バッドエンドの向こう側

白い黒猫

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愛花の世界

再会の時

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 ナナシの行動は全く読めない。行動にパターンはなく、周子お姉様が捕まったであろう日も二回連続な日もあったが、数日後の時もあれば八回くらい期間が空いてた事もある。
 お姉様に会いに行くと決めて行動してから、ここ二十三回ほどになるがナナシは認識できる範囲では行動起こしていない。もしかして飽きてくれたのでは? 楽観的な考えも抱く。
 私は、周子お姉様との時間を楽しむことにする。
 単に落としたキーホルダーを届けるだけだと、対話はそれだけで終わってしまう。
 去る周子お姉様を追いかけてお茶に誘った事があったが、私が得体の知れない人に見えてしまったようで逃げられてしまった。
 私は周子お姉様との素敵な物語を紡ぐべくして最適解を模索する作業も楽しい。
 いかに長い時間周子お姉様と時間を過ごせるか? いかに密な一時を過ごし、より内面に踏み込んだ表情を見せてくれるようにするか?

 一番良い方法は、それは周子お姉様の優しさを利用する方法。
 何かショックなことが起きて泣いている可哀想な女の子を装い、公園で待機するば良いだけ。
 私がベンチに座り泣いていると、優しい周子お姉様は放って置けないようで声を掛けてきてくれる。
 そしてイートインのあるコンビニか近くのチェーンの珈琲屋に連れて行ってくれて慰めてくれる。
 就職活動で圧迫面接をうけて怖かった、DV彼氏から酷いことをされた、などネタは何でも良い。
 そのバリエーションにより異なる物語が展開する。
 私は辛くて悲しい女性を演じ思いっきり周子お姉様に甘える事できる。
 抱きしめてくれる周子お姉様の柔らかい胸、そして香水の良い香り。それらが私の心を満たしてくれる。

 そして今日も周子お姉様に思いっきり慰めてもらおうと泣いて待っていた。期待通り周子お姉様は私に気をかけ声を掛けてきてくれた。
 なぜ泣いていのかを説明していたら、ふと視線を感じる。顔をそちらへ向けるとナナシが立っていて、嫌な笑みを浮かべている。ゾッとして体が動かない。
 ナナシは私の名前を呼び、優しく見える顔で笑いかけてくる。
「愛花ちゃんの電話の様子がおかしかったから来たんだ。大丈夫か?」
 私にそう声を掛けてから、ナナシは周子お姉様に妹がお世話になったとお礼を言っている。
 そんなナナシに対して不信感を覚える様子もなく周子お姉様はナナシに対応している。その様子を見ると本当にナナシの事を周子お姉様は知らないのだと分かる。
 ナナシはお礼に車で会社まで送ると言って、自然に周子お姉様を私と共に車に乗せてしまった。
 私は周子お姉お姉様にナナシが危険だということを伝えたいが、恐怖で逆らうことが出来ない。
 車はやはりというかラブホテルへと入っていく。その時になり異常な状況に気がついた周子お姉様をナナシはスタンガンで気絶させた。
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