『Love Stories。』

日向理

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Chapter.5

Episode.9

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                   「やっぱり…」




        「あのぉ、すみません」

「はい、何でしょう?」

  「ここの病院って、いつ頃からあるんでしょうか?」

「なになに!」
「あなた、刑事さんとか探偵さんとか何か?」
            「いや
「でもそういう職業って大概男の人だものね 笑」
           「え、ええ」
「この病院、最近建ったように見えるでしょ~」
「でもね、これってね…改装しただけなの~ 笑」

「院長が代替わりしちゃってね、
 息子が院長になった途端、やれ改装だぁ
 経費削減だぁとか…会社経営みたいになっちゃって」

  「じゃあここの病院は、以前からあったんですね」
「もう4、50年は経ってるんじゃないかしら」

「ここだけの話ね、私がここで
 お掃除のおばさんやっていられるのも
 …私が前の院長の初恋の相手だったからなのよぉ!」

         「そうなんですね^^」
   「でもお話してる印象で素敵な方だなぁって
    感じていたので、その話も納得できます^^」
「あらぁ~、そう?」
「今じゃこんなおばさんだけど、これでも昔は
 …あなたには負けるけど 笑
 結構わたし、モテてたのよぉ~!」

    「私もお話しして、『米山さん』のこと、
       好きになっちゃいました 笑」
「あら!やっぱりあなた刑事さんとかなにか?」
「よく私の名前分かったわねぇ~」

      「胸元にそう書いてあったので^^」
「あ!そう言えば名札つけてたんだわ、私!」
「あらやだ、恥ずかしい 笑」

       「名刺お渡ししておきますね、
     私の方だけ名乗らないのも失礼ですし」
「はい、頂戴します^^」

「えっとぉ…片岡ぁ…」

         「暢子です^^」
「これで『のぶこ』って読むのぉ!」
「『ようこ』さんって呼びそうになっちゃったわ!」

       「よく間違えられます 笑」

「病院って守秘義務があるから、患者さんの事って
 やっぱりなかなか聞けないですよねぇ」
「そうねぇ」
「息子が院長になってから余計に厳しくなったから」
「さすがの私も口にチャック!なんだけどね 苦笑」

「…ちなみにそのぉ患者さんのお名前は?」


  「今はもう入院も通院もしてないんですけど」

       「『落合健治』っていう
「パク様!!」

        「ぱ、ぱくさま?」

「韓流スターみたいなイケメンの人でしょ?
 その『落合健治』さん」

      「ああ!それで『パク様』^^」
      「はい、その落合健治さんです」

「今はパク様、元気でいらっしゃるの?」


    「はい、今はピアノを弾いてて音楽活動を
「やっぱり!」

          「やっぱり?」

「入院中もねパク様、『ピロピロピロ~ン♪』って
 ピアノを素敵に弾くもんだから、み~んなパク様に
 メロメロになっちゃってたのよぉ~」

       「そうだったんですね 笑」

「ちなみに暢子さんは、パク様とは
 どういったお知り合い?」

   「実は私、今、パク様と…お付き合いしていて」

「あらま!そうだったのぉ~!」
「美男美女のカップルさんじゃない~!」


           「はは 恥」

「だからここにも来て…」
「ということは…ご結婚されるとか…」

          「いえいえ!」
   「まだそういった話ではないんですけど 恥」




「という事はそういう可能性もある、ご関係なのね!」

        「え、ええ、まぁ 恥」
「羨ましいわ~」


「・・・」

「暢子さん、ちょと!」
「こっちこっち!」
       「あ、はい」




「…ひとつだけ、教えてあげるわ」

  「え!でもそれだと院長先生に…」
「いいのいいの!」
「息子が文句言ってきたら元院長にチクるから 笑」




「私たちも本人も警察も、

彼が『どこの誰かは知らないまま』、

ここで「落合健治」になったの」



「…これで大丈夫かしら?」

  「はい!ありがとうございます!」

「『パク様ファン』としては、
 幸せになってもらいたいもの^^」

  「ありがとうございます」
  「なんだかますます米山さんの事、
   好きになっちゃいました^^」

「そう言ってくれると嬉しいわ!」
「私もパク様の近況を知って安心したし」
「私も暢子さんの事
 お友達のように思ってきちゃったわ 笑」

  「長い時間お引き留めしてしまってすみません」

「いいのいいの!」
「掃除のおばさんがいつどこで掃除してるかなんて、
 だーれも気にしないんだから」
「空気みたいなもんよ!空気!笑」

  「ふふ ^^」

「また気が向いたら顔だしてね!」

  「はい、また」

  「じゃあ今度は『パク様』と一緒に」

「あら!」
「そしたら事前に連絡ちょうだいね、
 おめかししないといけないから」

  「ふふ 笑」
  「了解しました^^」


              「失礼しまーす^^」
「はいはーい!^^」



                  「ふうぅぅぅ」

「やっぱり私、『聞き上手』の才能があるのかしら 笑」
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