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Chapter.5
Episode.8
しおりを挟む「ふうぅぅ」
「…ちょっと砂丘をナメてました 苦笑」
「僕も最初来た時、ナメてました 笑」
「あの先を越えると海なので、
てっぺんからの眺めが超いいですよ^^」
「…あのてっぺんですか」
「…が、頑張ります」
「ふうぅぅ」
「砂がすぐ靴の中に…」
「もうちょいです^^」
「ちなみに健治さんは鳥取のほうの砂丘へは…」
「行ったことありますよ」
「あそこに比べたらここはまだまだ小さいほうです」
「まだまだおっきいんですか、あっちは…」
「あそこは行きはみんな元気で」
「帰りはみんな疲弊してますからね」
「往来する人の、げっそりした顔を見ながら進むので
…途中でちょっと後悔します 笑」
「しかもすり鉢状になってるので、
ここよりもアップダウンが激しいです」
「うわぁ…、一気に行く気が失せました 笑」
「それに見合うだけの景色が待ち構えてますからね」
「行って暫くは、もう行かないって思ってたん
ですけど…最近また行きたくなってます 笑」
「健治さんって」
「並ぶ苦労は苦手なの、に」
「ふぅ」
「こういう苦労は」
「へいきっなんですね」
「多分じっと待ってるのが苦手なんだと思います」
「あともうちょいです」
「よいっ
しょ」
「ふうぅぅ」
「…しんど」
「お疲れ様でした^^」
「段々いい感じにグラデーションになってきましたよ」
「え?」
「…って」
「キレーイ…」
「まだ全然お日様は出てますけど」
「あれが沈み始める頃は超キレイですよ」
「でも日が沈んでからもキレイで、『夕暮れ』とか
『トワイライト』にあたる時間帯なんですけど」
「沈んだらはいおしまーいって帰る人が多いんですが、
その時間帯を三脚立てて待ってる人もいるんですよ」
「へぇ~」
「今はまだ夕焼けの空ですがちょうど日の沈む直前を
黄昏時って言って、誰でも簡単に絵になる写真が
撮れちゃうからマジックアワーとも呼ばれてます」
「『誰そ彼時』、ですか…」
「少し降りた所で、座ってお話しませんか?」
「いいですよ、今日の目的はそれですもんね」
「…ふぅぅ」
「…私が誰だか、思い出せましたか?」
「いえ、全く」
「・・・」
「でも僕なりに確信は得られました」
「…確信?」
「あなたが僕の、思い出せない、思い出しだくない
過去に関わってるっていう事」
「…思い出し、たく、ない・・」
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