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猫ロジー
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バイトから帰る途中に俺は近所の造園屋さん横の路地を通るようにしている。
近道であることと、そこには癒しの存在がいるから。
今日も歩いていると塀の上からニャーと挨拶してくる。視線を向けるとミケが俺を丸い目で見つめている。
夜に見かけても、サバとは異なりコイツは猫らしく可愛らしい。
目があっても睨んで来ることは無いし、近付いても怒る訳でも攻撃してくることもなく、それどころか撫でるとゴロゴロと喉を鳴らす。
近所の数いる猫の中でもコイツは一番人懐っこくて性格も良い。
初めてあった時から『こんにちは~今日も良い日ですね~』といっているような好意的な態度で接してくる。
その為にどちらかと言うと犬派の俺も『猫もいいな♪』と思わせたきっかけの猫である。
可愛く友好的な態度は俺としては嬉しいのだが、これが誰に対してもそうで八方美人な所も困った所。
その為に俺がミケと遊んでいると、ハッと立ち止まり傷ついたようにそっと立ち去る猫好きを見かける事がある。
公園にいる時は、ミケ待ちの人が出来てしまう程のここらのアイドル的な存在の猫。
今までそれほど猫の生活なんて興味もなかったが、ここに暮らすようになってその生態というのを間近で展開されていると色々見えてくるものがある。
片方の耳の先がカットされた【さくらねこ】は去勢避妊手術をうけ一世代だけここで生息することを許された猫。
人と共存する為の試みなので、生ごみを漁るといった事はないように、ボランティアの人等から餌をもらって半野良として生きている。
もっと小さい猫だと保護された時に譲渡会等行われ飼い猫になる道もあるらしいが、大人の猫はなかなかそれも難しい。【さくらねこ】の会に参加しておりTNR活動を実際行っているという上の階のジローさんは、そういった事情で出会った白い猫を飼っている。
その子は目がよく見えない。そんな猫は嫌厭され貰い手もないし、こうして地域猫として生きていく事すら難しい。
近所の公園がさくらねこらが餌をもらう場所となっている事もあり、そこを中心に猫のコミュニティーも出来上がっている。
猫が集まると、猫好きが集まるようで、その人達が持ちこむ貢物によって猫たちはお腹を満たしている。
ここらの猫たちが野良とは思えない程ふくよかなのもそういう理由がある。
こういう状況が赦されているのも、人間側にもキッチリとルールが定められ、猫を可愛がるのは良いが、餌やりの際に出たゴミや餌の入ったままの器は放置しないで持ち帰る。
それらが環境を乱す事で猫に対して不満が向けられる事を防止する為だ。
心なくゴミを放置する人もいるが、それをボランティアの人が掃除して、猫が嫌がられず住める環境を守っているのである。
サバとモノが俺の住むアパートをアジトにしているように、餌を貰える公園を共有しつつ、それぞれお気に入りの場所ともいえるプライペートスペースを持っているようだ。
ミケは他のミケモドキ、プチミケとコトラと一緒にこの造園屋で暮しているようだ。
程よい木々の茂り、猫がいても怒られない納屋等があり過ごしやすいようだ。
ミケは公園に居ない時はこうして塀に座り、路地を歩く人を眺めて、目が合うと挨拶をしてくる。
ミケは本当に癒し系ニャンコ。
柔らかく心地よい滑らかな毛並を撫でられて、さらに可愛く甘えられる事で俺の心の疲れも溶けていくのを感じる。
すっかり気分が良くなった俺は、ご機嫌で部屋に戻る。
門戸をそっとあけ敷地内に入り、俺は足を止める。玄関の前に小さく佇んでいる者がいる。
サバが俺の部屋の前にいて戻ってきた俺を何故か睨んできている。
その表情のまま近づいてきて、俺が歩くのを邪魔するように足元をグルグルと周り何故かシャーと、怒りの声をあげて去っていった。
朝のうちにおやつは上げたし、このアパートには他にサバを可愛がっている住民もいる。
何故今俺が怒られるのか良く分からない。俺は首を傾げながら部屋に入った。
近道であることと、そこには癒しの存在がいるから。
今日も歩いていると塀の上からニャーと挨拶してくる。視線を向けるとミケが俺を丸い目で見つめている。
夜に見かけても、サバとは異なりコイツは猫らしく可愛らしい。
目があっても睨んで来ることは無いし、近付いても怒る訳でも攻撃してくることもなく、それどころか撫でるとゴロゴロと喉を鳴らす。
近所の数いる猫の中でもコイツは一番人懐っこくて性格も良い。
初めてあった時から『こんにちは~今日も良い日ですね~』といっているような好意的な態度で接してくる。
その為にどちらかと言うと犬派の俺も『猫もいいな♪』と思わせたきっかけの猫である。
可愛く友好的な態度は俺としては嬉しいのだが、これが誰に対してもそうで八方美人な所も困った所。
その為に俺がミケと遊んでいると、ハッと立ち止まり傷ついたようにそっと立ち去る猫好きを見かける事がある。
公園にいる時は、ミケ待ちの人が出来てしまう程のここらのアイドル的な存在の猫。
今までそれほど猫の生活なんて興味もなかったが、ここに暮らすようになってその生態というのを間近で展開されていると色々見えてくるものがある。
片方の耳の先がカットされた【さくらねこ】は去勢避妊手術をうけ一世代だけここで生息することを許された猫。
人と共存する為の試みなので、生ごみを漁るといった事はないように、ボランティアの人等から餌をもらって半野良として生きている。
もっと小さい猫だと保護された時に譲渡会等行われ飼い猫になる道もあるらしいが、大人の猫はなかなかそれも難しい。【さくらねこ】の会に参加しておりTNR活動を実際行っているという上の階のジローさんは、そういった事情で出会った白い猫を飼っている。
その子は目がよく見えない。そんな猫は嫌厭され貰い手もないし、こうして地域猫として生きていく事すら難しい。
近所の公園がさくらねこらが餌をもらう場所となっている事もあり、そこを中心に猫のコミュニティーも出来上がっている。
猫が集まると、猫好きが集まるようで、その人達が持ちこむ貢物によって猫たちはお腹を満たしている。
ここらの猫たちが野良とは思えない程ふくよかなのもそういう理由がある。
こういう状況が赦されているのも、人間側にもキッチリとルールが定められ、猫を可愛がるのは良いが、餌やりの際に出たゴミや餌の入ったままの器は放置しないで持ち帰る。
それらが環境を乱す事で猫に対して不満が向けられる事を防止する為だ。
心なくゴミを放置する人もいるが、それをボランティアの人が掃除して、猫が嫌がられず住める環境を守っているのである。
サバとモノが俺の住むアパートをアジトにしているように、餌を貰える公園を共有しつつ、それぞれお気に入りの場所ともいえるプライペートスペースを持っているようだ。
ミケは他のミケモドキ、プチミケとコトラと一緒にこの造園屋で暮しているようだ。
程よい木々の茂り、猫がいても怒られない納屋等があり過ごしやすいようだ。
ミケは公園に居ない時はこうして塀に座り、路地を歩く人を眺めて、目が合うと挨拶をしてくる。
ミケは本当に癒し系ニャンコ。
柔らかく心地よい滑らかな毛並を撫でられて、さらに可愛く甘えられる事で俺の心の疲れも溶けていくのを感じる。
すっかり気分が良くなった俺は、ご機嫌で部屋に戻る。
門戸をそっとあけ敷地内に入り、俺は足を止める。玄関の前に小さく佇んでいる者がいる。
サバが俺の部屋の前にいて戻ってきた俺を何故か睨んできている。
その表情のまま近づいてきて、俺が歩くのを邪魔するように足元をグルグルと周り何故かシャーと、怒りの声をあげて去っていった。
朝のうちにおやつは上げたし、このアパートには他にサバを可愛がっている住民もいる。
何故今俺が怒られるのか良く分からない。俺は首を傾げながら部屋に入った。
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