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第1章
9話
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村のあちこちへ歩き回っては名前を訊いて、東の国についての情報を集めた。
どうやらここの村人は何かしらの薬の名前を持っている様だ。
近くにいた冒険者は、プレド・ニンと名乗り、更にその近くにいた夫婦は、夫がプラノで妻がメチコ、ファミリーネームはバールと名乗った。プラノバール、メチコバールどちらも地球では薬の名前だ。
この話し掛けた3人に東の国について訊いてみるが、トラマドールが言ったの同じ、場所は知っているが中に入ったことはないと言い、進展はなかった。だけど、道順を尋ねると、3人とも同じ方向、同じ道順を答えた。こればかりはその道順で間違いないと思う。
噴水の前に戻り噴水の石段に座り、考える人の体勢を取りつつ、頭の中でそんな思考を巡らせていた。
それともう1つ。単純にお腹が空いた。
「兄ちゃん、また会ったな! 腹空いているのか! だったらうちの店来いよ! サービスしてやっからな!」
噴水の前で、盛大に腹から鳴らした楽器の音を見事に聞かれてしまった。
でもこれは好機。一文無しの俺には、頼れる人間がこいつくらいしかいない。と言うか、こいつ以外の人間と碌に話をしていないから、誰にどうやって訊いていいのか分からなかった。
「すまないが、俺は金を持っていないんだ。だから、飯は食べられない」
これは何よりも深刻な問題だ。
3 hour temperture.
3 day water.
3 week food.
と言う言葉を知っているだろうか。
これは、遭難した際などの生存の可能性の基準になるもので、人は3時間以上正常に体温を維持できなければ死ぬ可能性が高い。人は3日間以上水を摂らなければ死ぬ可能性が高い。人は3週間以上何も食べなければ死ぬ可能性が高い。と言うものだ。
このまま何も食べずに過ごしたなら、俺の命は3週間。だけど、それよりも深刻なのが、1番初めの正常な体温の維持だ。
通常の人間の体温は36度から37度、快適温度は23±2度。俺の服装は薄い長袖パーカーの下に半袖シャツを着ているだけ。下はデニムと下着のパンツそれぞれ1枚。
こっちの気温は現代に比べて夏っぽいのに気温が低い。日が沈みかけの現在気温は更に下がり続けている。
もう既に俺自身は寒さを感じている。
「何だ、兄ちゃん何も持っていないのか? それならそうと先に言ってくれればよかったのに」
言える状況じゃなかったのと、言い方が分からなかったのだよ。それと、もうトラマドールと話すことなんてない、と心の中で思っていたけど、もう話す機会がやってくるとは思いもしなかった。
「それならまず、村長のところに行けば何とかなると思うぞ! 何なら俺が案内してやろうか?」
それは是非ともしてもらいたい。何せ来たばかりで道どころか、何がどこにあるのかさっぱり分からない。
勝手に歩き出したトラマドールの背を追いかけ、見知らぬ村をまた歩き出した。
初めは期待と興奮で乗り切れたものの、村長の家までの道のりが長い。
噴水は、やはり村の中心部にある様だが、村長の家は門から1番遠い所、聞く話によれば、少し遠くに見える山の麓だそうだ。
ここからの距離で言うなら直線距離で500メートルはある。
そう言えば、門番をしていた兵士の1人も「何もないなら村長の所へいくといい」って、言ってたな。
そんなことを考えながら只管に歩き続けた。
まだか、まだかと考えると、道のりは余計に長く感じるだから、つまらないことでもいいから別のことを考えた。
何なら、トラマドールが話し掛けてくれればこの道のりは楽になるのだが、こう言う時に限って彼は一言も喋らない。
また、暫く歩き続けて、辺りはすっかり暗くなってしまった。
村の中とは言え、街灯は勿論無いのでトラマドールが持って来た松明1本が唯一の灯りとなっていた。
それに、さっきまでとは違って、辺りには木々が生い茂っていた。
また森が広がっていると考えただけで、足の動きは止まりそうだった。
「兄ちゃん見えてきたぞ!」
久しぶりに喋ったと思えば、見えてきただって? こっちはもう限界何だが?
下ばかり見ていた顔を上げると、真っ暗だと思っていた周りに松明が幾つも飾られていて、和風の門の前で槍を持った兵士が2人村の入り口と同じ様に立っていた。
村の入り口と違うことは1つ、槍を使って行く道を遮られなかったことだ。
「この人が言ってた人か?」
「そうなんですよー。エソメ村長に会わせに来たんですよー」
そんな会話を横目に聞きながら、早く中に入りたい気持ちを抑え込んでいた。
それから、どんな会話を重ねたのか知らないが、兵士が先導し中へと案内された。
門は和風な割に建物は和風ではなく、洋風、洋館そのものだった。
門から建物までは50メートルくらいあり、道も石畳で舗装されていた。傍には枯山水があり和洋折衷建築と言うか、和洋の良さが入り乱れていた。
石が積まれた建物を前に、大きな木の扉が開いた。流石、村長の家だと言うこともあって扉は分厚い。城門の扉くらい分厚い扉だ。
「どうぞ中にお入り下さい」
扉を開けた兵士に言われ、トラマドールが先導し村長の家へと入って行った。
どうやらここの村人は何かしらの薬の名前を持っている様だ。
近くにいた冒険者は、プレド・ニンと名乗り、更にその近くにいた夫婦は、夫がプラノで妻がメチコ、ファミリーネームはバールと名乗った。プラノバール、メチコバールどちらも地球では薬の名前だ。
この話し掛けた3人に東の国について訊いてみるが、トラマドールが言ったの同じ、場所は知っているが中に入ったことはないと言い、進展はなかった。だけど、道順を尋ねると、3人とも同じ方向、同じ道順を答えた。こればかりはその道順で間違いないと思う。
噴水の前に戻り噴水の石段に座り、考える人の体勢を取りつつ、頭の中でそんな思考を巡らせていた。
それともう1つ。単純にお腹が空いた。
「兄ちゃん、また会ったな! 腹空いているのか! だったらうちの店来いよ! サービスしてやっからな!」
噴水の前で、盛大に腹から鳴らした楽器の音を見事に聞かれてしまった。
でもこれは好機。一文無しの俺には、頼れる人間がこいつくらいしかいない。と言うか、こいつ以外の人間と碌に話をしていないから、誰にどうやって訊いていいのか分からなかった。
「すまないが、俺は金を持っていないんだ。だから、飯は食べられない」
これは何よりも深刻な問題だ。
3 hour temperture.
3 day water.
3 week food.
と言う言葉を知っているだろうか。
これは、遭難した際などの生存の可能性の基準になるもので、人は3時間以上正常に体温を維持できなければ死ぬ可能性が高い。人は3日間以上水を摂らなければ死ぬ可能性が高い。人は3週間以上何も食べなければ死ぬ可能性が高い。と言うものだ。
このまま何も食べずに過ごしたなら、俺の命は3週間。だけど、それよりも深刻なのが、1番初めの正常な体温の維持だ。
通常の人間の体温は36度から37度、快適温度は23±2度。俺の服装は薄い長袖パーカーの下に半袖シャツを着ているだけ。下はデニムと下着のパンツそれぞれ1枚。
こっちの気温は現代に比べて夏っぽいのに気温が低い。日が沈みかけの現在気温は更に下がり続けている。
もう既に俺自身は寒さを感じている。
「何だ、兄ちゃん何も持っていないのか? それならそうと先に言ってくれればよかったのに」
言える状況じゃなかったのと、言い方が分からなかったのだよ。それと、もうトラマドールと話すことなんてない、と心の中で思っていたけど、もう話す機会がやってくるとは思いもしなかった。
「それならまず、村長のところに行けば何とかなると思うぞ! 何なら俺が案内してやろうか?」
それは是非ともしてもらいたい。何せ来たばかりで道どころか、何がどこにあるのかさっぱり分からない。
勝手に歩き出したトラマドールの背を追いかけ、見知らぬ村をまた歩き出した。
初めは期待と興奮で乗り切れたものの、村長の家までの道のりが長い。
噴水は、やはり村の中心部にある様だが、村長の家は門から1番遠い所、聞く話によれば、少し遠くに見える山の麓だそうだ。
ここからの距離で言うなら直線距離で500メートルはある。
そう言えば、門番をしていた兵士の1人も「何もないなら村長の所へいくといい」って、言ってたな。
そんなことを考えながら只管に歩き続けた。
まだか、まだかと考えると、道のりは余計に長く感じるだから、つまらないことでもいいから別のことを考えた。
何なら、トラマドールが話し掛けてくれればこの道のりは楽になるのだが、こう言う時に限って彼は一言も喋らない。
また、暫く歩き続けて、辺りはすっかり暗くなってしまった。
村の中とは言え、街灯は勿論無いのでトラマドールが持って来た松明1本が唯一の灯りとなっていた。
それに、さっきまでとは違って、辺りには木々が生い茂っていた。
また森が広がっていると考えただけで、足の動きは止まりそうだった。
「兄ちゃん見えてきたぞ!」
久しぶりに喋ったと思えば、見えてきただって? こっちはもう限界何だが?
下ばかり見ていた顔を上げると、真っ暗だと思っていた周りに松明が幾つも飾られていて、和風の門の前で槍を持った兵士が2人村の入り口と同じ様に立っていた。
村の入り口と違うことは1つ、槍を使って行く道を遮られなかったことだ。
「この人が言ってた人か?」
「そうなんですよー。エソメ村長に会わせに来たんですよー」
そんな会話を横目に聞きながら、早く中に入りたい気持ちを抑え込んでいた。
それから、どんな会話を重ねたのか知らないが、兵士が先導し中へと案内された。
門は和風な割に建物は和風ではなく、洋風、洋館そのものだった。
門から建物までは50メートルくらいあり、道も石畳で舗装されていた。傍には枯山水があり和洋折衷建築と言うか、和洋の良さが入り乱れていた。
石が積まれた建物を前に、大きな木の扉が開いた。流石、村長の家だと言うこともあって扉は分厚い。城門の扉くらい分厚い扉だ。
「どうぞ中にお入り下さい」
扉を開けた兵士に言われ、トラマドールが先導し村長の家へと入って行った。
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