田のCommandに抵抗できないことから、彰人は薄々自分が人よりも弱いSubなのだろうと思っていた
「よし、着いた」
須田がそう言って歩みを止めたのは、キャンパス内にある学生健康センターと呼ばれる、構内の医療機関だった
「え、ここでレベル測れるんですか?」
「そ!まあ、大学生くらいになるとパートナー見つける奴も多いからさ。そういう奴らがちゃんとCareできてるかとか確認するために第二次性の専門医が常駐してんのよ。てか、入学時に配られる紹介冊子にも載ってるけどな?」
入学を決めた時も、入学してからも一気に環境が変わったこともあり全く目を通していなかったことに気が付かされ、自分の無知に頬を赤らめた
「……全然見てなかったです」
「まあ、興味ないと見ないわな」
軽くその言葉を受け流すように須田は笑うと、彰人の背中を軽く押して施設内に入るように促した
「あー、予約してた須田です」
中は簡易的なクリニックのような作りになっており、受付に一言伝えると直ぐに診察室のような部屋に案内された
「はじめまして、本日お話を聞かせていただくダイナミクス専門医の渡です」
部屋に入ると白衣を着た女医が座っており、簡単に自己紹介をされた
「俺が今回予約させてもらった須田で、こっちが山本です」
須田が2人まとめて紹介をしてくれ、彰人は人見知りもあり隣で小さくなっていた
「こんにちは、須田くんのことはよく知ってます。何かと耳に入ることも多いですから」
渡と名乗った女医はそういうと、今度は彰人の方に視線を向けた
「今日は、山本さんのレベルを確認したいんでしたっか?」
確認をするようにそう聞かれ、小さく頷くと渡も同じように頷き何やら準備を始めた
彼女は診察室の中に電子機器をいくつか運び入れ、ボタンやつまみを回し何かの設定を始めた
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