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インドの神様はおおらか?
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俺の作ったカレーに、インドの餃子ともいえるモモに、タンドリーチキンに、スッパ辛い玉ねぎのサラダなど卓袱台には、料理が並んでいる。俺は思わず歓声をあげる。この卓袱台に食器がというか料理がこんなに並んだ事は初めてである。
シングは一旦自分の部屋に戻り、バイト先から貰ったという料理を色々持ってきてくれた。
お陰で俺の食卓が今までないくらい豪華になった。こういうのを見ると飲食店でのバイトもいいなと思うが、この辺りは個人商店が多く飲食店だと時給がイマイチ高くない。
また意外と閉店時間が早く想定よりも短い時間しか働けないということもあり、ネットカフェにしたのだ。
課題を持ち込んですることも出来るし、ドリンクバー利用可ということでそれはそれで有難いのだが、こういう料理の美味しいお店のバイトってバイト料以上のものがあるような気がする。
シングが持ち込んだ料理はどれも美味しい。こんな美味しい料理を賄いとしてだけでなく、お土産としても貰えるなんて素晴らしいバイトの気がする。
とはいえ、シングの店はもう手が足りているし、インド人のお客様も多いのでヒンディー語が必須な気もするので無理だろう。
意外な事にシングも俺の作ったカレーを美味しいと言って食べてくれた。
インド人からみたら日本のカレーなんてダメダメなのかと思っていたが、実は日本のカレーも好きなインド人は多いという。シングも実はハマっていて良く学食でもカレーを食べているらしい。そこで俺はある事を思い出し青褪める。
「あのさ、シング……このカレーの牛肉だけど」
シングは落ち着いた顔でコチラを見る。
「気にするではない」
不安げに見つめる俺の事も気にせず、目の前でスプーンにのせた牛肉を口に入れてしまう。
イスラム教の人は牛を食べても大丈夫だが……問題はこの肉は普通の牛肉で、近所のスーパーで買ってきたもの。
したがってイスラム教的にはいけない気がする。
「食べで大丈夫? ハラールフードじゃないよ」
恐る恐る聞く俺に不思議そうに首を傾ける。
「トラ、ここは日本だ!」
「そうだけど」
それは俺も良く分かっている。
「郷にいれば郷に従え! そういうではないか。
友の出した料理をハラームといって拒絶する事って無礼千万!
楽しい異国文化は積極的に受け入れるべきでは? それが国際交流というもの。
したがってカツカレーでも、なんでも俺は拒絶することなく食べるし、楽しむ! 日本にいる間はね!」
そう言ってドヤ顔される。
「はぁ」
戒律ってこんな感じでよいのだろうか?
「世界中にイスラム教徒は、どのくらいいると思う?
神様、大陸の事で手一杯でこっちまで見てられる筈はないであろう。しかもこうして日本の友と食文化を通して理解を深め仲良くする事を何故悪い事となる? そんな事で怒るか? 神が。
アラーはそんな心は狭くは無い! 偉大なる存在だから」
シングの熱い言葉はまだ続く。そもそもハラールフードなんて高くて学生では買っていられないらしい。元気に生きていく為にも何でも食べるしかない。
取り敢えず実家にはそういうレストランで働いていると伝えている事で、安心させているから大丈夫だと言った事を、自信に満ちた顔で言われた。
アラーにバレるより家族にバレる事の方を恐れているようにも聞こえる。
色々とシングは理論をならべてきたが、要は彼が食いしん坊で、豚肉とかも好きで、気にせず食べたいと言う事はよく分かった。
コレは堕落なのか、視野と世界が広がったと言うべきかは悩ましいが、シングが気にしていないので、気にしない事にした。
「ところで彼女のほうは大丈夫? さっきからトラを睨んでいる」
そう言われて俺は振り向くと、空けられた網戸の向こうで、サバが凶悪な顔でコチラを見ていた。
しまった! カレーを作るのに夢中だったことと、シングとの食事が楽しかった事で、サバの訪問にまったく気が付いておらず、無視しつづけていたようだ。
網戸に爪をひっかけたままのポーズで鬼の形相のサバと俺はしばらく見つめあってしまった。
余りの形相に目を合わせたまま部屋を移動し台所に行きオヤツを取りに行く。そしてひっかかった爪をそっと外してから網戸を開けオヤツをそっと手渡す。
その際思いっきり引っ掛かれてしまった。シングもおやつの煮干しを取り出しサバにあげてようとして攻撃をうけている。
猫相が悪いのは相変わらずで、シングからも奪うようにおやつを受け取っているがフーと凄みながら食べている。おやつもらえたのだから機嫌直してもよいと思うのに、サバは怒りモードを解かずにおやつをがっつく。よく分からないところがある。
この日を境にきっかけでシングとの仲はさらに深まった。
それから日印カレー会が度々開催される事になった。シングは色々インドカレーを作ってくれてインド式で頂き、俺は様々なカレーにチャレンジしてシングに振る舞う。同じ釜の飯を食う仲っていいものである。
右手でカレー食べるのも日本人にしては上手くなったと思う。
シングは一旦自分の部屋に戻り、バイト先から貰ったという料理を色々持ってきてくれた。
お陰で俺の食卓が今までないくらい豪華になった。こういうのを見ると飲食店でのバイトもいいなと思うが、この辺りは個人商店が多く飲食店だと時給がイマイチ高くない。
また意外と閉店時間が早く想定よりも短い時間しか働けないということもあり、ネットカフェにしたのだ。
課題を持ち込んですることも出来るし、ドリンクバー利用可ということでそれはそれで有難いのだが、こういう料理の美味しいお店のバイトってバイト料以上のものがあるような気がする。
シングが持ち込んだ料理はどれも美味しい。こんな美味しい料理を賄いとしてだけでなく、お土産としても貰えるなんて素晴らしいバイトの気がする。
とはいえ、シングの店はもう手が足りているし、インド人のお客様も多いのでヒンディー語が必須な気もするので無理だろう。
意外な事にシングも俺の作ったカレーを美味しいと言って食べてくれた。
インド人からみたら日本のカレーなんてダメダメなのかと思っていたが、実は日本のカレーも好きなインド人は多いという。シングも実はハマっていて良く学食でもカレーを食べているらしい。そこで俺はある事を思い出し青褪める。
「あのさ、シング……このカレーの牛肉だけど」
シングは落ち着いた顔でコチラを見る。
「気にするではない」
不安げに見つめる俺の事も気にせず、目の前でスプーンにのせた牛肉を口に入れてしまう。
イスラム教の人は牛を食べても大丈夫だが……問題はこの肉は普通の牛肉で、近所のスーパーで買ってきたもの。
したがってイスラム教的にはいけない気がする。
「食べで大丈夫? ハラールフードじゃないよ」
恐る恐る聞く俺に不思議そうに首を傾ける。
「トラ、ここは日本だ!」
「そうだけど」
それは俺も良く分かっている。
「郷にいれば郷に従え! そういうではないか。
友の出した料理をハラームといって拒絶する事って無礼千万!
楽しい異国文化は積極的に受け入れるべきでは? それが国際交流というもの。
したがってカツカレーでも、なんでも俺は拒絶することなく食べるし、楽しむ! 日本にいる間はね!」
そう言ってドヤ顔される。
「はぁ」
戒律ってこんな感じでよいのだろうか?
「世界中にイスラム教徒は、どのくらいいると思う?
神様、大陸の事で手一杯でこっちまで見てられる筈はないであろう。しかもこうして日本の友と食文化を通して理解を深め仲良くする事を何故悪い事となる? そんな事で怒るか? 神が。
アラーはそんな心は狭くは無い! 偉大なる存在だから」
シングの熱い言葉はまだ続く。そもそもハラールフードなんて高くて学生では買っていられないらしい。元気に生きていく為にも何でも食べるしかない。
取り敢えず実家にはそういうレストランで働いていると伝えている事で、安心させているから大丈夫だと言った事を、自信に満ちた顔で言われた。
アラーにバレるより家族にバレる事の方を恐れているようにも聞こえる。
色々とシングは理論をならべてきたが、要は彼が食いしん坊で、豚肉とかも好きで、気にせず食べたいと言う事はよく分かった。
コレは堕落なのか、視野と世界が広がったと言うべきかは悩ましいが、シングが気にしていないので、気にしない事にした。
「ところで彼女のほうは大丈夫? さっきからトラを睨んでいる」
そう言われて俺は振り向くと、空けられた網戸の向こうで、サバが凶悪な顔でコチラを見ていた。
しまった! カレーを作るのに夢中だったことと、シングとの食事が楽しかった事で、サバの訪問にまったく気が付いておらず、無視しつづけていたようだ。
網戸に爪をひっかけたままのポーズで鬼の形相のサバと俺はしばらく見つめあってしまった。
余りの形相に目を合わせたまま部屋を移動し台所に行きオヤツを取りに行く。そしてひっかかった爪をそっと外してから網戸を開けオヤツをそっと手渡す。
その際思いっきり引っ掛かれてしまった。シングもおやつの煮干しを取り出しサバにあげてようとして攻撃をうけている。
猫相が悪いのは相変わらずで、シングからも奪うようにおやつを受け取っているがフーと凄みながら食べている。おやつもらえたのだから機嫌直してもよいと思うのに、サバは怒りモードを解かずにおやつをがっつく。よく分からないところがある。
この日を境にきっかけでシングとの仲はさらに深まった。
それから日印カレー会が度々開催される事になった。シングは色々インドカレーを作ってくれてインド式で頂き、俺は様々なカレーにチャレンジしてシングに振る舞う。同じ釜の飯を食う仲っていいものである。
右手でカレー食べるのも日本人にしては上手くなったと思う。
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