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Chapter.5
Episode.16
しおりを挟むピッ
ティンコーン!
あ!
やべっ、チャージしてなかった
ピッ
最近向こう行く頻度が高い…
最早『本州大』生だな 笑
頭良く見られっかな…
ブブブブブブ…
ん?
カチャッ
「知らない番号だ」
誰だろ…
ピッ
「もしもし…」
『もしもし、岡崎陽介さんの携帯でしょうか?』
「はい、そうですけど…」
『はじめまして、わたし坂口すみれといいます』
「『さかぐち すみれ』さん…」
『「画伯」の妻です^^』
「ああ!光一さんの!」
『陽介さん、お時間ありますか?』
「大丈夫ですよ」
『実は光一さん、「曲の変更箇所」を
データで送ろうとしたみたいなんですけど、
ウチ今ネットが繋がらなくって』
「はい」
『それで光一さんに、
プリントアウトしたものを届けるよう、
お使いを頼まれちゃったんです 苦笑』
「そうなんですね 笑」
『ケッツァールで待ち合わせて、
お渡ししても大丈夫ですか?』
「はい、大丈夫です^^」
『よかったぁ~!』
『わたし30分くらいで着くと思うので』
「わかりました、30分後にケッツァールですね」
『ありがとうございます!
お待たせしちゃうと思いますが、
なるべく早く着くようにしますので』
「大丈夫です、僕もこれから向かうので
無理せずいらしてください^^」
『ありがとうございます!では後ほど』
「はい、のちほど」
「…ふぅ」
「さすが治氏のダチ、まだ手を加えるとは」
…画伯の奥さんかぁ
「…今日はコーヒー飲も!」
飲めっかなぁ…
ピッ
俺、本州大生っす ( ̄ー+ ̄)キラリ
カランコロ~ン♪
「いらっしゃいませ^^」
カチャッ
…案外飲めんな
いや、むしろ美味いとさえ感じる…
俺も大人の階段登れてんだぁ~
「岡崎、陽介さんですか?」
「あ、はい!」
「坂口すみれです^^」
「あ、はじめまして」
「なんか急にごめんなさい」
「いえいえ」
「いらっしゃいませ^^」
「あ、わたし今日は直ぐ出ちゃうんで」
「ここの会計、坂口でツケといてください^^」
「かしこまりました^^」
「なんかすんません」
「いえいえ!」
「お呼び立てしたのはわたしのほうですし」
「コーヒーくらい奢らせてください^^」
「じゃあ、ゴチになります^^」
「ちなみに何をお飲みになってたんですか?」
「あ」
「『El Salvador』です!」
「くす 笑」
「陽介さん、スペイン語できるんですか!?」
「いえ、この発音だけ
お店の人に教えてもらいました 笑」
「そういうことでしたか 笑」
「じゃあわたしからもそれっぽく聞こえる
…ポルトガル語をお教えしましょう 笑」
「笑」
「『Obrigado』^^」
「オブリガートって音楽用語にありましたよね」
「音楽用語のほうはイタリア語だそうです^^」
「ほーぅ」
「…『Obrigado』」
「そうです^^」
「ちなみにその『Obrigado』ってのは…」
「ありがとうっていう意味です^^」
「なるほどぉ」
「ってことは、すみれさんが使うときは
『Obrigada』のほうですね^^」
「『Obrigada』…」
「スペイン語やポルトガル語って、
男性名詞と女性名詞があるんで、
すみれさんの場合、女性名詞の
『Obrigada』を使ったほうが自然なんです」
「イタリア語に「オブリガート」があるのも、
スペイン語もポルトガル語もイタリア語も同じ、
ロマンス語群なんだからだと思います」
「『ロマンス語』なんてあったんですか!?」
「ラテン語の口語が起源とされてる言語なんですよ」
「陽介さん、色々知ってらっしゃるんですね」
「大学で言語学も学んでるんで」
「そうなんですね!」
「じゃあいろんな言語を喋ったりできるんですか?」
「いえ、日本語以外は全く 笑」
「そうなんですね 笑」
「あれです、英文法の先生が
英会話できないのと一緒です 笑」
「分かりやすい喩えです 笑」
「光一さんの言う通り、面白い方なんですね^^」
「なんで今は『El Salvador』と
『Obrigado』しかちゃんと発音できません 笑」
「くす 笑」
「あ!」
「すっかり話し込んでしまいました 苦笑」
「はは 笑」
ガサゴソッ
「これ、光一さんに頼まれてたものです」
「ウチに可愛らしいクリアファイルしかなくって…
なんかすみません」
「いえいえ、気にしないでください^^」
「じゃあわたし行きますね」
「『Obrigado』^^」
「あ」
「こちらこそ!」
「えっと…『Obrigada』です^^」
「他のコーヒーも試してみてください^^」
「あ、でも」
「大丈夫です、ここのツケ
光一さんが払うやつなんで 笑」
「あはは 笑」
「じゃあ遠慮なく^^」
「では失礼します^^」
「はい、また」
「ありがとうございました^^」
カランコロ~ン♪
「すいませーん!」
「はい、ただいま」
「はい」
「えっと『El Salvador』のほかに、
オススメをお聞きしたいんですけど」
「そうですねぇ…苦いのが苦手で
『El Salvador』がお好みでしたらぁ」
「『Guatemala』がお勧めですね^^」
「ぐぁて、まらぁ?」
「日本だと『グアテマラ』とか
『ガテマラ』って呼ばれてますね^^」
「あ!グアテマラ!」
「マヤのティカルとか
アンティグアとかある国ですよね」
「よくご存知ですね!」
「ウチもアンティグアのものを使ってます」
「僕、失われた文明とか超好きで」
「大学でそっちの勉強もしてるんです」
「そうなんですねぇ^^」
「ウチのお店の名前も、
グアテマラの通貨単位なんですよ♪」
「スペイン語だと全然違うんですね」
「日本語だと、発音がどうしても
平坦になりがちですよね、国の名前って」
「本来だと『マ』にアクセントがきて
綴りが『G・u・a』なのでそこの発音も
『グア』と『ガ』の中間になるんです♪」
「なるほどぉ」
「それで『ぐぁてまらぁ』ってなるんですね」
「ちょっと惜しいです 笑」
「『Guatemala』ですね^^」
「うわっ、違うのはわかるけど、
もうどこがどう違うのかわかりません 笑」
「ふふ 笑」
「では少々お待ちください^^」
「『Obrigado』^^」
…やっぱ希ちゃんってすげーんだなぁ
「…ってか光一さんもすげーな」
バサッ
ふむふむ…
「そうすると、トップノート減らしたほうが
バランスが取りやすくなる、か」
おお、そこは気付かんかった
「お待たせしました^^」
「あ、ありがとうございます」
ずずっ
…やばい、グァテマラァめっちゃ好みだ
バサバサッ
「光一さんのは…帰ってからやろう 笑」
今はグァテマラァを堪能する!
ずずっ
「…ふぅ」
「至福の時だぁ~」
「ありがとうございました^^」
カランコロ~ン♪
ケッツァール通いの本州大生っす ( ̄ー+ ̄)キラリ
グァテマラァ飲める、大人です( ̄ー+ ̄)キラリ
カランコロ~ン♪
「お客様~!」
「お?」
「よかった、間に合って^^」
「?」
「お忘れ物です^^」
「あ!すいません…」
「いえいえ^^」
「じゃ、お店戻りますね!」
「わざわざ、ありがとうございます!」
「いえいえ~^^」
カランコロ~ン♪
「…ってかこの封筒なんだろ」
俺んでないのは確かだけど…
「あ!」
光一さんのやつの…おまけ?
「あ!」
まさか日頃の感謝を込めて的な?
(ΦωΦ)フフフ…
「幾ら入ってんだろ…」
「・・・」
そりゃあお金なわけないよなぁ~!
(´・ω・`)ショボーン
じゃあ…なんだ?これ
カサコソッ
18禁画像
「ぬぉ!」
…隠し撮り?
日付まで入ってる…
グレイスのアイデア出してた頃だ
「ん?」
あっ!
これ光一さんじゃん…
カサコソッ
18禁画像
「ぬぉ!」
…こっちもだ
日付は…先月だ
こっちも光一さんだし…浮気の証拠写真ってやつか…
どくっ!
…ってちょっと待て
どく どく
「…これって…理紗?」
え!?ちょっと意味わからん…
どくっ どくっ
バサッ
18禁画像
じーっ
「…こっちも、理紗だ…」
どくんっ! どくんっ!
背中の黒子、おんなじだし…
しかもどっちもフツーのマンションだから…
光一さんちで密会!?
どくんっ! どくんっ!
「こういうとき、誰に相談したらいいんだ…」
「え!?」
…ってか他にまだあるんだけど
…光一さん、他の人とも浮気してるのか!?
「・・・」
どくっ どくっ
「…ふぅ」
カサコソッ
盗撮画像
「え…」
どくん! どくん! どくん!…
…なんで理紗と拓也が並んで歩いてんだよ
「ごくっ…」
バサッ
盗撮画像
「ラブホ…」
…俺、どこにも帰れねぇじゃん
やべ、頭が追いつかなくなってきた…
う゛っ…なんか吐きそう…
な、なんか意識が…
遠のいて…
なんかもうわからん…
プツッ
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