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悪夢
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しおりを挟むまともなケアがない上にほぼ毎日Commandを使われ、彰人は少しずつ自分の心が壊れて行くのを感じていた
Domからに限らず周りの視線に怯え、毎日元から小柄な体を丸めてより小さくなりながら学校生活を日々送っていた
「彰人、今日放課後いつものとこな?」
午前中の授業が終わると同時に逃げるように弁当を持って教室から逃げようとすると、入り口付近に座っていた彼もとい翔が腕を捕まえてニヤリと笑っていった
チェシャ猫のようなその三日月型に笑う目に、喉の奥がひゅっと震えた
「……おね、がい……もうやめて……?」
振り絞るようにそう懇願すると、苛ついたように舌打ちをして睨んで来た
「は?何言ってんの?お前みたいなSubがDomの俺に逆らうわけ?」
そう凄みながら睨みつけてくる目はDom特有の支配するglareとなって彰人の心を恐怖で満たした
「……っ……ごめん、なさい……」
反射的に目線を下げそう謝ると、腕を掴んでいた右手を離し撫でるというよりは鷲掴みにするように頭を掴み視線を合わせてきた
「そうそう、そうやって大人しく俺に従ってな?」
そう言ってまた三日月型に目を細めて彰人を解放すると、自分は友人たちと昼食を取るために席を立った
その場から翔がいなくなったことで逃げるように教室を離れると、屋上に続く日差しの入らない階段の隅で弁当を広げた
恐怖で箸は進まず、ほとんど残して弁当を閉じると、震える体を自分自身で抱きしめるように縮こまり昼休み終了のチャイムまで目を閉じて眠りについた
放課後にならないでほしいと思えば思うほど時間は早く進み、あっという間に放課後になると、逃げる隙も与えず翔を始め複数人のDomに囲まれ旧校舎へと連れていかれる
「今日さ、いつもと違うCommand使ってみてぇんだけど」
旧校舎の教室に入ると同時に翔がそういうと、取り巻きの4人はにやにやとしながら翔の意図を図ろうと次の言葉を待っていた
「彰人、Come」
「……っ……」
幾度と使われた簡単な Commandに逆らえず翔の目の前に行くと、褒めるかのように笑いながら頭を撫でてきた
本能的な充足感に心臓が震えたのも束の間、耳を疑うコマンドが聞こえて少し伏せていた目を上げた
「Strip」
「……っ、やだっ……!」
セーフワードを決めてもらったわけでもないため、なんの抑止力にもならないその言葉は虚しくボロボロの教室に落ちていった
「は、なに?聞こえなかったわけ?Strip」
再び繰り返されたCommandにもう一度逆らう精神的な体力は残っておらず、半ば意思とは関係なく制服のボタンを外して行く自分の体に絶望を覚えた
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