『Love Stories。』

日向理

文字の大きさ
上 下
85 / 132
Chapter.4

Episode.3

しおりを挟む
「んでその、付き合ってる人となんかあったの?」

 「んと…どうやって説明すればいいんだろ」

   「ノンが説明できないような内容だったら、
    多分ここにいる全員わかんないぞ」

 「うん、わかってる…」

「「わかってる」言われた 笑」

 「あ!ごめんごめん」

  「それで?」

 「その人ね、昔のことを全然話さない人なの」

  「昔のこと?」

「なんか過去に嫌なことがあったとか?」

 「最初の頃にね、
 「過去は詮索されたくない」みたいな事を言ってて」
 「私もね、過去になんにもない人の方が少ないって
  思うほうだし、もし何か深い傷を抱えてたら、
  それをわざわざ抉るような事もしたくないから」

 「その時はあまり気にせずにいたんだけど…」


 「だんだん話す機会も、会う頻度も増えて」


 「…でも昔のことを全然話さないの」

   「ん?それは詮索されたくない
    からなんじゃないの?」
 「ううん、『過去』じゃなくて『昔』のこと」


   「ゔっ…やばい、
    ホントに分かんないぞ(; ・`д・´)」


 「それこそ今日のこともね、高校時代の友達に
  会ってくるって言ってあるんだけど」

 「自分の高校時代とか学生時代とか、そういう、
 昔の思い出話みたいなものを全然話さなくって」

 「「ご両親はどうしてるの?」って聞いても、
  曖昧な感じで逃げちゃうし」

  「そうなんだ…」

 「でね、彼が出てるライブを観に行った時に、
  彼の過去を知ってる女性が現れて」
 
 「それで彼、その女性が現れてから
  急に不安な様子になっちゃって…」


 「その女性が現れたことで、私自身に
  危機感みたいなのが芽生えて、
  それをきっかけに付き合うことになったんだけど」

  「だけど?」

 「「自分の全部をきちんと伝えたい」って
  その時に言われて」

 「「でもその前に、その女性に会って
  確かめておきたい」って言われちゃって…」

   「俺には全然わからん…
    みんなが内容をそしゃくするまで待つ!」

  「『全部をきちんと伝えたい』ってことは、
   結構大きなものを、まだノンには
   明かしてないってことだよね?」

 「うん」

  「で『会って確かめておきたい』ってことは、
   何らかのカタチでその女性がその、
   大きなものと関わってるんだけど、
   彼自身その確証はないってことだよね?」

 「…うん」


「おお…さすが恋愛の天才…」


 「灯里さんにもね、その事を相談したの」
 「そしたら「自分で調べてみればいい」って」

 「「別に相手の悪事を暴こうってわけではなく、
  その人への、愛情からの行動なんだから、
  悪いと思わなくても大丈夫」って」

  「そうだね、わたしも聞いてて同じ事思った」
  「それで、1人じゃどうしたらいいか
   分かんないから集合かけたんだね」

 「うん」

 「翔くんから、希と沙織が
  久しぶりに会ったって話を聞いてたから」

 「どうしようってなった時に、
  真っ先に2人の顔が浮かんだの」

   「お!俺も観音様のお役に立ててたか!」

 「うん、翔くんのおかげ」

「なにその『観音様』って
  「そこは今、膨らまさない」

「はーい…」

  「先ず手がかりとして…
   その付き合ってる相手の名前を知りたいのと…
   その、過去を知る女性の情報って、
   ノンなんかつかんでる?」

 「…うん」


 「今付き合ってる人はね、『落合健治』っていうの」

  「!?」

   「あれ?」
   「なんか聞いた事あんな、その名前」

   「!」
   「ほら、沙織が最近聴いてるアーティストの!」

  「ノン、もしかしてその人…
   ピアノ弾いてたりする?」

 「うん」
 「さっき話した『過去を知る女性』が
  現れたライブで彼、サポートでピアノを弾いてて」

  「サポートってことは…もしかして」

  「…それ、Mika.のライブ?」

  「そう、Mikaさん」

   「ほら、来た!」
   バンッ!

  「テーブルを叩かないの!」

「嫁に怒られてる 笑」

  「すみません、マスター、うるさくしちゃって…」

          「いいよいいよ気にしないでぇ」
             「客はあんたらだけだし」
        「あんたらの話、聞いてて面白いし」


         「のんちゃんって言ったけかな?」
 「あ、はい」

          「たかが喫茶店の店主だけどよ、
 もし俺に何か出来そうなことあったら協力すっから」
 「あ」
 「ありがとうございます」

  「マスター、超優しい」

「だから私、ここの常連なんだよぉ」


   「あ!マスター!」
                     「あ?」

   「ワッフル、もう3枚くらいもらえますか?」

「3枚て 笑」
      「お前さん、相当気に入ったんだな 笑」
        「時間かかるからちょっと待ってな」

   「あ!あとブレンド2つと…なんだっけ」

 「アンティグア」
   「ってやつと…緑川は?」

「いつもの」
   「をお代わりで」
                    「はいよ」
                「気長に待ってな」

   「あざーす!」



  「あともう一個」
  「これはわたしの勘なんだけど…」


  「Mika.のアルバムの後ろ姿って、もしかして…」


 「…うん、私」

   「マヂで!?」

  「やっぱり…」
  「どーっかで見たことあるなぁって思ったら、
   まさかノンだったとは…」


   「あー!!」
   「ちょいちょい地方行ってたのって…
    コレだったかぁー!」

 「うん」

「なになになに?」
「私1人だけ置いてきぼりなんだけど」

  「ちょっと待って」
  「今見せてあげるから」

  ガサゴソ…



  「ほら、このジャケット」


「あ、このアルバム最近話題になってるやつだ」
「知ってる!」

「…ん?」

「ってことはこの後ろ姿が…」

じーっ

「うわー!ホントにノンだー!スゲー!」

   「緑川、ムッチャ時差あんぞ」
   「まだ中南米にいんのか? 笑」

「ってかまんまノンじゃん 笑」

「なんで気付かなかったんだろ」

 「その写真を撮ったのもね、健治さんなの」

  「え!?そうなんだ!?」

  「じゃあ今までのMika.のアルバム全部、
   ノンがモデルで健治さんが撮ってたってこと…」

 「うん…」

   「すげー…」

  「うん」
  「まさかここで、Mika.最大の謎が
   解明されるとは思わなかった…」

「なになになに?」
「『最大の謎』って?」

  「Mika.のアルバムってね、
   注目される前の最初のアルバムからずっと、
   おんなじ後ろ姿が写ってて」
  「アルバムのクレジットには、
   誰が撮ったかモデルは誰か一切書いてなくって」

  「『あの後ろ姿は誰?』ってのが、
   ずっとファンの間では謎なままなの」

「で」
「それがノンで、撮ってたのが今のお相手だったと…」

  「そういうこと」

「すげーー!」

   「だから時差あり過ぎだっちゅうねん!笑」

「他の人が知らない秘密を知ってるって、
 なんかワクワクすんね!」
「しかもそれがノンなんだよ!」

「沙織ぃ」
「久しぶりのノン、とんでもない破壊力だね…」

  「うん」
  「…ちょっと凄すぎて笑えてきた 笑」

「はは 笑」
「わかる気がする」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『手のひら。』

日向理
現代文学
*スマートフォン向けに最適化を行いました(2022/6/13) 連載期間:2021年12月14日〜2022年5月10日 火・木・土曜0時更新、全64回 お話のスジはありますが、真っ新な気持ちで楽しんでいただけたらと思います。 『手のひら。』はト書きの全く存在しない、全く新しい読み物。 『文字を楽しむ』という意味でジャンルは『文楽(ぶんがく)』と命名しております。 小説とは異なり、読み手の想像力によって様々に質感が変化をします。 左脳・理論派の方には不向きな読みものですが、 右脳・感覚派の方はその、自由に構築できる楽しさを理解できるかもしれません。 『全く新しい読み物』なので抵抗感があるかもしれません。 お話も、一度読んで100%解るような作りに敢えてしておりません。 何度も反芻してゆくうちに、文楽(ぶんがく)ならではの醍醐味と、 自分の中で繰り広げられる物語にワクワクする事でしょう。 『手のひら。』は自身のホームページ( https://osamuhinata.amebaownd.com )にて 昨年に既に連載を終えたものです。 *文楽(ぶんがく)は、フォント・文字サイズ・センタリング等 リッチテキスト形式を駆使した作りになっております。 本サイトでは形式上、簡易版となっていますので、予めご了承ください。 スマホでの閲覧は専用アプリにて、文字サイズを小に調整してください。 (擬似センタリングを多用するため)

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

コンプレックス

悠生ゆう
恋愛
創作百合。 新入社員・野崎満月23歳の指導担当となった先輩は、無口で不愛想な矢沢陽20歳だった。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。 2021/3/10 しおりを挟んでくださっている皆様へ。 こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。 しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗) 楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。 申しわけありません。 新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。 修正していないのと、若かりし頃の作品のため、 甘めに見てくださいm(__)m

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...