『Love Stories。』

日向理

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Chapter.5

Episode.13

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「バカ正直なのは昔から変わってないね」

 「え…」

「あとその、
『恥ずかしい台詞』をへーきで言えるところも」


「あなたの想像通り、私は
『落合健治』になる前のあなたを知っています」

「っていうか、私達、まだ恋人同士ですよ?」

 「え!?」

「この免許証に記載されてる
 生年月日は、これで合ってます」

「自分の生年月日は覚えてるのに、
 大切な恋人の私を忘れるなんて」


「…ふぅ」

「その『大切なひと』ってのは、単なる浮気相手」
「10年以上も行方くらましといて、
『心がぴったりとくる』?」

「なぁに浮気相手に本気になってんだか 冷笑」

 「でも本当にそのひとは
「なんで私が会いたいって言ったと思う?」

 「それは大切な話が
「『落合健治』を殺すため」

 「!?」


「あなたの中の、『落合健治』を殺すため」


 「ころ、す、…って」
「大丈夫、ホントに殺すような、
 馬鹿な真似はしないわよ 笑」

「仕事失う気なんて更々ないし」



「自分が元々『落合健治じゃない』って事は、
 ちゃんと理解してるでしょ?」

 こ くり

「じゃあ『落合健治は仮のもの』だってのも、
 ちゃんと覚えてる?」

 「・・・」

「ふっ、そこは覚えてないんだ 嘲笑」

「…ホンット都合よく忘れてるんだね」


ガサゴソ…

「これ、なんだかわかる?」

 「こ、せき…」

「そう、戸籍謄本」

「本当のあなたの」


「『落合健治』ってのはね、
 迷子になったバカのために、
 仮で作ってもらってるものなの」

「迷子はね、身元が判明したら、
 おうちに帰らなくちゃいけないの」
「本人の記憶が戻ろうが戻るまいが、
 そんなのは関係なく」

 「・・・」

「この免許証も、あなたが今住んでる場所も、
 あなたの居場所や…その『大切なひと』も」
「ぜーんぶがチャラになるの」

「あなたは『岡崎陽介』さん」

 「・・・」

「私は迷子になった陽介さんの、
 身柄を引き取りにきた恋人」

「本州大の吹奏楽団にあなたがやってきて、
 目の前でたくさーん魔法を見せてくれて」
「とん風でミックス定食を一緒に食べて、
 一人暮らしをし始めたあなたが合鍵を渡した相手」

「私はあなたの恋人の、
 杉下里紗だよ?『よ・う・す・け』さん♪」

 「!!」


「ふふ、やっと起きたぁ^^」
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