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出会い
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しおりを挟む他愛もない話をしているうちに、目的地であったサークル室に到着したのか、3階にある部屋の前で2人は歩みを止めた
「ほい、到着。ここが俺らゲームサークルのサークル室な」
須田がそういうとガチャリと音を立ててドアを開けた
明るい廊下から室内に目をやると、電気をつけず窓からの日光だけで照らされた部屋は一段と暗く見え、目が慣れる一瞬の間真っ暗に感じた
「いるなら電気つけなよ」
福部がそう言って、入り口付近にあるスイッチを押すとすぐに室内が明るくなり、窓際に2人先輩が座りオセロをやっていた
「あ、お疲れっす」
「お疲れ様、あれ……?」
中にいたのは彰人にサークルについて紹介してくれた河野ともう1人の先輩だった
「なーに2人して後輩とっ捕まえて連行してきてるんすか」
見知らぬ先輩は2人のこと呆れたように見ながらそう言うと
「こっちにも事情があんのよ」
須田は彰人のことを近くの椅子に座らせてくれながら、さっきあった出来事を簡単に説明した
「それは……嫌な思いしましたね、無事……ではないですけど酷い事にならなくてよかった」
河野は眉尻を下げて困ったような顔をしながら、説明をしてくれた時と同じように紙コップにリンゴジュースを入れて持ってきてくれた
「あ……ありがとうございます」
人見知りもありおどおどと口籠もりながら礼を述べて紙コップを受け取ると、両手でコップを握りながらじっとしていた
「山本くん、飲みな?」
須田は飲まずにじっとしている彰人のことを見かねたのか、そう声をかけてくれた
「あ、はい……」
須田に言われて、小さくこくこくと喉を鳴らしながらジュースを半分ほど飲むと、乾き切っていた喉に甘さと酸味が一気に押し寄せてきた
「配ってたお菓子大量に残ってっから、適当にくいな?」
名前も知らない先輩は、お菓子の入った籠をテーブルの端から彰人のほうまで滑らせてそう言った
「福部さん、上條は?」
「ん?ああ、さっき話したもう1人の子送りに図書館行ったからもうすぐ戻ってくるんじゃないかな」
そっかと短く返しながら、先ほど自分で滑らせたカゴに手を伸ばして一口サイズのチョコを見つけると、パクリと口の中に放り込んでいた
「何かゲームしよっか、せっかく5人もいるし」
「お、天才、なにする?トランプ?」
福部がそういうと、須田は即座に賛同し棚にあったゲームをいくつかテーブルの上に並べていった
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