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34話
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屋上の階段を登って、途中の踊り場で何もすることなく立ち止まった。羽山から借りている懐中電灯で先を照らす。照らした先には前回来た時にはなかった段ボールが積まれていた。しかも、その1つが床に乱雑に落ちてていた。
これは置かれていたのではなくて、積み上がっていたものが落ちたんだ。え……っていうことは、屋上に行こうかと言っていた時のあの音、ダンボールの自然落下だったのか。それはそれで怖いな。
と考えていると、廊下に耳が痛くなるような高い叫び声が響いた。慌てて階段を降りるふりをして、3階に降りると、真壁と山本が廊下を全力疾走していた。
そんな2人は僕の姿を見て足を止める。その場に、下から上がってきていた、細川が合流する。
「百合ちゃん何があったの?」
息を切らして涙目になっている真壁に細川が話しかける。
「出たんだよ!」
「出たって何が!」
「羽山さんが出たんだよ!」
羽山を驚かすために音楽室にこもっていた真壁たちにとっては、突然現れる羽山は幽霊並みに怖いのか。
今のところ羽山の思い通りにことが進んでいる。ここから先は僕は特に指示を受けていない。勝手に動いてくれってことだろうな。さて、どう動いたものか。羽山は今音楽室にいるから、動きやすいようにみんなを音楽室から離すのが役割か。この先には3階で僕らを見張っていた人たちがいるはずだ。とりあえず合流するか。いや、この人数を連れて下の階に降りたほうがいいか。まだ他にも潜伏している人はいるだろうし、そっち合流しよう。
「とりあえず、僕らはトランシーバーを持っていないから、下にいる人と合流しよう」
みんな考えることを諦めて、大人しく僕の提案に乗った。
後は任せた羽山。裕介たちを思う存分怖がらせてくれ。
「そういえば、下の階には誰か驚かせる人が待機しているの?」
真壁や山本は放心状態で応えることはできないだろうから、1番まともそうな細川に訊いた。
「うん。確か、2階の教室に早見君と川上君がいたと思う」
瞬と桜太か。どっちも僕とテストの点数は変わらないし、問題を起こすやつではない。僕が混じったところで何も起きない。
「後は監視している人とも合流できたらいいね」
山口と話をするのは久しぶりだが、それは困る気がする。みんな集まってしまったら、羽山が動きづらくなる。阻止するにしても、理由がないな。こんな時にバラバラに動くのはリスクが高い。まとまって行動するほうが何かあった時の対処がしやすい。もし羽山がいたら、みんなを納得させれるほどの言い訳を考えることができるのだろうけど、僕には無理だ。ことの顛末を見守ることしかできない。羽山、後はなんとかしてくれ。
2階に降りた僕たちは、3年生の教室に隠れていた、瞬と桜太と合流した。
「羽山が逃げ出して大変らしいな。それで羽山は捕まったの?」
瞬がそう言うが、それは僕らのほうが聞きたかった。今やトランシーバーを活用している人はいないのか。
「僕ら誰もトランシーバーを持っていないから、何も情報を知らないんだ。何か聞いていない?」
「いや、トランシーバーが、悲鳴が聞こえてから聞こえなくなって……」
と、瞬が言葉を止めたのには理由がある。それは3階から大きな悲鳴が聞こえたからだ。この声の主は裕介で間違いない。裕介の断末魔のような叫び声。誰もが3階を見つめるが、僕だけは違う視点から見ていた。
裕介可哀想に。羽山に復讐されたんだ。羽山を驚かせようとするからこんなことになるんだぞ。まあ、どちらも画策したのは僕だけど。これ知られたら、僕終わりじゃないか。裕介にも羽山にも、僕は手伝って欲しいって言ったのに。いやでも、羽山にはもうバレているようなものだし。羽山が余計なことを言わなかったら、裕介にばれることはない。よし、頼んだぞ羽山。
と、そんなことを考えている暇じゃなかった。裕介の悲鳴が聞こえて大変なんだった。
裕介の悲鳴が3階から聞こえたってことは、羽山は3階にいるってこと。逃げるにしても外に逃げるのがいいだろう。このまま1階に降りて外の逃げ道を探すのが当たり前だ。しかし、外に逃げられたら、羽山の作戦が終わってしまう。みんなを止めるにしてもこれもまた理由がない。みんな怖がって、3年生の教室から出られなくなっているが、いずれ動き出すだろ。
「みんな。ここは下に降りて、外に出てみよう」
ほらそう言うやつが現れたよ。羽山には悪いけど、僕じゃどうすることもできない。流されるままみんなについていくから、後は頑張ってくれ。
1階に降りてみると、来た時よりも空気が重く感じた。理由としては、校長室から漏れていた光がなくなっていたからだ。みんなそのことは気にしつつ、言葉にはしないようにして、中央出入り口に向かった。今いる階段の真裏だ。扉には大きなガラスが付けられていて、何も変わらない外の風景が見えて安心していたが、肝心の扉が動かなかった。初めはみんな鍵が締まっていると思い、瞬が鍵に手をかける。鍵は開いていたのだ。
「なんで開かないんだ!」
瞬が力尽くで開けようとするがびくともしない。ここの扉は開閉回数が教室以外のどこよりも多い。どこの扉よりも油を多く差している。鍵が締まってないかぎり開かないなんてことはない。意図的に開かなくしているのは羽山だろう。初めからこのつもりだったのか。やはり敵には回したくないな。って、感心している場合じゃない。僕も何かしないと不自然になる。
これは置かれていたのではなくて、積み上がっていたものが落ちたんだ。え……っていうことは、屋上に行こうかと言っていた時のあの音、ダンボールの自然落下だったのか。それはそれで怖いな。
と考えていると、廊下に耳が痛くなるような高い叫び声が響いた。慌てて階段を降りるふりをして、3階に降りると、真壁と山本が廊下を全力疾走していた。
そんな2人は僕の姿を見て足を止める。その場に、下から上がってきていた、細川が合流する。
「百合ちゃん何があったの?」
息を切らして涙目になっている真壁に細川が話しかける。
「出たんだよ!」
「出たって何が!」
「羽山さんが出たんだよ!」
羽山を驚かすために音楽室にこもっていた真壁たちにとっては、突然現れる羽山は幽霊並みに怖いのか。
今のところ羽山の思い通りにことが進んでいる。ここから先は僕は特に指示を受けていない。勝手に動いてくれってことだろうな。さて、どう動いたものか。羽山は今音楽室にいるから、動きやすいようにみんなを音楽室から離すのが役割か。この先には3階で僕らを見張っていた人たちがいるはずだ。とりあえず合流するか。いや、この人数を連れて下の階に降りたほうがいいか。まだ他にも潜伏している人はいるだろうし、そっち合流しよう。
「とりあえず、僕らはトランシーバーを持っていないから、下にいる人と合流しよう」
みんな考えることを諦めて、大人しく僕の提案に乗った。
後は任せた羽山。裕介たちを思う存分怖がらせてくれ。
「そういえば、下の階には誰か驚かせる人が待機しているの?」
真壁や山本は放心状態で応えることはできないだろうから、1番まともそうな細川に訊いた。
「うん。確か、2階の教室に早見君と川上君がいたと思う」
瞬と桜太か。どっちも僕とテストの点数は変わらないし、問題を起こすやつではない。僕が混じったところで何も起きない。
「後は監視している人とも合流できたらいいね」
山口と話をするのは久しぶりだが、それは困る気がする。みんな集まってしまったら、羽山が動きづらくなる。阻止するにしても、理由がないな。こんな時にバラバラに動くのはリスクが高い。まとまって行動するほうが何かあった時の対処がしやすい。もし羽山がいたら、みんなを納得させれるほどの言い訳を考えることができるのだろうけど、僕には無理だ。ことの顛末を見守ることしかできない。羽山、後はなんとかしてくれ。
2階に降りた僕たちは、3年生の教室に隠れていた、瞬と桜太と合流した。
「羽山が逃げ出して大変らしいな。それで羽山は捕まったの?」
瞬がそう言うが、それは僕らのほうが聞きたかった。今やトランシーバーを活用している人はいないのか。
「僕ら誰もトランシーバーを持っていないから、何も情報を知らないんだ。何か聞いていない?」
「いや、トランシーバーが、悲鳴が聞こえてから聞こえなくなって……」
と、瞬が言葉を止めたのには理由がある。それは3階から大きな悲鳴が聞こえたからだ。この声の主は裕介で間違いない。裕介の断末魔のような叫び声。誰もが3階を見つめるが、僕だけは違う視点から見ていた。
裕介可哀想に。羽山に復讐されたんだ。羽山を驚かせようとするからこんなことになるんだぞ。まあ、どちらも画策したのは僕だけど。これ知られたら、僕終わりじゃないか。裕介にも羽山にも、僕は手伝って欲しいって言ったのに。いやでも、羽山にはもうバレているようなものだし。羽山が余計なことを言わなかったら、裕介にばれることはない。よし、頼んだぞ羽山。
と、そんなことを考えている暇じゃなかった。裕介の悲鳴が聞こえて大変なんだった。
裕介の悲鳴が3階から聞こえたってことは、羽山は3階にいるってこと。逃げるにしても外に逃げるのがいいだろう。このまま1階に降りて外の逃げ道を探すのが当たり前だ。しかし、外に逃げられたら、羽山の作戦が終わってしまう。みんなを止めるにしてもこれもまた理由がない。みんな怖がって、3年生の教室から出られなくなっているが、いずれ動き出すだろ。
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