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第1章 奴隷少女を購入します。
幕間:もしも、この時点で日本に戻されていたら。Happy_End
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迷宮の帰り、6階層から入口にワープしたら、いつもとは違って視界が歪んだ。
俺は突然の出来事にビックリしたが、そこは子供の頃によく親に連れられて遊びにきていた近くの公園だった。
俺は何が起こったのかは、すぐに理解できたが、なぜ起こったのかは、理解できなかった。
周りを見渡すと公園の入口から警察官が走ってきた。
「君、銃刀法違反だから、ちょっと署まで来てもらうよ」
その時初めて、俺は異世界の格好そのままで、右手には細剣、左手には木の盾を持っていることに気が付いた。
一瞬逃げ出そうと思ったが、顔を見られている以上、逃げてもバレるだろうと思った。
「もしかして、君は……緑野君かい」
なぜ初対面のはずの人に素性がばれている?
「そうですが、どうして……」
「3日前から捜索願いが出ていて、警察官を動員して近くを探していたんだよ」
警察官は無線機で捜索相手を保護した旨を連絡していた。
「今回は身元もわかっているので、家に送ろう。後日事情聴取をさせてもらうよ」
俺は異世界で3週間ほど過ごしたはずだが、日本ではたったの3日しか経っていなかったようだ……。
俺は家に帰るなり、両親にこの3日間の空白を詰問された。
俺は正直に異世界に行っていたと説明したが、もちろん誰も信じてはくれなかった……。
そして俺は精神異常者ということで、隔離病棟に入れられることになった……。
――――――――――
1年後……。
異世界など存在しないと周りが言っているので、異世界など存在しないのだろう……。
あの出来事はきっとゲームのしすぎで、妄想していたのだと思うようになっていた。
病院から退院することができた俺は、1年ぶりに家に帰ることになった。
退院なのに、誰も迎えにきてはくれなかった……。
1年ぶりに訪れた公園にはキレイな芝生があった。
俺は昔から日向ぼっこが好きだ。
暖かくて、太陽の光が心を浄化してくれるような気がする。
ゆっくり寝転がっていると、透き通った声が聞こえた。
「やっと会うことができました。この世界まで追いかけてくるのに、とても長い時間がかかってしまいました」
声のする方を見ると20歳ぐらいだろうか……? とても髪の長いキレイな女性が涙ぐんでいた。
スカートから伸びている足はとても細く、どこかネコを思わせる顔立ちがとても印象的だ。
でも俺はこんなにキレイな女性を知らない。1度見たら絶対に忘れない自信がある。
しかし、彼女の言葉を聞く限り、彼女は俺を探していた……?
「どうやら、この世界では私の方が年上のようですね」
この世界? 何を言っているのだろうか? 年齢がひっくりかえることなど、ありえない。
「まだわかりませんか。このリボンを見ても思い出せませんか」
言われて初めて俺は、彼女の長い髪の先端付近に結ばれた蝶々を思わせるリボンを見つけた……。
たしか夢の中で俺はネコにリボンを……?
「それではこの首に付いているチョーカーではどうですか」
首の白さとチョーカーの黒さのコントラストがとても色っぽかった。
夢の中でネコの首にチョーカーを付けたような……?
たしか名前は……。
「リ、リズ……」
「そうです。リズールです。あなたが異世界で私を導いてくれたから、何年もかかりましたが、迷宮を踏破して願いを1つ叶えてもらいました」
異世界……? 異世界は存在しないはずじゃ……?
「私の願いはただ1つです。ご主人様と一緒にいられること。それを願った時、私はこの世界の知識といっしょに、この公園に飛ばされました」
ご主人様? 俺が? この女性の?
「今日、この時間に公園にくれば、ご主人様に会えるから、それまでは絶対に顔を見られてはいけないと言われていました」
そうだ。思い出した。なんで俺はあの異世界の出来事を妄想だと思っていたんだ。そしてなんでリズのことを忘れていたんだ。
6階層から帰る時に日本にワープさせられたんだ。
「リズ、ありがとう。やっと全てを思い出せたよ。おいで。〈肉の串焼き〉は用意できないけど、また一緒に日向ぼっこをしよう」
「はいニャ~」
リズはあの頃を懐かしむように、スリスリしてくるのだった……。
俺は突然の出来事にビックリしたが、そこは子供の頃によく親に連れられて遊びにきていた近くの公園だった。
俺は何が起こったのかは、すぐに理解できたが、なぜ起こったのかは、理解できなかった。
周りを見渡すと公園の入口から警察官が走ってきた。
「君、銃刀法違反だから、ちょっと署まで来てもらうよ」
その時初めて、俺は異世界の格好そのままで、右手には細剣、左手には木の盾を持っていることに気が付いた。
一瞬逃げ出そうと思ったが、顔を見られている以上、逃げてもバレるだろうと思った。
「もしかして、君は……緑野君かい」
なぜ初対面のはずの人に素性がばれている?
「そうですが、どうして……」
「3日前から捜索願いが出ていて、警察官を動員して近くを探していたんだよ」
警察官は無線機で捜索相手を保護した旨を連絡していた。
「今回は身元もわかっているので、家に送ろう。後日事情聴取をさせてもらうよ」
俺は異世界で3週間ほど過ごしたはずだが、日本ではたったの3日しか経っていなかったようだ……。
俺は家に帰るなり、両親にこの3日間の空白を詰問された。
俺は正直に異世界に行っていたと説明したが、もちろん誰も信じてはくれなかった……。
そして俺は精神異常者ということで、隔離病棟に入れられることになった……。
――――――――――
1年後……。
異世界など存在しないと周りが言っているので、異世界など存在しないのだろう……。
あの出来事はきっとゲームのしすぎで、妄想していたのだと思うようになっていた。
病院から退院することができた俺は、1年ぶりに家に帰ることになった。
退院なのに、誰も迎えにきてはくれなかった……。
1年ぶりに訪れた公園にはキレイな芝生があった。
俺は昔から日向ぼっこが好きだ。
暖かくて、太陽の光が心を浄化してくれるような気がする。
ゆっくり寝転がっていると、透き通った声が聞こえた。
「やっと会うことができました。この世界まで追いかけてくるのに、とても長い時間がかかってしまいました」
声のする方を見ると20歳ぐらいだろうか……? とても髪の長いキレイな女性が涙ぐんでいた。
スカートから伸びている足はとても細く、どこかネコを思わせる顔立ちがとても印象的だ。
でも俺はこんなにキレイな女性を知らない。1度見たら絶対に忘れない自信がある。
しかし、彼女の言葉を聞く限り、彼女は俺を探していた……?
「どうやら、この世界では私の方が年上のようですね」
この世界? 何を言っているのだろうか? 年齢がひっくりかえることなど、ありえない。
「まだわかりませんか。このリボンを見ても思い出せませんか」
言われて初めて俺は、彼女の長い髪の先端付近に結ばれた蝶々を思わせるリボンを見つけた……。
たしか夢の中で俺はネコにリボンを……?
「それではこの首に付いているチョーカーではどうですか」
首の白さとチョーカーの黒さのコントラストがとても色っぽかった。
夢の中でネコの首にチョーカーを付けたような……?
たしか名前は……。
「リ、リズ……」
「そうです。リズールです。あなたが異世界で私を導いてくれたから、何年もかかりましたが、迷宮を踏破して願いを1つ叶えてもらいました」
異世界……? 異世界は存在しないはずじゃ……?
「私の願いはただ1つです。ご主人様と一緒にいられること。それを願った時、私はこの世界の知識といっしょに、この公園に飛ばされました」
ご主人様? 俺が? この女性の?
「今日、この時間に公園にくれば、ご主人様に会えるから、それまでは絶対に顔を見られてはいけないと言われていました」
そうだ。思い出した。なんで俺はあの異世界の出来事を妄想だと思っていたんだ。そしてなんでリズのことを忘れていたんだ。
6階層から帰る時に日本にワープさせられたんだ。
「リズ、ありがとう。やっと全てを思い出せたよ。おいで。〈肉の串焼き〉は用意できないけど、また一緒に日向ぼっこをしよう」
「はいニャ~」
リズはあの頃を懐かしむように、スリスリしてくるのだった……。
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