『Love Stories。』

日向理

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Chapter.3

Episode.20

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  「その女、ストーカーとかですよ、絶対!」

 「…でもなんだか知り合いみたいだったし」

  「ストーカーって、妄想で知り合いになって、
   恋人だと信じて疑わない人もいる
   って言いますし!」

「うーん…」
「アタシはそのあとの、
 健治さんの挙動の方が気になるなぁ…」

「『熟年夫婦』の旦那が、
 いきなり暢子の手ぇ握って救いを求めたんだよ」
「思い出したくない過去とか
 ありそうな感じじゃない?」

 「最初の頃健治さんとお話した時、
  過去は詮索しないでってニュアンスの事を
  言われたんで」
 「私自身、人の過去には拘らないので、
  その時は了承したんですけど」

 「あまりに動揺してる健治さんを見たら、
  私もなんだか不安になっちゃって」
 
  「健治さんって昔の話、全然しないんですか?」

 「うん、全く」

  「いいなぁ~」

「へ?」

  「私の彼氏なんてすーぐ、昔の自慢話ばっかり」
  「少年野球でバンバンホームラン打ってたとか、
  中学で第二ボタンの取り合いになったとか」

  「「ふーん」しか言えない話
   ばっかするんです!」

  「しかも、自分がもらったラブレターとかを、
   自慢げにわたしに見せるんですよ!」
  「もう全然意味わかんない!」

「はいはい、愛菜ちゃんも色々あって大変だねぇ」
「そのいちご大福食べていいから」

  「やった!」

  ぱくっ

  もぐもぐ…
  「んふふ~♡」

「幸せそうに食べるねぇ、愛菜ちゃん」

  「はい!幸せです^^」

「その切り替えの早さが羨ましいよ」
「ねぇ、暢子ぉ」

 「はい、本当に」

「本人が話したくないなら、自分で調べちゃえば?」

 「でも…」

「そういうところが真面目すぎんのよ、暢子は」

「健治さんの事、
 本気で好きなのは誰が見ても分かるし」
「ねぇ、愛菜ちゃん」

  「はい!暢子さん、
   健治さんにマヂぞっこんです!」

「別に相手の悪事を暴こうっていう
 わけじゃないんだし」
「不安な気持ちを少しでも取り除いてあげたい
 っていう、愛情からの行動なんだから」
「どんな過去でも、
 健治さんへの気持ちは変わらないんでしょ?」

 「…はい」

「どんな過去でも受け入れられる覚悟があんなら、
 きっと健治さんの不安を拭い去ってあげられるよ、
 暢子なら」

  「暢子さん、私も応援します!」

 「ぷっ 失笑」
 「愛菜ちゃん、ありがとう^^」

  「灯里さんなんかわたし笑われちゃいました!」

「口の周り、粉まみれだもん 笑」

  「あはは…笑」

 「灯里さんもありがとうございます」

「いいのいいの、
 暢子からは結構いろんなアイデア貰ってるから」
「でも探偵雇ったりとかは、やり過ぎだからね 笑」

 「ふふ 笑」
 「自分のできる範囲で、ですね^^」

  「わたしもできる範囲で協力しますんで、
   こき使ってください!」

 「ありがとう^^」

「じゃあ、アタシが早速、
 愛菜ちゃんを扱き使おうかなぁ」

  「え!?」

       「仕事部屋の整理手伝って」

                ガチャッ!

  「だから整理じゃなくって大掃除…」

              「なんか言ったぁ?」

    「いえ!なにも!」




 「…ふぅ」
 「どっから調べよ」

   「あ!こっちの仕事疎かにしたらダメだかんね」


 「はーい」
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