バッドエンドはもう来ない……

白い黒猫

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ゲームの開始

出会いの条件

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 リストを埋める作業は確かにクロスワードやのようなものだった。ハマるようでハマらない言葉を組みかえて一つの正解を探す。
 そしてこれは一年前十一が通ってきた道なのだろう。
 私が、七年間の繋がりを見つけるのには四ヶ月位の日数が掛かってしまった。
『やっぱりヒロコちゃんも同じ人間を繋いできたんだな』
 私なりに調べたリストに対しての、十一からの言葉はそれだけだった。
 七年間の繋がりと流れを把握したからと、クロスワードパズルのようにキーワードが出てきて何かヒントをくれるというものでもなかった。
 正解であろう現実を突きつけられるだけ。熱くこれに関して検証しあい語る話もない。
 
 東京行ってから、毎日三人で話す事は少なくなった。それぞれ個々で動き、七回毎に集まって報告し合うという感じになっている。
「そもそも俺と残刻はどうしてこんなにつながれたのだろうな? 場所か? タイミングか?」
 過去の被害者と連絡をつけようと二人も頑張っているが、こちらは全く進展していない。

 リストの半分が外国人ということも悩ましい。
『最初の接触は限定的なものだったが、それ以降は比較的自由に繋がれているよな』
 そして相変わらず十一と私は直で繋がれない。この時間を超えたやり取りの発生条件はなになのか? だからこうして合うとな久しぶりな気分がする。
『比較的近い血縁関係にある俺たちが特別だったとするか……』
「そもそも、お二人はどのような形で最初接触できたのですか?」
 私が聞くと二人は同時に悩む顔をする。
「特別な事はしていなくて、アトリエ入ったらいたという感じで」
『だな気がつくとお前が部屋にいて、ドアが開いた音もないのに』
「でしたら。ネット以外で繋がる他の場所ってないのでしょうか? 十一さんの自宅部分とか、あと不死原さんの家の方では見えないのでしょうか?
 何の要素がある場所で現象が現れるのか」
「残刻の家では問題なくどこでも会えるよ。
 しかし俺の家にお前がいた事はないよな」
 不死原の言葉に残刻は頷く。
『渉夢の家は……ここ最近も遊びに行ってるけど二人いた事はないぞ。この年のお前は基本一日お前は家に居る』
「俺の家にいつ来たんだ?」
『直近では二日前は一日、あと五日前も一緒に晩飯食った』
 不死原は記憶を辿っているようだ。
「一昨日は東京に行ってたからな。五日前は……」
「私と街の方で食事してましたよね。確か」
 私は不死原の調査に付き合ったり、食事に行ったりとして二日以上開くことなく会っている。その日は確か不死原のお友達の経営しているというフレンチレストランに行っていた。
『そういう意味では、あの日同じ場所にいたのも奇跡的なタイミングだったのかもな』
 一年ずれた時間の中でこの二人が同じ場所にいるというのは確かに凄い事だったのかもしれない。
「とりあえず明日試してみるか」
『だな~』
 他でも二人が会える場所があったのなら、他の年の人と接触できる条件が見え来るのかもしれない
 そういう期待込めて、検証する場所の条件を考える事にした。
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