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28話
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準備の時間がなく、なんグループにも別れているみんなを見つけて驚かすのは難しいか。やはり仕掛けるのであればみんなが集まった瞬間。一斉に見て貰えばネタをいくつも考える必要もないしな。でも、デメリットとして、人数が多くいた方が怖さが薄れるということだ。下らない幽霊になりすましたら怖くないから、化けた意味自体がなくなる。バラバラの方が怖さは増すけど、どこに誰がいるのかも分からないから難しい。
全然考えがまとまらない。とりあえず決まっていることだけをまとめてみよう。
いつは、今日のどこか。どこで、学校内のどこか。誰が、僕が、もしくは羽山と共同で。何を。みんなを驚かせる。何故、おかかを食べられた復讐のために。どのように、幽霊に化けて。
具体性が全くないな。こんな杜撰な計画でみんなを驚かすことなんてできるのだろうか。やはり、羽山の協力は必須か。
でも問題はそれをどのタイミングで言うかというところだ。できるだけ早い方が羽山も考える時間が増える。考える時間が増えるほど、クオリティの高いものを実践できる。今の羽山は答えを聞く気がないから、今のままでは言えない。となれば、僕が制限時間を設ければいいのか。この時間になったら答えを言うと。答えを言ったら、そのまま協力してくれるか交渉。羽山のことだから乗ってくれると思う。あとは、変装問題だけだ。
ノックもせずに校長室に入ったからか、校長先生も羽山も僕の方を見ていた。羽山に関しては、僕がソファーに座るまで目で追っていた。
「顔に何か付いてる?」
「何も付いていないよ。ただ、トイレ長かったなって思って」
「ちょっと頑張っていただけだよ。あまり聞かないでくれ」
本当は、雅也と話していたり、考え事をしならら廊下をゆっくりと歩いていたからだ。雅也とは短時間しか話さないつもりだったけど、意外と時間を喰ってしまった。まあ、疑われていないからよしとしよう。
「羽山。今日のことだけど、学校を周るだけじゃなくて、前回みたいに七不思議の場所を周らない?」
「別にいいけど……何か企んでいる?」
「何も企んでないよ。前回は羽山が途中で倒れたから途中で終わったけど、今回が万全な状態なら一気に周れるかなって思って」
本当は企みまくっているけど、もう嘘をつくことに慣れた。
羽山は顎に手を当てて、険しい顔を浮かべ考えていた。
「確かに。前回はお世話になりました。今回もよろしくお願いします」
「……う、うん」
反応に困った僕は苦笑いが精一杯だった。
校長室を出て、羽山は「待って」と僕を呼び止める。
「七不思議の検証。どこから向かう?」
「前回と同じでいいんじゃない? そっちの方が続きっぽいし」
「うん。じゃあ、まずは音楽室から」
本当は音楽室に僕らの第1の仕掛けがあるから、1番に来てもらわないと困るからだ。そのあとは何が起こるのか知らない。
えーっと、前回は音楽室の後に、トイレに行って、屋上の階段を登って、西階段の鏡のところに行って、体育館に行ったんだっけ。みんなにこの情報を渡しておくべきだったな。隠れるにはもってこいの西階段には人が多くいそうだ。みんなごめん。どうにか頑張ってくれ。
校長室から目の前の廊下を通って、雅也たちが隠れている階段に差し掛かった。不意に上を見上げると、誰かがこちらを覗くように見ていた。それと目が合った。羽山は気づいていないみたいだったからよかったけど、もっと上手く監視することはできないのか。
知っているからってのもあるからかもしれないけど、若干足音も聞こえる。
本当は尻拭いなんてしたくないけど、音楽室までは共闘するってことにはしているから、羽山の気を逸らために用意した会話でもするか。
「そういえば羽山?」
「何。どうしたの?」
「僕がついている嘘。分かったの?」
「うっ……それがまだ全然……」
「そうだと思った。だから、制限時間を設けようと思って」
「え! なんで?」
「ずっと考えていても仕方ないだろ。ドラマだって時間が経てば答えを言うのだから、いずれは答え合わせをしないといけないんだよ」
「……うん。分かった。じゃあ、七不思議の検証が全部終わるまで」
そんな悠長に僕は待てないぞ。新たな計画を今立てているから。
「いや、音楽室の検証が終わるまでだ」
でないと、僕の新たに考えた計画が破綻する。
「そんな。それは短すぎるよ。せめて西階段くらいにして」
羽山もそう簡単には譲れないらしい。まあ、音楽室の検証なんて、時間で言うのならあと5分くらいしかないもんな。
そう言ってくると思っていたよ。でも、反論何も考えていない。だって、もうすでに頭がパンクしそうだから。
「西階段は遅すぎるよ。だから、間をとってトイレの花子さんの検証が終わった後とかどうかな?」
西階段だけはダメだ。この学校の階段はどこも声が響く。こそこそ話をしているのを聞かれるのはまずい。全部筒抜けになってしまう。
僕らの教室はトイレから遠いから、東端の音楽室から中央のトイレに行って、教室を2つ跨いで僕らの教室に戻るのは不自然だ。近くの教室には用がないから、入るとそれも不自然だ。
七不思議の検証を兼ねて、誰からも会話を聞かれない場所。それはもう屋上しかない。物陰に隠れるだけで会話を聞かれることはないだろうし。最悪、少しだけ外に出てもいいかもしれない。
だから、僕としては絶対に譲れないんだ。
「分かったよ。トイレまでね。それまでに答えを導き出すよ」
全然考えがまとまらない。とりあえず決まっていることだけをまとめてみよう。
いつは、今日のどこか。どこで、学校内のどこか。誰が、僕が、もしくは羽山と共同で。何を。みんなを驚かせる。何故、おかかを食べられた復讐のために。どのように、幽霊に化けて。
具体性が全くないな。こんな杜撰な計画でみんなを驚かすことなんてできるのだろうか。やはり、羽山の協力は必須か。
でも問題はそれをどのタイミングで言うかというところだ。できるだけ早い方が羽山も考える時間が増える。考える時間が増えるほど、クオリティの高いものを実践できる。今の羽山は答えを聞く気がないから、今のままでは言えない。となれば、僕が制限時間を設ければいいのか。この時間になったら答えを言うと。答えを言ったら、そのまま協力してくれるか交渉。羽山のことだから乗ってくれると思う。あとは、変装問題だけだ。
ノックもせずに校長室に入ったからか、校長先生も羽山も僕の方を見ていた。羽山に関しては、僕がソファーに座るまで目で追っていた。
「顔に何か付いてる?」
「何も付いていないよ。ただ、トイレ長かったなって思って」
「ちょっと頑張っていただけだよ。あまり聞かないでくれ」
本当は、雅也と話していたり、考え事をしならら廊下をゆっくりと歩いていたからだ。雅也とは短時間しか話さないつもりだったけど、意外と時間を喰ってしまった。まあ、疑われていないからよしとしよう。
「羽山。今日のことだけど、学校を周るだけじゃなくて、前回みたいに七不思議の場所を周らない?」
「別にいいけど……何か企んでいる?」
「何も企んでないよ。前回は羽山が途中で倒れたから途中で終わったけど、今回が万全な状態なら一気に周れるかなって思って」
本当は企みまくっているけど、もう嘘をつくことに慣れた。
羽山は顎に手を当てて、険しい顔を浮かべ考えていた。
「確かに。前回はお世話になりました。今回もよろしくお願いします」
「……う、うん」
反応に困った僕は苦笑いが精一杯だった。
校長室を出て、羽山は「待って」と僕を呼び止める。
「七不思議の検証。どこから向かう?」
「前回と同じでいいんじゃない? そっちの方が続きっぽいし」
「うん。じゃあ、まずは音楽室から」
本当は音楽室に僕らの第1の仕掛けがあるから、1番に来てもらわないと困るからだ。そのあとは何が起こるのか知らない。
えーっと、前回は音楽室の後に、トイレに行って、屋上の階段を登って、西階段の鏡のところに行って、体育館に行ったんだっけ。みんなにこの情報を渡しておくべきだったな。隠れるにはもってこいの西階段には人が多くいそうだ。みんなごめん。どうにか頑張ってくれ。
校長室から目の前の廊下を通って、雅也たちが隠れている階段に差し掛かった。不意に上を見上げると、誰かがこちらを覗くように見ていた。それと目が合った。羽山は気づいていないみたいだったからよかったけど、もっと上手く監視することはできないのか。
知っているからってのもあるからかもしれないけど、若干足音も聞こえる。
本当は尻拭いなんてしたくないけど、音楽室までは共闘するってことにはしているから、羽山の気を逸らために用意した会話でもするか。
「そういえば羽山?」
「何。どうしたの?」
「僕がついている嘘。分かったの?」
「うっ……それがまだ全然……」
「そうだと思った。だから、制限時間を設けようと思って」
「え! なんで?」
「ずっと考えていても仕方ないだろ。ドラマだって時間が経てば答えを言うのだから、いずれは答え合わせをしないといけないんだよ」
「……うん。分かった。じゃあ、七不思議の検証が全部終わるまで」
そんな悠長に僕は待てないぞ。新たな計画を今立てているから。
「いや、音楽室の検証が終わるまでだ」
でないと、僕の新たに考えた計画が破綻する。
「そんな。それは短すぎるよ。せめて西階段くらいにして」
羽山もそう簡単には譲れないらしい。まあ、音楽室の検証なんて、時間で言うのならあと5分くらいしかないもんな。
そう言ってくると思っていたよ。でも、反論何も考えていない。だって、もうすでに頭がパンクしそうだから。
「西階段は遅すぎるよ。だから、間をとってトイレの花子さんの検証が終わった後とかどうかな?」
西階段だけはダメだ。この学校の階段はどこも声が響く。こそこそ話をしているのを聞かれるのはまずい。全部筒抜けになってしまう。
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七不思議の検証を兼ねて、誰からも会話を聞かれない場所。それはもう屋上しかない。物陰に隠れるだけで会話を聞かれることはないだろうし。最悪、少しだけ外に出てもいいかもしれない。
だから、僕としては絶対に譲れないんだ。
「分かったよ。トイレまでね。それまでに答えを導き出すよ」
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