上 下
22 / 27
ゲームの開始

出会いの条件

しおりを挟む
 リストを埋める作業は確かにクロスワードやのようなものだった。ハマるようでハマらない言葉を組みかえて一つの正解を探す。
 そしてこれは一年前十一が通ってきた道なのだろう。
 私が、七年間の繋がりを見つけるのには四ヶ月位の日数が掛かってしまった。
『やっぱりヒロコちゃんも同じ人間を繋いできたんだな』
 私なりに調べたリストに対しての、十一からの言葉はそれだけだった。
 七年間の繋がりと流れを把握したからと、クロスワードパズルのようにキーワードが出てきて何かヒントをくれるというものでもなかった。
 正解であろう現実を突きつけられるだけ。熱くこれに関して検証しあい語る話もない。
 
 東京行ってから、毎日三人で話す事は少なくなった。それぞれ個々で動き、七回毎に集まって報告し合うという感じになっている。
「そもそも俺と残刻はどうしてこんなにつながれたのだろうな? 場所か? タイミングか?」
 過去の被害者と連絡をつけようと二人も頑張っているが、こちらは全く進展していない。

 リストの半分が外国人ということも悩ましい。
『最初の接触は限定的なものだったが、それ以降は比較的自由に繋がれているよな』
 そして相変わらず十一と私は直で繋がれない。この時間を超えたやり取りの発生条件はなになのか? だからこうして合うとな久しぶりな気分がする。
『比較的近い血縁関係にある俺たちが特別だったとするか……』
「そもそも、お二人はどのような形で最初接触できたのですか?」
 私が聞くと二人は同時に悩む顔をする。
「特別な事はしていなくて、アトリエ入ったらいたという感じで」
『だな気がつくとお前が部屋にいて、ドアが開いた音もないのに』
「でしたら。ネット以外で繋がる他の場所ってないのでしょうか? 十一さんの自宅部分とか、あと不死原さんの家の方では見えないのでしょうか?
 何の要素がある場所で現象が現れるのか」
「残刻の家では問題なくどこでも会えるよ。
 しかし俺の家にお前がいた事はないよな」
 不死原の言葉に残刻は頷く。
『渉夢の家は……ここ最近も遊びに行ってるけど二人いた事はないぞ。この年のお前は基本一日お前は家に居る』
「俺の家にいつ来たんだ?」
『直近では二日前は一日、あと五日前も一緒に晩飯食った』
 不死原は記憶を辿っているようだ。
「一昨日は東京に行ってたからな。五日前は……」
「私と街の方で食事してましたよね。確か」
 私は不死原の調査に付き合ったり、食事に行ったりとして二日以上開くことなく会っている。その日は確か不死原のお友達の経営しているというフレンチレストランに行っていた。
『そういう意味では、あの日同じ場所にいたのも奇跡的なタイミングだったのかもな』
 一年ずれた時間の中でこの二人が同じ場所にいるというのは確かに凄い事だったのかもしれない。
「とりあえず明日試してみるか」
『だな~』
 他でも二人が会える場所があったのなら、他の年の人と接触できる条件が見え来るのかもしれない
 そういう期待込めて、検証する場所の条件を考える事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

バッドエンドの向こう側

白い黒猫
ホラー
佐竹愛花は2025年7月11日という一日をひたすら繰り返していた。 ループしている世界を認識しているのは愛花一人。その為世界は同じ事を誰もが繰り返しているだけ。 それなのに、なぜかある女性が出先から職場への帰り道に通り魔に殺されるというイレギュラーな事件が起きる。 それはこのループ現象の終わりの予兆なのか? 愛花はその女性の事が気になり調べていくことになる。それは愛花をより狂気の世界へと誘うことになるとも知らずに…。 11:11:11シリーズ  【バッドエンドはもう来ない】の別角度の物語となっています。 そちらを読まなくても楽しめる内容になってきます。 むしろそちらを知らない方が楽しめるかもしれません。 小説家になろうの方でも公開しています。

11:11:11 世界の真ん中で……

白い黒猫
ホラー
それは何でもない日常の延長の筈だった。 いつものように朝起きて、いつものように会社にいって、何事もなく一日を終え明日を迎える筈が……。 七月十一日という日に閉じ込められた二人の男と一人の女。 サトウヒロシはこの事態の打開を図り足掻くが、世界はどんどん嫌な方向へと狂っていく。サトウヒロシはこの異常な状況から無事抜け出せるのか?

優しくて美しい世界

白い黒猫
ホラー
 大好きな優しくて格好よいセンセイは私の自慢の恋人。  そんなセンセイに会うために、センセイの住む街へと向かったけれど……   貢門命架の愛が狂っていくのか? 愛で世界は狂っていくのか? 11:11:11シリーズ作品。 と言っても同じ設定の世界での物語というだけで、他の作品知らなくても全く問題ありません。

世界終わりで、西向く士

白い黒猫
ホラー
 ある事故をきっかけに土岐野 廻の世界はすっかり終わってしまう。  その為、引きこもりのような孤独な生活を何年も続けていた。  暇を持て余し、暇潰しのにネットで配信されているコンテンツを漁る毎日。  色々やって飽きた廻が、次に目をつけたのはウェブラジオだった。  適当な番組を選んで聞いた事により、ギリギリの平和を保っていた廻の世界は動き出す……  11:11:11シリーズ第二弾   他の作品と世界は同じなだけなので単体で楽しめます。  小説家になろうでも公開しています。

FLY ME TO THE MOON

如月 睦月
ホラー
いつもの日常は突然のゾンビ大量発生で壊された!ゾンビオタクの格闘系自称最強女子高生が、生き残りをかけて全力疾走!おかしくも壮絶なサバイバル物語!

おシタイしております

橘 金春
ホラー
20××年の8月7日、S県のK駅交番前に男性の生首が遺棄される事件が発生した。 その事件を皮切りに、凶悪犯を標的にした生首遺棄事件が連続して発生。 捜査線上に浮かんだ犯人像は、あまりにも非現実的な存在だった。 見つからない犯人、謎の怪奇現象に難航する捜査。 だが刑事の十束(とつか)の前に二人の少女が現れたことから、事態は一変する。 十束と少女達は模倣犯を捕らえるため、共に協力することになったが、少女達に残された時間には限りがあり――。 「もしも間に合わないときは、私を殺してくださいね」 十束と少女達は模倣犯を捕らえることができるのか。 そして、十束は少女との約束を守れるのか。 さえないアラフォー刑事 十束(とつか)と訳あり美少女達とのボーイ(?)・ミーツ・ガール物語。

意味がわかるとえろい話

山本みんみ
ホラー
意味が分かれば下ネタに感じるかもしれない話です(意味深)

処理中です...