85 / 144
合宿の予定を 5
しおりを挟む
山河内さんは、ため息を吐いた。
「歌恋は知らないと思うけど、今日は地学部でも合宿について話し合っていたの。もちろん私は、美里キャンプ場を推したのだけど、投票の結果で負けてしまって。悔しいけど、決まったことだから。そうと決まれば予習もしたいと思って。何も知らないままで行くのは嫌だから。だから地学部よりも先に合宿したい。できれば七月中がいい」
『不本意』の理由は、実に山河内さんらしい理由だった。
「なるほどです。では七月中に行くことを を軸に日程を決めていきましょう」
「みんな大丈夫? 課題と勉強で忙しいかもしれないけど……」
「大丈夫ですよ。中田さんは七月中なんて課題に一切手をつけていませんから」
なぜ僕はここで辱めを受けないといけなかったのかわからないが、それが事実だから言い返す言葉が思いつかなかった。
山河内さんもフォローの言葉が見つからないのか、僕の方を見てすぐ目を逸らし話をすり替えた。
「夏休みが始まった土日は、人が多いだろうからできれば平日がいいよね。地学部の部活は言うほど厳しくないからいつでも大丈夫だと思うよ」
「そうなのですね。私たちも夏休み中の部活はないので七月中でも全然大丈夫ですよ。みなさんも予定があるなら事前に教えてください。ずらしながら日程を合わせましょう」
一番は岡澤君が手を挙げた。
「八月からはバイトがあるけん後半は難しいけど、七月中やったらいつでも空いとる」
今度は相澤さんが手を挙げた。
「私はお盆の期間中、祖父母の家に帰るからそれ以外なら全然空いているよ」
すかさず今度は、堺さんが手を挙げた。
「私は七月の二十六日と八月の後半は予定があるからそれ以外なら大丈夫」
「みなさんの話を纏めると、七月の二十二日と二十三日かがよさそうですね。みなさんどうですか?」
「夏休み始まってすぐだけど、みんなで勉強会できるからそれで行こう!」
それは間接的に勉強道具を持ってこいと言っていると言うことだろう。前回は僕のせいで大変な目にあったから、事前に全員に伝えることであのイベントを回避しようとしている。
「今回は肝試しなんてしませんよ。碧ちゃんの声は近所迷惑なので」
「歌恋が驚かすからじゃん!」
「反応が面白いのでつい」
「絶対変なことしないでよね」
「しませんよ。私をなんだと思っているのですか?」
「夜とお泊まりの時だけは天敵」
「夜中にトイレで起きても、付いて行きませんよ」
「歌恋~それだけはやめて~」
如月さんは、抱きつく山河内さんの頭を撫でながら勝ち誇った顔をしていた。
「そんなことよりみなさん、二十二日、二十三日で大丈夫ですか?」
その意見に反対するものはおらず、地学部と恋愛科学研究会での合同の合宿は、七月の二十二日と二十三日に決まった。
「歌恋は知らないと思うけど、今日は地学部でも合宿について話し合っていたの。もちろん私は、美里キャンプ場を推したのだけど、投票の結果で負けてしまって。悔しいけど、決まったことだから。そうと決まれば予習もしたいと思って。何も知らないままで行くのは嫌だから。だから地学部よりも先に合宿したい。できれば七月中がいい」
『不本意』の理由は、実に山河内さんらしい理由だった。
「なるほどです。では七月中に行くことを を軸に日程を決めていきましょう」
「みんな大丈夫? 課題と勉強で忙しいかもしれないけど……」
「大丈夫ですよ。中田さんは七月中なんて課題に一切手をつけていませんから」
なぜ僕はここで辱めを受けないといけなかったのかわからないが、それが事実だから言い返す言葉が思いつかなかった。
山河内さんもフォローの言葉が見つからないのか、僕の方を見てすぐ目を逸らし話をすり替えた。
「夏休みが始まった土日は、人が多いだろうからできれば平日がいいよね。地学部の部活は言うほど厳しくないからいつでも大丈夫だと思うよ」
「そうなのですね。私たちも夏休み中の部活はないので七月中でも全然大丈夫ですよ。みなさんも予定があるなら事前に教えてください。ずらしながら日程を合わせましょう」
一番は岡澤君が手を挙げた。
「八月からはバイトがあるけん後半は難しいけど、七月中やったらいつでも空いとる」
今度は相澤さんが手を挙げた。
「私はお盆の期間中、祖父母の家に帰るからそれ以外なら全然空いているよ」
すかさず今度は、堺さんが手を挙げた。
「私は七月の二十六日と八月の後半は予定があるからそれ以外なら大丈夫」
「みなさんの話を纏めると、七月の二十二日と二十三日かがよさそうですね。みなさんどうですか?」
「夏休み始まってすぐだけど、みんなで勉強会できるからそれで行こう!」
それは間接的に勉強道具を持ってこいと言っていると言うことだろう。前回は僕のせいで大変な目にあったから、事前に全員に伝えることであのイベントを回避しようとしている。
「今回は肝試しなんてしませんよ。碧ちゃんの声は近所迷惑なので」
「歌恋が驚かすからじゃん!」
「反応が面白いのでつい」
「絶対変なことしないでよね」
「しませんよ。私をなんだと思っているのですか?」
「夜とお泊まりの時だけは天敵」
「夜中にトイレで起きても、付いて行きませんよ」
「歌恋~それだけはやめて~」
如月さんは、抱きつく山河内さんの頭を撫でながら勝ち誇った顔をしていた。
「そんなことよりみなさん、二十二日、二十三日で大丈夫ですか?」
その意見に反対するものはおらず、地学部と恋愛科学研究会での合同の合宿は、七月の二十二日と二十三日に決まった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる