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42話
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先頭を歩くのはもう慣れっこだけど、ここまで怖がりなのにどうして七不思議の検証なんてしているのだ。もう辞めればいいの。
「ほ、ほら、踊り場に着いたよ。見てよあのダンボール。今にも落ちそうだろ」
照らした先にあったダンボールは、ほとんど崩れ去ってしまっていた。
いつの間に全部崩壊してしまったんだ。これじゃあ証拠にならないじゃないか。
「……ほ、ほら、バラバラになっているから、人が置いたにしては不自然だろ」
「大輔君の言う通り、ダンボールが落ちたことは確かみたいだね」
「だ、だろ、だから僕じゃないって」
「でも、大輔君が犯人じゃないって証拠にはならないよね。釣り糸でもつけて引っ張れば、積み重ねたダンボール崩すことは容易だよ」
「だ、だから、僕にはその準備ができないんだって。それに釣り糸なんて持ってないよ」
「あったよ釣り糸」
どこに?
「曽田君が、何に使うのか釣り道具持ってきていたから、そこから拝借すればこの犯行も可能ってこと。曽田君に後で片付けるからそのままにしておいてって言っておけば、片付けられる心配もないだろうし」
裕介やつめ。そういえば、こんにゃくを吊るすとか言って釣竿持ってきていたな。使う機会を失わせてしまったけど、羽山に余計なものを見せるなよ。
裕介の敗因は羽山を侮りすぎたことだ。
「見事な推理だけど、本当に僕は違うんだよ。第一羽山の言う通りなら、ダンボールに釣り糸がついているってことになるよな。ついているのか確認してみよう」
羽山の言っている細工なんて、誰もしていないから、万が一にでも釣り糸がついていることなんてない。これでようやく僕の無実が証明される。
「あったよ。釣り糸」
やっぱりあったじゃないか。
……え。羽山は今なんて?
「ごめんもう一度いいかな」
「だから、釣り糸あるって」
なんで⁉︎ だって、誰も細工はしていないはず……。まさか裕介、本気で忘れているんじゃないだろうな。どうしてくれるんだ。羽山には疑われているし、後片付けもしないといけないなんて、この恨み宿題写させてもらうだけでは済ませないぞ。
「待って羽山。この釣り糸、下の方から続いていない」
「本当だ」
羽山とともに、階段の吹き抜けを見下ろす。下を懐中電灯で照らしてみると、たぶん1階だと思われる場所から双眼鏡を使って見上げている人がいた。この時点で誰なのか、大体の想像はついた。
その人物は見つかったと思って、身体を隠し、釣り糸を強く引っ張り、ダンボールから釣り糸を剥がした。
犯人は別にいたことが分かったから、真犯人が逃げようとしていたことに関して、僕は頓着していなかったが、羽山は、吹き抜けに消え去りそうになっていた釣り糸を、下の廊下にも響くような大きな音を鳴らして踏みつけた。下からは、「痛っ!」と悲鳴が聞こえた。声の主は校長先生だった。真犯人が分かって、事件は解決した。それよりも、釣り糸は踏みつけて、動きを止める羽山の反射神経に、僕は驚きを隠せないでいた。
「校長先生。そのまましておくのでお片付けお願いします」
羽山は屋上に行く階段から下に向けて、そう叫んだ。
校長先生にここまで言う羽山は少しかっこよかった。それと同時に怖かった。
「まさか校長先生が犯人だったなんて。思いもしてなかったよ」
羽山も何も知らないってことは、校長先生が自ら考案したと言うことか。どれだけ協力的なのだ。怖い校長先生のイメージがどんどん覆されている。
「大輔君、ごめん。大輔君は本当に無実だったね」
羽山は僕に向かって深々と頭を下げた。
素直な羽山を見るのにこうも寒気がするのは何でだろうか。
「……あ、うん」
よくよく考えれば、僕は羽山から犯人だとめちゃくちゃ疑われていたのだった。羽山が僕を犯人だと決めつけて疑うから、無駄な時間を過ごしてしまったし、謝るくらいでは許さないぞ。今日が最後でなかったら、卒業するまではずっと言っていたかもしれない。
「ダンボールの犯人も分かったことだし、七不思議の検証続けない? 親もいつ来るか分からないし」
もうとっとと終わらせて、校長室のソファーでゆっくり休みたい。色々ありすぎて疲れた。
「大輔君。随分とやる気だね」
「付き合わされている僕の身にもなってくれよ」
「ごめんって。じゃあ、次に行こ!」
階段を下って、次の西階段に向かって、僕らは廊下を歩いていた。
そいうえば、中央階段。ダンボールのことで頭がいっぱいになっていたから検証してなくないか。まあ、羽山が気にしてないみたいだからいいか。
西階段に着いた僕らは、踊り場に設置されている鏡を見つめていた。
何の変哲もない至って普通の鏡。僕らの姿以外を写してはいない。
「この鏡も何も起きてないね」
「鏡も異常はないかな」
羽山は鏡を触ったり、ノックしたり、息を吐いて文字を書いたり、後半かなり遊んでいた。
そんな羽山を呆れた顔で眺めていると鏡越しで羽山と目があってしまった。そんな羽山は、わざとらしく咳払いをして締めの言葉を言う。
「ここの鏡も異常なし。次に行こうか!」
僕の有無も聞かずに1人で階段を降りていく。
羽山が遊んでいたことは突っ込んだ方がよかったかな。と言うか、本当に何のために七不思議の検証をそているんだ。遊ぶつもりならもう終わらせてもいいのに。まあ、僕自身も楽しんでいるから、このままでもいいけど。
「ほ、ほら、踊り場に着いたよ。見てよあのダンボール。今にも落ちそうだろ」
照らした先にあったダンボールは、ほとんど崩れ去ってしまっていた。
いつの間に全部崩壊してしまったんだ。これじゃあ証拠にならないじゃないか。
「……ほ、ほら、バラバラになっているから、人が置いたにしては不自然だろ」
「大輔君の言う通り、ダンボールが落ちたことは確かみたいだね」
「だ、だろ、だから僕じゃないって」
「でも、大輔君が犯人じゃないって証拠にはならないよね。釣り糸でもつけて引っ張れば、積み重ねたダンボール崩すことは容易だよ」
「だ、だから、僕にはその準備ができないんだって。それに釣り糸なんて持ってないよ」
「あったよ釣り糸」
どこに?
「曽田君が、何に使うのか釣り道具持ってきていたから、そこから拝借すればこの犯行も可能ってこと。曽田君に後で片付けるからそのままにしておいてって言っておけば、片付けられる心配もないだろうし」
裕介やつめ。そういえば、こんにゃくを吊るすとか言って釣竿持ってきていたな。使う機会を失わせてしまったけど、羽山に余計なものを見せるなよ。
裕介の敗因は羽山を侮りすぎたことだ。
「見事な推理だけど、本当に僕は違うんだよ。第一羽山の言う通りなら、ダンボールに釣り糸がついているってことになるよな。ついているのか確認してみよう」
羽山の言っている細工なんて、誰もしていないから、万が一にでも釣り糸がついていることなんてない。これでようやく僕の無実が証明される。
「あったよ。釣り糸」
やっぱりあったじゃないか。
……え。羽山は今なんて?
「ごめんもう一度いいかな」
「だから、釣り糸あるって」
なんで⁉︎ だって、誰も細工はしていないはず……。まさか裕介、本気で忘れているんじゃないだろうな。どうしてくれるんだ。羽山には疑われているし、後片付けもしないといけないなんて、この恨み宿題写させてもらうだけでは済ませないぞ。
「待って羽山。この釣り糸、下の方から続いていない」
「本当だ」
羽山とともに、階段の吹き抜けを見下ろす。下を懐中電灯で照らしてみると、たぶん1階だと思われる場所から双眼鏡を使って見上げている人がいた。この時点で誰なのか、大体の想像はついた。
その人物は見つかったと思って、身体を隠し、釣り糸を強く引っ張り、ダンボールから釣り糸を剥がした。
犯人は別にいたことが分かったから、真犯人が逃げようとしていたことに関して、僕は頓着していなかったが、羽山は、吹き抜けに消え去りそうになっていた釣り糸を、下の廊下にも響くような大きな音を鳴らして踏みつけた。下からは、「痛っ!」と悲鳴が聞こえた。声の主は校長先生だった。真犯人が分かって、事件は解決した。それよりも、釣り糸は踏みつけて、動きを止める羽山の反射神経に、僕は驚きを隠せないでいた。
「校長先生。そのまましておくのでお片付けお願いします」
羽山は屋上に行く階段から下に向けて、そう叫んだ。
校長先生にここまで言う羽山は少しかっこよかった。それと同時に怖かった。
「まさか校長先生が犯人だったなんて。思いもしてなかったよ」
羽山も何も知らないってことは、校長先生が自ら考案したと言うことか。どれだけ協力的なのだ。怖い校長先生のイメージがどんどん覆されている。
「大輔君、ごめん。大輔君は本当に無実だったね」
羽山は僕に向かって深々と頭を下げた。
素直な羽山を見るのにこうも寒気がするのは何でだろうか。
「……あ、うん」
よくよく考えれば、僕は羽山から犯人だとめちゃくちゃ疑われていたのだった。羽山が僕を犯人だと決めつけて疑うから、無駄な時間を過ごしてしまったし、謝るくらいでは許さないぞ。今日が最後でなかったら、卒業するまではずっと言っていたかもしれない。
「ダンボールの犯人も分かったことだし、七不思議の検証続けない? 親もいつ来るか分からないし」
もうとっとと終わらせて、校長室のソファーでゆっくり休みたい。色々ありすぎて疲れた。
「大輔君。随分とやる気だね」
「付き合わされている僕の身にもなってくれよ」
「ごめんって。じゃあ、次に行こ!」
階段を下って、次の西階段に向かって、僕らは廊下を歩いていた。
そいうえば、中央階段。ダンボールのことで頭がいっぱいになっていたから検証してなくないか。まあ、羽山が気にしてないみたいだからいいか。
西階段に着いた僕らは、踊り場に設置されている鏡を見つめていた。
何の変哲もない至って普通の鏡。僕らの姿以外を写してはいない。
「この鏡も何も起きてないね」
「鏡も異常はないかな」
羽山は鏡を触ったり、ノックしたり、息を吐いて文字を書いたり、後半かなり遊んでいた。
そんな羽山を呆れた顔で眺めていると鏡越しで羽山と目があってしまった。そんな羽山は、わざとらしく咳払いをして締めの言葉を言う。
「ここの鏡も異常なし。次に行こうか!」
僕の有無も聞かずに1人で階段を降りていく。
羽山が遊んでいたことは突っ込んだ方がよかったかな。と言うか、本当に何のために七不思議の検証をそているんだ。遊ぶつもりならもう終わらせてもいいのに。まあ、僕自身も楽しんでいるから、このままでもいいけど。
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