生意気な後輩が嫁になりたがっている

喫茶店

「んん～」

今日は、珍しく練習の無いオフの日だ。
体育館が、イベント事で使われるため、部活は休みとなった。
学校も休みで、部活も休みというのは非常に珍しい。
そんな日、神門煉は何をしているのかというと…。

「もう12時か…」

昼まで寝ていた。

「今日はみんな仕事か」

神門煉は、3人家族で兄弟はいない。
両親は、共働きで土日関係なく仕事だ。

「今日のお昼何にしようかなぁ」

冷蔵庫を開け、献立を考える。

「あぁ…。思ったより残って無いなぁ」

神門は、ダイニングテーブルに乗せられた書置きに目を通す。

『煉、ごめん！！食材買い忘れてたから、これでなにか買って食べてね！！』

「一万か…」

内心、渡しすぎだろと思いながら、外出の準備を始める。

5月とは言え、昼間はかなり温かい。
そんな彼の服装は、長袖のTシャツにジャケットを羽織る。
下は、紺色のジーンズだ。

「今から、何か買って作るのは時間かかるなぁ」

外食できる店を考え、そこに向かう。

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか」
「一人です」
「では、こちらの席へどうぞ」
「はーい」

神門は、喫茶店へと来ていた。
店内は、落ち着いた雰囲気で、店員もみんな若い。

「お決まりになりましたら、お呼びください」
「はーい」

神門は、メニューに目を通す。

「（何にしようかなぁ）」

何を食べるか考えていると…。

「煉先輩？」
「へ？」

神門の前に、霧崎が立っていた。

「相席してもいいですか？」
「いいけど、1人で来たのか？」
「はい。せっかくのオフなので、喫茶店でお茶でもしようかなって思って」
「なるほどな」
「そういう先輩は？」
「俺は、昼ごはんを食べに来ただけだぞ」
「そうだったのですね」

霧崎は、神門の向かい側に座り、共にメニューを見る。

「先輩って休みの日は何しているんですか？」
「家で寝てることが多いぞ」
「どこかに出かけたり、友達と遊んだりしないんですか？」
「行かないなぁ。なんか、遊ぶのも面倒くさいし」
「色々とルーズですねぇ」

2人は注文するのを決め、店員を呼ぶ。

「ご注文はお決まりでしょうか？」
「俺は、オムライスとアイスティーをお願いします」
「僕は、ガトーショコラとアイスコーヒーを」
「かしこまりました」

店員は、注文を承り、キッチンへと向かった。

「ここのお店ってよく来るんですか？」
「それなりにかな、味もクオリティも注文したものが早く出来るのも気に入っているから」
「ほぇ～」
「そういうお前はどうなんだ？」
「私は、たまに来る程度ですかね」
「そうなんだ」
「はい」

2人は、他愛のない会話を続ける。

「あの、先輩」
「んー？」
「これから時間ありますか？」
「何で？」
「買い物に付き合って欲しくて」
「面倒くさいなぁ」
「そこをなんとか」

霧崎は、買い物に付き合ってもらうよう神門にお願いする。

「分かったよ…」
「本当ですか！ありがとうございます！！荷物持ちが欲しかったんですよ～」
「最後のは思ってても口には出すなよ…」

その後、注文していたものが運ばれ、食事を済ませる。

「お支払いは別々になさいますか？」
「いえ、一緒で大丈夫です」
「かしこまりました。お会計は、1800円になります」
「はーい」

神門が霧崎の分も一緒に支払いを済ませる。

「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

2人は店をあとにする。

「先輩、レシート見せてください」
「何で？」
「私の分を先輩に渡すためです」
「面倒くさいからいいよ」
「でも…」
「俺の気まぐれだから。それより、買い物行くんだろ？」

霧崎は、神門の態度に驚くが、彼の優しさを受け取り、笑顔を見せる。

「もちろんです！！。先輩に選んで欲しいものがあるんですよー！！」