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AFTRE
最強なアドバイザー
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第二ビルヂングの仕事を終え、菜の花ベーカリーで黒猫用のパンを買ってメインストリートに入ろうとしたら花屋のエスポワールコリーヌから芽衣さんか重そうな箱もって店から出てくる所だった。華奢な女性だけに大変そうだ。俺は慌てて近付き手にしていた荷物を一旦床に置きその箱を持つ。
「あら? ユキくん?」
持ってみたはいいけど、その箱はズッシリ重い。芽衣さんはビックリしたように、そんな声を上げる。
「ったく、こんな重いもの何無理しているんですか? 何処置けば良いですか?」
「ありがとう♪ そっちのテーブルの上に」
俺は指示の通りその箱を、テーブルに乗せる。
「ありがとう♪ 助かったわ」
芽衣さんは、能天気にそんなこと言ってくる。花屋さんは端から見ている程優雅な商売ではなく、重労働であるのは分かっているものの、芽衣さん特に無茶なモノの持ち方している事が多く、見てられなくて手伝ってしまう。
俺が、注意しても『大丈夫♪ 大丈夫♪ 娘に比べたら軽いわよ~』と大らかに笑う。
運んだ箱を見ると、様々なサイズの南瓜がイッパイ入っていた。
「芽衣さん、相変わらず無茶を
……この南瓜だって最初に箱をここにセットして後で南瓜入れたら楽だったのでは?」
俺がそう言うと、『確かにね~でも面倒で』のニッコリと笑う。
「そうそう先日はありがとうございました」
そう言うと、ハッとして興味ありげに顔を輝かせる。
「どう? 上手くいった?」
「喜んで貰えました。とても」
芽衣さんは、『やった~♪ お姉さんは嬉しいわ!』と抱きついてくる。そして離れて、店の花に視線を巡らせる。
「となると、次はプロポーズの花束よね~! 何が良いかしら?」
「いえいえ、告白してませんから……」
俺の言葉に途端に芽衣さんはガッカリした顔になる。
「なんで、しないの! 誕生日に花束贈って、『君がこの世に生まれてきてくれた事が、俺にとって最大の幸運だ。貴女を愛してます』とか言って抱き締める! それくらいしてよ~! 誕生日よ! 最高なチャンスなのに……こうなったら、クリスマスに再チャレンジするしかないわね!」
何故か物凄く責められているようだ。でも俺が告白しても、璃青さん困るだけではないだろうか?
「お母さんはね~そんなヘタレに貴方を育てたつもりはないわよ」
「はあ……
ところでこの南瓜ってハロウィン用ですか?」
いつの間にかお姉さんがお母さんになっている? このまま話をし続けるのも恥ずかしので、話を変える事にする。
「そうなのよ! 今からこれでランタン作って飾ったら楽しいかなと思って!」
そう言って、俺の手を引いてお店の中に連れていかれる。するとそこには作りたてのカボチャランタンがテーブルに置かれていた。
「見てみて~カワイイでしょ?」
また口が切り抜かれてないとはいえ、ニッカリと笑った目がイイ感じである。
「へえ素敵です。コレって手作りで出来るんですか?」
芽衣さんはニコニコしながら頷く。
「簡単よ。ほらまずこうして、サインペンで顔を書いて、その後お尻をナイフでこうして外して、中をスプーンでくり抜く。そして顔をこうやって作っていくだけなの」
面白そうである。黒猫のディスプレイにしたら面白そうである。しかもハロウィンの時はちょっとした仮装してお迎えするのも楽しそうだ。
「もし、これ黒猫で使うことになったら、いくつかカボチャ買わせていただいて良いですか?」
芽衣さんはカボチャランタンを手にしたまま、顔を傾ける。
「ランタンではなくて、カボチャの方?」
俺が頷くと、少し何かを考えている様子だった。
「だったら、直接農家の方に連絡しましょうか? その方が安く手にはいるでしょ?」
その言葉に俺は慌てる。
「それだと、エスポワールさんが損するだけじゃないですか」
芽衣さんは顔を横にふってフンワリ笑う。
「個人で楽しむならともかく、業務用で使うならそういう所は抑えなと!
それに黒猫さんにはいつもお世話になっているだけでなく、根小山夫妻にも贔屓にしてもらっているから、それにここで恩売っておくと、ユキくんも個人的にウチを贔屓してくれるでしょ! 将来的に良いお客様になりそうな人には媚びておくの!」
そのどこか恍けた言い方に俺は笑ってしまった。
「でしたら、杜さん達と相談して作ることになったら、またご相談に乗ってくださいね!」
「任せておいて!
……あと、恋の相談にも乗るわよ! コレでもそれなりに経験積んできた大人の女性だから!」
二人でフフと笑ってしまう。芽衣さんはこういう場をなんとも明るくしてしまうそんな魅力をもった人である。自分の姉がこういうタイプだったらどんなに幸せだっただろうか? とつくづく思う。
「ありがとうございます! 是非色々ご相談に乗って下さい」
俺の言葉に芽衣さんは胸を張って『任せなさい!』と返してくれた。俺はその後他愛ない世間話をしてから挨拶をしてエスポワールコリーヌを後にすることにした。
「あら? ユキくん?」
持ってみたはいいけど、その箱はズッシリ重い。芽衣さんはビックリしたように、そんな声を上げる。
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「ありがとう♪ そっちのテーブルの上に」
俺は指示の通りその箱を、テーブルに乗せる。
「ありがとう♪ 助かったわ」
芽衣さんは、能天気にそんなこと言ってくる。花屋さんは端から見ている程優雅な商売ではなく、重労働であるのは分かっているものの、芽衣さん特に無茶なモノの持ち方している事が多く、見てられなくて手伝ってしまう。
俺が、注意しても『大丈夫♪ 大丈夫♪ 娘に比べたら軽いわよ~』と大らかに笑う。
運んだ箱を見ると、様々なサイズの南瓜がイッパイ入っていた。
「芽衣さん、相変わらず無茶を
……この南瓜だって最初に箱をここにセットして後で南瓜入れたら楽だったのでは?」
俺がそう言うと、『確かにね~でも面倒で』のニッコリと笑う。
「そうそう先日はありがとうございました」
そう言うと、ハッとして興味ありげに顔を輝かせる。
「どう? 上手くいった?」
「喜んで貰えました。とても」
芽衣さんは、『やった~♪ お姉さんは嬉しいわ!』と抱きついてくる。そして離れて、店の花に視線を巡らせる。
「となると、次はプロポーズの花束よね~! 何が良いかしら?」
「いえいえ、告白してませんから……」
俺の言葉に途端に芽衣さんはガッカリした顔になる。
「なんで、しないの! 誕生日に花束贈って、『君がこの世に生まれてきてくれた事が、俺にとって最大の幸運だ。貴女を愛してます』とか言って抱き締める! それくらいしてよ~! 誕生日よ! 最高なチャンスなのに……こうなったら、クリスマスに再チャレンジするしかないわね!」
何故か物凄く責められているようだ。でも俺が告白しても、璃青さん困るだけではないだろうか?
「お母さんはね~そんなヘタレに貴方を育てたつもりはないわよ」
「はあ……
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いつの間にかお姉さんがお母さんになっている? このまま話をし続けるのも恥ずかしので、話を変える事にする。
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