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七月十一日の謎
一人の時間の過ごし方
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七回目の七月十一日は、二人でこのループ現象の検証に一日費やした。
この異常事態の検証して今の所分かっていることは以下の通り。
・零時超えたら世界は元に戻る。
・その日死亡した人でもループしたら元に戻る。
・私達以外はループしたという記憶はなく、毎回同じ行動を繰り返す。
・他の人は同じ行動しているとはいえ、感情もある普通の人間で接触したらちゃんと反応を返してくれる。
・過去にも誕生日が十一月十一日の人が七月十一日十一時十一分に事故で亡くなった人がいる。(現象と十一家との関係性は不明)
・十一という数字が事故に強く関係している。
分かったのはこれだけで、何故こういう現象が起こったのか? どうやったら脱出できるのかは不明のまま。
七回目の夜、私と不死原は連絡先を交換して一日を終えた。
八回目の十一日。不死原は亡くなった親戚である十一残刻がアトリエとして住んでいた家の方に何か情報がないか調べるというので私は六回目に利用したカフェで引き続き調べ物をすることにした。
竜巻、雷、高波、突風、地震。死亡した災害はバラバラでここには共通点はない。
私はため息をつき伸びをする。ディスプレイの字をずっと読んでいただけに頭も目も疲れた。
開いているYouTubeウィンドウが目に入る。事故のニュース動画を見続けていたので、サムネイルが悲惨な感じのものばかりになっている。
私は【俺たちの明日はどっちだ?】を検索する。
お笑い芸人【ヒューチャー】の番組。登録者数は五百人ちょい超えでわかるようにあまり売れてない二人組のコンビ。今見たら千人超えていて少し驚いた。
「古井~」「賀古!」と名乗って二人で同時に「でヒューチャーです」とコンビ名を告げて始まるこのチャンネル。賀古くんの方は少し顔もよいこともありこのコンビのファンの殆どが彼の方のファンだろう。少し毒舌だが漢気もあって、その彼がどうしようもなくダメ男の古井に鋭くツッコミを入れるという感じの漫才をしていて、劇場とかではそれなりに笑いはとっているが、TVでほとんど見かけない。
最近ドッキリ検証系の番組で、古井の方がダメ男、ゆるクズ男キャラが少しウケてテレビに出てくるくらい。それで笑いを取っているというより笑われている感じ。
そしてこのチャンネルは賀古の貧乏レシピ紹介コーナーが少しずつ評判になってきて視聴数を支えている。これが簡単で意外に美味しいので私も活用させてもらっていた。
それ以外は○○をやってみた系で、今更感なことを必死にグダグダとしているだけではっきり言うと寒いのが多い。
YouTube自体を見ていなかったこともあり、久しぶりにこちらのチャンネルを見たら古井のクズぶりをネタにした動画が増えているようだ。
【古井のゆるクズを暴け! 金銭関連編】
【古井はゆるクズどころではない 真正クズ】
一番新しい動画が『重大なお知らせ 賀古がキレた解散か』というタイトル。とうとうチャンネルがマンネリ化してきたYouTuberがやりがちなネタを使ってきたようだ。
【今日は不動産巡りをしたいと思います!】
賀古がそう宣言すると、古井は初めて今日の企画を聞いたのか少し驚いた顔をしている。
スマホが震える。LINEを見ると不死原からだった。
『昨日と同じホテルになってしまうのですが部屋をとっておきました。
よかったら寛ぐ場所としてお使いください』
【え?! なんで? 引っ越すの?
だったら俺の部屋もあるような広い部屋にしようよ】
古井はそう言ったら叩かれる。
【アホか! お前が住む部屋を探すんだ!
二、三日と言ってたのな?
もういい加減でていけ】
古井は少し慌て出す。
【えー、追い出されたら行くところないよ~】
【だから家を探すんだ!
それか実家に帰れ!】
【彼女と仲直りできるまで! 頼む!】
賀古に古井は縋り付いている。
私は苦笑してしまう。
昨日つまり一回前の今日に私達が泊まったホテルの部屋はとんでもないところだった。
どうぞと案内された部屋に私は固まった。複数人間が余裕でくつろげそうな広いリビングとキングサイズのベッドのある寝室のある部屋でおののくしかなかった。
いわゆるスィートルームというやつだろう。もしかして私のためにこんな部屋を予約したのかと思ったら、不死原の部屋もインテリアの雰囲気は違うものの似たようなものだった。
「あっ好きな方の部屋を選んでいただいてもいいですよ」と言われたので、地味な方を選んだが恐らく値段はどちらも変わらなかっただろう。
【実家に行ったらばあちゃんの介護も俺がしろって怒られるんだ】
【それはそれでちょうどいい! おばあちゃん孝行するチャンスだ! お前のお母さん腰痛めているしな】
『お気になさらずに。偉そうにお部屋取っときましたと言ったものの時間はリセットされてしまうから、俺の奢りとも言い難い状況です。
という事なので、お部屋で何でも思う存分注文して楽しんでください。
どうせなら、他の良い部屋用意すれば良かったですね。温泉のある場所とか。明日以降色々素敵な部屋探して楽しみますか』
確かに今日贅沢したところで、誰の懐も痛まない。
私はその返答につい笑ってしまった。そして気持ちは少し楽になる。今日は寛げそうだ。
それにしても、あんな部屋に泊まるのがこの男の普通なのだろうか? やはり彼は旧家の御曹司だったのだなと改めて感じた。
【えぇ、なんで俺が。ヤダよ。
頼むお前の部屋に、このまま置いてくれ!】
【イヤだね!
電気はつけっぱなしにする。
部屋を汚すだけで何もしないどころか、勝手に人の部屋にある食べ物を食う。
そして金をパクるそんな奴家においておけるか!】
【お金はちょっと借りだだけで……】
目をキョロキョロさせてモゴモゴと言葉を濁す古井。
【勝手にお金を持っていくのは窃盗と言って借りるとは言わない。
そして借りたというのなら次の給料日にしっかり返せ!】
【給料が減るの……あっいや、お金返すからもう少し部屋に置かせて!!】
【一週間以内に部屋を決めて出ていけ!
そして人としてまともになれ!
それが出来ないなら解散! これはもう決めた事だからな! 腹をくくれ】
【えぇええ】
【解散の話マジだからな!!】
「バカらし」
私は流れ続けていたYouTubeのチャンネルを止めて調べ物を再開することにした。
カフェの椅子はおしゃれだけど身体が疲れる。体力も最近落ちてきていることをヒシヒシと感じる。
適当なノートパソコンを買ってホテルで調べ物をするのも良いかもしれない。不死原からの連絡でなんか気が大きくなった私はそう考え近くの家電量販店の場所を調べる。
そして早めにホテルにチェックインしてテレビでニュースをチェックしながら快適な環境で作業をすることにした。
しかし、調べてメモを作ったものが日を超えて持ち込めない。私はまとめた資料の内容を脳に刻みつけるように再度熟読しているうちに一日は終わる。
もう自宅のように馴染んでしまった元のホテルに戻った私は、立ち上がりデスクの引き出しを開け、そこにあった便箋に今頭に入れた情報を書き写した。
それを更に清書して不死原と会った時に報告しやすいようにまとめ直してから一眠りする事にした。
この現象、意識の上ではずっと起きている状態になる為か精神的に酷く疲れる。脳が睡眠を欲するのか、昨日もパソコンに向かいながら時々意識を飛ばし眠ってしまった。
※ ※ ※
『ヒロちゃんありがとう落ち着いてきた!
俺の母親なんて、ダメだ、無理だ、そんな事ばかり言って、全然俺の事を理解してくれないんだ。
俺の夢も応援するどころかバカにしてるんだ
でもヒロちゃんが応援してくれるから頑張れる』
勉強は出来る真面目つまらない私にとって、夢を抱きそれ向かって進もうとしている恋人は魅力的に見えた。だから彼を肯定し様々なサポートもしてきた。
実際この時の彼は夢に直向きでその姿も素敵に見えていた。
※ ※ ※
嫌な昔の事を夢に見てしまったせいか、なんかモヤっとしながら目を覚ます。
なんとなくダルく身体を起こす。身体がなんとも重い。
大学時代のように半徹夜生活を続けられる程よく元気でもなくなっている。私は大きく深呼吸する。
時計をみると六時過ぎに。スマホを確認したら不死原から連絡が来ていた。
『昨日、こちらで少し面白い事がありました。
会ってお話した方が良いので其方にむかいます。何時頃伺えば宜しいでしょうか?』
私は一昨日と同じ時間に来てもらうことにして、不死原にを待つことにした。
この面白い事がかなり衝撃的な事だとも知らずに私はゆっくりお風呂に入り美味しいモーニングを楽しみ約束の時間までを過ごしていた。
この異常事態の検証して今の所分かっていることは以下の通り。
・零時超えたら世界は元に戻る。
・その日死亡した人でもループしたら元に戻る。
・私達以外はループしたという記憶はなく、毎回同じ行動を繰り返す。
・他の人は同じ行動しているとはいえ、感情もある普通の人間で接触したらちゃんと反応を返してくれる。
・過去にも誕生日が十一月十一日の人が七月十一日十一時十一分に事故で亡くなった人がいる。(現象と十一家との関係性は不明)
・十一という数字が事故に強く関係している。
分かったのはこれだけで、何故こういう現象が起こったのか? どうやったら脱出できるのかは不明のまま。
七回目の夜、私と不死原は連絡先を交換して一日を終えた。
八回目の十一日。不死原は亡くなった親戚である十一残刻がアトリエとして住んでいた家の方に何か情報がないか調べるというので私は六回目に利用したカフェで引き続き調べ物をすることにした。
竜巻、雷、高波、突風、地震。死亡した災害はバラバラでここには共通点はない。
私はため息をつき伸びをする。ディスプレイの字をずっと読んでいただけに頭も目も疲れた。
開いているYouTubeウィンドウが目に入る。事故のニュース動画を見続けていたので、サムネイルが悲惨な感じのものばかりになっている。
私は【俺たちの明日はどっちだ?】を検索する。
お笑い芸人【ヒューチャー】の番組。登録者数は五百人ちょい超えでわかるようにあまり売れてない二人組のコンビ。今見たら千人超えていて少し驚いた。
「古井~」「賀古!」と名乗って二人で同時に「でヒューチャーです」とコンビ名を告げて始まるこのチャンネル。賀古くんの方は少し顔もよいこともありこのコンビのファンの殆どが彼の方のファンだろう。少し毒舌だが漢気もあって、その彼がどうしようもなくダメ男の古井に鋭くツッコミを入れるという感じの漫才をしていて、劇場とかではそれなりに笑いはとっているが、TVでほとんど見かけない。
最近ドッキリ検証系の番組で、古井の方がダメ男、ゆるクズ男キャラが少しウケてテレビに出てくるくらい。それで笑いを取っているというより笑われている感じ。
そしてこのチャンネルは賀古の貧乏レシピ紹介コーナーが少しずつ評判になってきて視聴数を支えている。これが簡単で意外に美味しいので私も活用させてもらっていた。
それ以外は○○をやってみた系で、今更感なことを必死にグダグダとしているだけではっきり言うと寒いのが多い。
YouTube自体を見ていなかったこともあり、久しぶりにこちらのチャンネルを見たら古井のクズぶりをネタにした動画が増えているようだ。
【古井のゆるクズを暴け! 金銭関連編】
【古井はゆるクズどころではない 真正クズ】
一番新しい動画が『重大なお知らせ 賀古がキレた解散か』というタイトル。とうとうチャンネルがマンネリ化してきたYouTuberがやりがちなネタを使ってきたようだ。
【今日は不動産巡りをしたいと思います!】
賀古がそう宣言すると、古井は初めて今日の企画を聞いたのか少し驚いた顔をしている。
スマホが震える。LINEを見ると不死原からだった。
『昨日と同じホテルになってしまうのですが部屋をとっておきました。
よかったら寛ぐ場所としてお使いください』
【え?! なんで? 引っ越すの?
だったら俺の部屋もあるような広い部屋にしようよ】
古井はそう言ったら叩かれる。
【アホか! お前が住む部屋を探すんだ!
二、三日と言ってたのな?
もういい加減でていけ】
古井は少し慌て出す。
【えー、追い出されたら行くところないよ~】
【だから家を探すんだ!
それか実家に帰れ!】
【彼女と仲直りできるまで! 頼む!】
賀古に古井は縋り付いている。
私は苦笑してしまう。
昨日つまり一回前の今日に私達が泊まったホテルの部屋はとんでもないところだった。
どうぞと案内された部屋に私は固まった。複数人間が余裕でくつろげそうな広いリビングとキングサイズのベッドのある寝室のある部屋でおののくしかなかった。
いわゆるスィートルームというやつだろう。もしかして私のためにこんな部屋を予約したのかと思ったら、不死原の部屋もインテリアの雰囲気は違うものの似たようなものだった。
「あっ好きな方の部屋を選んでいただいてもいいですよ」と言われたので、地味な方を選んだが恐らく値段はどちらも変わらなかっただろう。
【実家に行ったらばあちゃんの介護も俺がしろって怒られるんだ】
【それはそれでちょうどいい! おばあちゃん孝行するチャンスだ! お前のお母さん腰痛めているしな】
『お気になさらずに。偉そうにお部屋取っときましたと言ったものの時間はリセットされてしまうから、俺の奢りとも言い難い状況です。
という事なので、お部屋で何でも思う存分注文して楽しんでください。
どうせなら、他の良い部屋用意すれば良かったですね。温泉のある場所とか。明日以降色々素敵な部屋探して楽しみますか』
確かに今日贅沢したところで、誰の懐も痛まない。
私はその返答につい笑ってしまった。そして気持ちは少し楽になる。今日は寛げそうだ。
それにしても、あんな部屋に泊まるのがこの男の普通なのだろうか? やはり彼は旧家の御曹司だったのだなと改めて感じた。
【えぇ、なんで俺が。ヤダよ。
頼むお前の部屋に、このまま置いてくれ!】
【イヤだね!
電気はつけっぱなしにする。
部屋を汚すだけで何もしないどころか、勝手に人の部屋にある食べ物を食う。
そして金をパクるそんな奴家においておけるか!】
【お金はちょっと借りだだけで……】
目をキョロキョロさせてモゴモゴと言葉を濁す古井。
【勝手にお金を持っていくのは窃盗と言って借りるとは言わない。
そして借りたというのなら次の給料日にしっかり返せ!】
【給料が減るの……あっいや、お金返すからもう少し部屋に置かせて!!】
【一週間以内に部屋を決めて出ていけ!
そして人としてまともになれ!
それが出来ないなら解散! これはもう決めた事だからな! 腹をくくれ】
【えぇええ】
【解散の話マジだからな!!】
「バカらし」
私は流れ続けていたYouTubeのチャンネルを止めて調べ物を再開することにした。
カフェの椅子はおしゃれだけど身体が疲れる。体力も最近落ちてきていることをヒシヒシと感じる。
適当なノートパソコンを買ってホテルで調べ物をするのも良いかもしれない。不死原からの連絡でなんか気が大きくなった私はそう考え近くの家電量販店の場所を調べる。
そして早めにホテルにチェックインしてテレビでニュースをチェックしながら快適な環境で作業をすることにした。
しかし、調べてメモを作ったものが日を超えて持ち込めない。私はまとめた資料の内容を脳に刻みつけるように再度熟読しているうちに一日は終わる。
もう自宅のように馴染んでしまった元のホテルに戻った私は、立ち上がりデスクの引き出しを開け、そこにあった便箋に今頭に入れた情報を書き写した。
それを更に清書して不死原と会った時に報告しやすいようにまとめ直してから一眠りする事にした。
この現象、意識の上ではずっと起きている状態になる為か精神的に酷く疲れる。脳が睡眠を欲するのか、昨日もパソコンに向かいながら時々意識を飛ばし眠ってしまった。
※ ※ ※
『ヒロちゃんありがとう落ち着いてきた!
俺の母親なんて、ダメだ、無理だ、そんな事ばかり言って、全然俺の事を理解してくれないんだ。
俺の夢も応援するどころかバカにしてるんだ
でもヒロちゃんが応援してくれるから頑張れる』
勉強は出来る真面目つまらない私にとって、夢を抱きそれ向かって進もうとしている恋人は魅力的に見えた。だから彼を肯定し様々なサポートもしてきた。
実際この時の彼は夢に直向きでその姿も素敵に見えていた。
※ ※ ※
嫌な昔の事を夢に見てしまったせいか、なんかモヤっとしながら目を覚ます。
なんとなくダルく身体を起こす。身体がなんとも重い。
大学時代のように半徹夜生活を続けられる程よく元気でもなくなっている。私は大きく深呼吸する。
時計をみると六時過ぎに。スマホを確認したら不死原から連絡が来ていた。
『昨日、こちらで少し面白い事がありました。
会ってお話した方が良いので其方にむかいます。何時頃伺えば宜しいでしょうか?』
私は一昨日と同じ時間に来てもらうことにして、不死原にを待つことにした。
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