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緑の帝王編
第17話 第3回戦!?
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「クラウディーだったかしら次の対戦相手。ボディーブローが凄かったわよね。
お腹にイジュースをもっていけないかしら。
無理なら相当な痛手だわ。」
「何ボソボソつぶやいてんのサンディル??」
サンクチュアリはサンディルに指摘した。
「仕方ないじゃない!次の相手めちゃくちゃ強そうだったから。
…また壁の女神に聞けば何か得られるものがあるんじゃ……」
サンディルは提案してみた。
「なら、ここに人が集まってる間に行ってみるか?」
ダンドルは会場に人が集まってるのをチャンスに壁の女神の所へ向かってみるかと言った。
「それがいいね!なら今すぐ行こう!!」
サンクチュアリは言った。
そして3人は壁の女神の元へ向かった。
壁の女神前にて…
「悪いけどサンディル、クラウディーという名の人がここに訪れたことは無いわ。」
「という事は……作戦はたてられないってことなの!?」
「悪いわね、協力出来なくて…。」
サンディルは動揺した。
「3回戦、どうしましょう!!なんの情報も無しに戦うなんて無茶だわ!!」
「でも1回戦のスクラート戦はなんの情報もなしに勝てたじゃん。」
ダンドルは言った。
「スクラートは優しかったのよ!!
一気に攻め込んだりしなかったわ!!
しかも、1回戦は肘ヒザ有りルールだったじゃない!!」
「3回戦は近接武器有りだよ。」
「だから3回戦は……今なんて?」
「3回戦は近接武器有りの戦いになるんだよ。」
サンクチュアリは淡々と話した。
「近接武器って何!?もしかして銃とか!?!?」
「銃って何??」
壁の女神とダンドルとサンクチュアリが同時に尋ねてきた。
「銃っていうのはその……引き金を引いたら物凄い速度で鉄の玉が飛んでくる武器よ!」
「多分それ、あったとしても近接武器じゃないよね?」
ダンドルは言った。
「鉄の玉か、かっこいいな!!」
サンクチュアリは銃というものに興味を持った。
「銃がこの世界に無いのは安心ね。
それで近接武器っていうのはどこにあるの??」
「会場で色んな種類の武器が置いてあってその中から選ぶの。」
壁の女神が解説した。
「へぇー最高。命懸けの戦いになるのね。」
サンディルは半分呆れていた。
「でもそれも乗り越えないと。
緑の帝王倒すんでしょ??そのくらいで色々言ってたら勝てるものも勝てないよ?」
サンクチュアリが正論を言った。
「近接武器なんだから近づかなきゃやられないよ。
まぁ、近づかなきゃ倒せないか。」
ダンドルももっともなことを言った。
「ちなみに、近接武器ってどんなのがあるの??」
「例えばそうね…棒術用の棒とかあと丸くてトゲのあるでかいヤツとか刀みたいなやつとか……とにかく色々あるのよ。」
「棒術の棒ってしなやかに曲がるやつよね。
それなら扱えそう。」
サンディルは少し自信がもてた。
「次の大会まで後3日あるわ。
よく考えてね。」
壁の女神はそう言うと消えていった。
サンディルは考察し始めた。
「しなやかな棒が使えるならいいわね。
おそらくこっちがイジュースの勢いで流したパワーが棒を伝って反動を起こすわ。
もしクラウディーがでっかい武器を使ってくるなら、棒を使った方がいいわね。」
サンディルは確信した。
「3日後の試合、絶対に勝つわ!!
ダンドル、サンクチュアリ、私にエールを送ってね!」
「うん!」「当然だ。」
ダンドルとサンクチュアリはそう返答した。
3日後……
「さぁ!!お待たせしました!!
この格闘大会も後半に差し掛かってまいりましたねぇ!!眠ることを忘れ、昨日から待ってくれていた最前列の人達!!お疲れ様です!!」
「とうとう本番がやってきたわ。
武器を使った大一番!
武器はどこにあるのかしら??」
サンディルは係の人に武器の場所を聞いた。
「あぁ。武器ですね、こちらになります。」
係の人が分厚いカーテンを開くとそこにはきちんと整備された大量の武器が揃っていた。
「わぉ……すごい。ちょっと2人とも来てよ!!」
サンディルは感動してダンドルとサンクチュアリを呼んだ。
「これは凄いな。1人いくつまで武器を持てるんだろう!」
ダンドルは言った。
「ひとつっすよ。絶対にね。」
係の人は言った。
すると、隣から体のでかい男が中に入ってきた。
クラウディーだ。
「おお…でかい…」
サンディルは呆然としていた。
そして、サンディルとクラウディーは目が合った。
クラウディーがこっちに近づいてきた。
「君がサンディル・ブランデーか。」
「はい……そうです……。」
「今日はよろしくな。」
クラウディーは握手の手を差し伸べてきた。
「手がでけぇ……」
サンディルは内心そう思った。
「よ…よろしく!」
サンディルはクラウディーとなんとか握手をした。
「君はどんな武器を選ぶ?」
クラウディは質問した。
「えぇと私なら…この長い棒を選ぶかな…。
あなたは……?」
サンディルは質問を返した。
クラウディーはでかい丸くてトゲのある重そうな武器を選んで言った。
「この方が俺に向いている。」
「へ…へぇー。」
「ゴトン」
クラウディーは武器を1度置いた。
サンディルはビクついていた。
ダンドルとサンクチュアリはと言うと、クラウディーがやってきた所からずっと口を開けていた。
「係の人、俺はこの武器に決めた。」
クラウディーはそう言うとまた武器を持って、奥の楽屋に消えていった。
「はぁー…迫力のある人だなぁ…。」
サンディルはこれからこの人と戦うことになる事をすっかり忘れてしまっていた。
「係の人、私も武器を決めたわ。」
サンディルの手には鉄でできたよくしなり、先端に石の刃物がついた槍のような武器があった。
「俺に聞かれたってしるか。
俺には決める権限は無いんだ。
司会者に言ってくれ。」
係の人はそう言うと、役目を終えたのか楽屋とは別方向に消えていった。
「サンディル、後3分で試合が始まるよ!!準備して!!今回君は青コーナーだ!!」
司会者がサンディルを呼んで来てくれた。
「わかったわ!!準備する!!」
サンディルは例の槍をもってリングへ向かった。
「これより!!第3回戦!!1回試合を行います!!!
赤コーナー、身長196cm体重89kg。
目に見えないボディーブロー!!!
アガサ!!クラウ!!ディー!!
青コーナー、身長153cm体重65kg。
巨漢を倒す超人!!サンディルーー!!!
ブラン!!デーー!!!」
「クラウディーー!!!男の意地をみせてくれーー!!!」
「やれーー!!サンディル!!!シルバディの仇ーー!!!」
今回の応援の比率は半分半分だった。
「サンディルーー!!シルバディの事は気にするなーー!!!」
ダンドルはそう叫んだが、近くにいたシルバディファンに睨まれた。
「あぁ、ごめん…」
ダンドルは思わず謝った。
リングでは審判が近づいてルールの確認をした。
「肘ヒザ有り、近接武器ありルールです。
問題ありませんか?」
「了解です。」「了解です。」
2人はそう返事すると、それぞれのコーナーへ移動した。
「さぁ!!ご覧の皆さん!!これが挑戦者どうしの最後の試合です!!
目をそらせませんねぇ!!
それではまもなくゴングがなります!!」
サンディルは息を飲んだ。
武器を使った初めての試合。
そして、
「カーーン」
ゴングは鳴った。
サンディルは槍をクラウディーに突きつけた。
しかし、クラウディーは丸いトゲのある武器で槍の一撃を受け流した。
槍はぽよよよーんっと左右にぶれた。
「クラウディーの武器が剛なら私の武器は柔ね。
「柔よく剛を制す」という言葉は武器同士の間でも通じるのかしら??」
サンディルは不安になりながら考察していた。
「なかなか手強いなその武器」
クラウディーが戦いながら話しかけてきた。
そして、あのどでかい武器を振り回して近づいてきた。
「あなたの武器こそ」
サンディルは返事をした。
「まずいわね…これじゃ相手に槍でダメージを与えられないわ。それよりも前にあのでかいトゲに刺される。何とか柔らかさを活かして戦えないかしら……。」
サンディルはまたもや考察をした。
すると、クラウディーはサンディルのスレスレで武器を振りかざしてきた。
「危ない!!」
スレスレだったため、サンディルは何とか避けきった。
「甘く見るなよ。俺はいつだって本気だ。」
クラウディーは完全に手を抜かずに倒す気でいたのが重々伝わってきた。
「この武器のチョイスは失敗だったかもしれない!長さだけじゃ戦えなかったわ!!
イジュースも上手く使えない!!」
サンディルは後悔した。
しかし、後悔したところでどうしようもない。この現状を打破する必要がある。
クラウディーの攻撃がまた来た。
丸いトゲを右に左に何度も振り回しながら攻撃をやめない。
サンディルはここでイジュースを使って足腰を強化し、吹き飛ばされないように堪えた。
攻撃はまだ止まない。
上下に左右にクラウディーの攻撃は続いたのであった。
「どうする!考えろ考えろ考えろ!!
柔を利用して勝つ方法を!!」
サンディルは全力で考えた。
そして閃いた。
「反動…!反動を利用してみればいいんだわ!!」
そう思いつくとサンディルは槍をクラウディーの武器にぶつけて思いっきり曲げた。
そしてクラウディーの顔の前で一気に解放した。
すると、槍はぼよよよーんと跳ねて、尖った部分がクラウディーの顔に痛烈にヒットした。
「バシィッッ!!」
クラウディーは思わずよろけて倒れかけた。
しかし、クラウディーは意地をみせて倒れなかった。
「間違ってなかった!!私武器のジャッジを間違えてなんかいなかったんだわ!!
これで正解だったのよ!!!」
サンディルの頭の中はサッと晴れた。
「考えたな…サンディル・ブランデー……
俺も……頭を使って…戦わないとな……。」
クラウディーはまた話しかけてきた。
「えぇ。危機を無事乗り越えられたわ。」
「なら俺も……頭を使わないとな……」
そう言うとクラウディーはまた武器をもって仕掛けてきた。
サンディルはまた同じことをやろうとして、わざと武器どうしをぶつけた。
槍はぐいっと曲がり、解放させようとしたがクラウディーがそうさせなかった。
リングでは太い棒に丸いトゲのある武器と曲がった槍が火花を散らしていた。
「このままへしおってやる!!!」
「解放してもう1発ぶちこんでやるの!!!」
「ミシッミシッ……バキッ!!」
サンディルの槍はとうとう折れてしまった。
「そんなっ……!!」
「サンディル!!君は強い相手だった!!これで終わりだ!!!」
クラウディーが武器をサンディルに振りかざした。
「いや、まだ終わってない!!!」
サンディルはそう言うとポルテチオを唱えイジュースを出した。
イジュースを脚に吸い込ませるとサンディルはひょいと攻撃を交わした。
「武器なんて必要ないわ!私にはイジュースがある!!」
クラウディーはまた武器を振り上げもう一度サンディルにむかって振り下ろした。
その隙を狙ってサンディルは武器の上に乗り、クラウディーの懐まで走った。
「何!?何を考えているんだ!!」
意外すぎる行動にクラウディーも驚いた口調だった。
「武器をなくしてもサンディルにはイジュースがあるんだ!!」
観客席からダンドルの肩車に乗ったサンクチュアリが叫んだ。
サンディルは懐まで走ると、ヒザにイジュースを流した。
そして力を込めてクラウディーの顎に思いっきり強烈なヒザをかました。
クラウディーは倒れてダウンした。
審判が様子見をして、試合は終了した。
「カンカンカンカンカーーン!!」
「試合終了!!勝者!!サンディルーー!!ブランデー!!!」
サンディルは見事に勝利を勝ち取った。
「見たか!?サンディルが勝ったぞ!!」
ダンドルは興奮していた。
「当然見てたよ!!とんでもない勝利だ!!!」
サンクチュアリも同じだった。
司会者がサンディルにトロフィーを渡しに来た。
「ご覧下さい!!こちらが今回の勝者!!サンディル・ブランデーです!!
どうですか!?今のお気持ちは!!」
「えぇ、とても清々しいです。」
サンディルは今感じてることを口に出した。
「クラウディーは前回の勝者でしたが、それなりに手応えはありましたか?」
司会者もなかなかのところをついてきた。
「はい…とても強いと思いました。
何度も負けると思ったのですが、なんとか無事に勝てて良かったです。
でも、最後の相手が本命なのでまだ喜びは無いです。」
サンディルは淡々としていた。
「挑戦するのですね!!センピグネスに!!一体センピグネスの誰との戦いをのぞんでいるのですか!?」
会場の全員が息を呑んだ。
そして、サンディルは言った。
「緑の帝王、私はあなたとの勝負を望むわ。」
会場はシーンとなった。司会者も黙ってしまった。
「まぁ、そうなるわな。」
ダンドルはボソッと言った。
そして会場はざわつき始めた。
「緑の帝王って!あの緑の帝王!?」
「嘘でしょ!?センピグネスの長よ!!」
「倒せるはずがない!!」
色んな声があった。しかし、サンディルはぶれなかった。
そして、センピグネスの1人がリングへ走ってやってきて言った。
「緑の帝王が、試合を許可したぞー!!!」
会場は大盛り上がりをみせた。
「とんでもないワンマッチが開かれるぞ!!」
サンディルは覚悟を決めた。
お腹にイジュースをもっていけないかしら。
無理なら相当な痛手だわ。」
「何ボソボソつぶやいてんのサンディル??」
サンクチュアリはサンディルに指摘した。
「仕方ないじゃない!次の相手めちゃくちゃ強そうだったから。
…また壁の女神に聞けば何か得られるものがあるんじゃ……」
サンディルは提案してみた。
「なら、ここに人が集まってる間に行ってみるか?」
ダンドルは会場に人が集まってるのをチャンスに壁の女神の所へ向かってみるかと言った。
「それがいいね!なら今すぐ行こう!!」
サンクチュアリは言った。
そして3人は壁の女神の元へ向かった。
壁の女神前にて…
「悪いけどサンディル、クラウディーという名の人がここに訪れたことは無いわ。」
「という事は……作戦はたてられないってことなの!?」
「悪いわね、協力出来なくて…。」
サンディルは動揺した。
「3回戦、どうしましょう!!なんの情報も無しに戦うなんて無茶だわ!!」
「でも1回戦のスクラート戦はなんの情報もなしに勝てたじゃん。」
ダンドルは言った。
「スクラートは優しかったのよ!!
一気に攻め込んだりしなかったわ!!
しかも、1回戦は肘ヒザ有りルールだったじゃない!!」
「3回戦は近接武器有りだよ。」
「だから3回戦は……今なんて?」
「3回戦は近接武器有りの戦いになるんだよ。」
サンクチュアリは淡々と話した。
「近接武器って何!?もしかして銃とか!?!?」
「銃って何??」
壁の女神とダンドルとサンクチュアリが同時に尋ねてきた。
「銃っていうのはその……引き金を引いたら物凄い速度で鉄の玉が飛んでくる武器よ!」
「多分それ、あったとしても近接武器じゃないよね?」
ダンドルは言った。
「鉄の玉か、かっこいいな!!」
サンクチュアリは銃というものに興味を持った。
「銃がこの世界に無いのは安心ね。
それで近接武器っていうのはどこにあるの??」
「会場で色んな種類の武器が置いてあってその中から選ぶの。」
壁の女神が解説した。
「へぇー最高。命懸けの戦いになるのね。」
サンディルは半分呆れていた。
「でもそれも乗り越えないと。
緑の帝王倒すんでしょ??そのくらいで色々言ってたら勝てるものも勝てないよ?」
サンクチュアリが正論を言った。
「近接武器なんだから近づかなきゃやられないよ。
まぁ、近づかなきゃ倒せないか。」
ダンドルももっともなことを言った。
「ちなみに、近接武器ってどんなのがあるの??」
「例えばそうね…棒術用の棒とかあと丸くてトゲのあるでかいヤツとか刀みたいなやつとか……とにかく色々あるのよ。」
「棒術の棒ってしなやかに曲がるやつよね。
それなら扱えそう。」
サンディルは少し自信がもてた。
「次の大会まで後3日あるわ。
よく考えてね。」
壁の女神はそう言うと消えていった。
サンディルは考察し始めた。
「しなやかな棒が使えるならいいわね。
おそらくこっちがイジュースの勢いで流したパワーが棒を伝って反動を起こすわ。
もしクラウディーがでっかい武器を使ってくるなら、棒を使った方がいいわね。」
サンディルは確信した。
「3日後の試合、絶対に勝つわ!!
ダンドル、サンクチュアリ、私にエールを送ってね!」
「うん!」「当然だ。」
ダンドルとサンクチュアリはそう返答した。
3日後……
「さぁ!!お待たせしました!!
この格闘大会も後半に差し掛かってまいりましたねぇ!!眠ることを忘れ、昨日から待ってくれていた最前列の人達!!お疲れ様です!!」
「とうとう本番がやってきたわ。
武器を使った大一番!
武器はどこにあるのかしら??」
サンディルは係の人に武器の場所を聞いた。
「あぁ。武器ですね、こちらになります。」
係の人が分厚いカーテンを開くとそこにはきちんと整備された大量の武器が揃っていた。
「わぉ……すごい。ちょっと2人とも来てよ!!」
サンディルは感動してダンドルとサンクチュアリを呼んだ。
「これは凄いな。1人いくつまで武器を持てるんだろう!」
ダンドルは言った。
「ひとつっすよ。絶対にね。」
係の人は言った。
すると、隣から体のでかい男が中に入ってきた。
クラウディーだ。
「おお…でかい…」
サンディルは呆然としていた。
そして、サンディルとクラウディーは目が合った。
クラウディーがこっちに近づいてきた。
「君がサンディル・ブランデーか。」
「はい……そうです……。」
「今日はよろしくな。」
クラウディーは握手の手を差し伸べてきた。
「手がでけぇ……」
サンディルは内心そう思った。
「よ…よろしく!」
サンディルはクラウディーとなんとか握手をした。
「君はどんな武器を選ぶ?」
クラウディは質問した。
「えぇと私なら…この長い棒を選ぶかな…。
あなたは……?」
サンディルは質問を返した。
クラウディーはでかい丸くてトゲのある重そうな武器を選んで言った。
「この方が俺に向いている。」
「へ…へぇー。」
「ゴトン」
クラウディーは武器を1度置いた。
サンディルはビクついていた。
ダンドルとサンクチュアリはと言うと、クラウディーがやってきた所からずっと口を開けていた。
「係の人、俺はこの武器に決めた。」
クラウディーはそう言うとまた武器を持って、奥の楽屋に消えていった。
「はぁー…迫力のある人だなぁ…。」
サンディルはこれからこの人と戦うことになる事をすっかり忘れてしまっていた。
「係の人、私も武器を決めたわ。」
サンディルの手には鉄でできたよくしなり、先端に石の刃物がついた槍のような武器があった。
「俺に聞かれたってしるか。
俺には決める権限は無いんだ。
司会者に言ってくれ。」
係の人はそう言うと、役目を終えたのか楽屋とは別方向に消えていった。
「サンディル、後3分で試合が始まるよ!!準備して!!今回君は青コーナーだ!!」
司会者がサンディルを呼んで来てくれた。
「わかったわ!!準備する!!」
サンディルは例の槍をもってリングへ向かった。
「これより!!第3回戦!!1回試合を行います!!!
赤コーナー、身長196cm体重89kg。
目に見えないボディーブロー!!!
アガサ!!クラウ!!ディー!!
青コーナー、身長153cm体重65kg。
巨漢を倒す超人!!サンディルーー!!!
ブラン!!デーー!!!」
「クラウディーー!!!男の意地をみせてくれーー!!!」
「やれーー!!サンディル!!!シルバディの仇ーー!!!」
今回の応援の比率は半分半分だった。
「サンディルーー!!シルバディの事は気にするなーー!!!」
ダンドルはそう叫んだが、近くにいたシルバディファンに睨まれた。
「あぁ、ごめん…」
ダンドルは思わず謝った。
リングでは審判が近づいてルールの確認をした。
「肘ヒザ有り、近接武器ありルールです。
問題ありませんか?」
「了解です。」「了解です。」
2人はそう返事すると、それぞれのコーナーへ移動した。
「さぁ!!ご覧の皆さん!!これが挑戦者どうしの最後の試合です!!
目をそらせませんねぇ!!
それではまもなくゴングがなります!!」
サンディルは息を飲んだ。
武器を使った初めての試合。
そして、
「カーーン」
ゴングは鳴った。
サンディルは槍をクラウディーに突きつけた。
しかし、クラウディーは丸いトゲのある武器で槍の一撃を受け流した。
槍はぽよよよーんっと左右にぶれた。
「クラウディーの武器が剛なら私の武器は柔ね。
「柔よく剛を制す」という言葉は武器同士の間でも通じるのかしら??」
サンディルは不安になりながら考察していた。
「なかなか手強いなその武器」
クラウディーが戦いながら話しかけてきた。
そして、あのどでかい武器を振り回して近づいてきた。
「あなたの武器こそ」
サンディルは返事をした。
「まずいわね…これじゃ相手に槍でダメージを与えられないわ。それよりも前にあのでかいトゲに刺される。何とか柔らかさを活かして戦えないかしら……。」
サンディルはまたもや考察をした。
すると、クラウディーはサンディルのスレスレで武器を振りかざしてきた。
「危ない!!」
スレスレだったため、サンディルは何とか避けきった。
「甘く見るなよ。俺はいつだって本気だ。」
クラウディーは完全に手を抜かずに倒す気でいたのが重々伝わってきた。
「この武器のチョイスは失敗だったかもしれない!長さだけじゃ戦えなかったわ!!
イジュースも上手く使えない!!」
サンディルは後悔した。
しかし、後悔したところでどうしようもない。この現状を打破する必要がある。
クラウディーの攻撃がまた来た。
丸いトゲを右に左に何度も振り回しながら攻撃をやめない。
サンディルはここでイジュースを使って足腰を強化し、吹き飛ばされないように堪えた。
攻撃はまだ止まない。
上下に左右にクラウディーの攻撃は続いたのであった。
「どうする!考えろ考えろ考えろ!!
柔を利用して勝つ方法を!!」
サンディルは全力で考えた。
そして閃いた。
「反動…!反動を利用してみればいいんだわ!!」
そう思いつくとサンディルは槍をクラウディーの武器にぶつけて思いっきり曲げた。
そしてクラウディーの顔の前で一気に解放した。
すると、槍はぼよよよーんと跳ねて、尖った部分がクラウディーの顔に痛烈にヒットした。
「バシィッッ!!」
クラウディーは思わずよろけて倒れかけた。
しかし、クラウディーは意地をみせて倒れなかった。
「間違ってなかった!!私武器のジャッジを間違えてなんかいなかったんだわ!!
これで正解だったのよ!!!」
サンディルの頭の中はサッと晴れた。
「考えたな…サンディル・ブランデー……
俺も……頭を使って…戦わないとな……。」
クラウディーはまた話しかけてきた。
「えぇ。危機を無事乗り越えられたわ。」
「なら俺も……頭を使わないとな……」
そう言うとクラウディーはまた武器をもって仕掛けてきた。
サンディルはまた同じことをやろうとして、わざと武器どうしをぶつけた。
槍はぐいっと曲がり、解放させようとしたがクラウディーがそうさせなかった。
リングでは太い棒に丸いトゲのある武器と曲がった槍が火花を散らしていた。
「このままへしおってやる!!!」
「解放してもう1発ぶちこんでやるの!!!」
「ミシッミシッ……バキッ!!」
サンディルの槍はとうとう折れてしまった。
「そんなっ……!!」
「サンディル!!君は強い相手だった!!これで終わりだ!!!」
クラウディーが武器をサンディルに振りかざした。
「いや、まだ終わってない!!!」
サンディルはそう言うとポルテチオを唱えイジュースを出した。
イジュースを脚に吸い込ませるとサンディルはひょいと攻撃を交わした。
「武器なんて必要ないわ!私にはイジュースがある!!」
クラウディーはまた武器を振り上げもう一度サンディルにむかって振り下ろした。
その隙を狙ってサンディルは武器の上に乗り、クラウディーの懐まで走った。
「何!?何を考えているんだ!!」
意外すぎる行動にクラウディーも驚いた口調だった。
「武器をなくしてもサンディルにはイジュースがあるんだ!!」
観客席からダンドルの肩車に乗ったサンクチュアリが叫んだ。
サンディルは懐まで走ると、ヒザにイジュースを流した。
そして力を込めてクラウディーの顎に思いっきり強烈なヒザをかました。
クラウディーは倒れてダウンした。
審判が様子見をして、試合は終了した。
「カンカンカンカンカーーン!!」
「試合終了!!勝者!!サンディルーー!!ブランデー!!!」
サンディルは見事に勝利を勝ち取った。
「見たか!?サンディルが勝ったぞ!!」
ダンドルは興奮していた。
「当然見てたよ!!とんでもない勝利だ!!!」
サンクチュアリも同じだった。
司会者がサンディルにトロフィーを渡しに来た。
「ご覧下さい!!こちらが今回の勝者!!サンディル・ブランデーです!!
どうですか!?今のお気持ちは!!」
「えぇ、とても清々しいです。」
サンディルは今感じてることを口に出した。
「クラウディーは前回の勝者でしたが、それなりに手応えはありましたか?」
司会者もなかなかのところをついてきた。
「はい…とても強いと思いました。
何度も負けると思ったのですが、なんとか無事に勝てて良かったです。
でも、最後の相手が本命なのでまだ喜びは無いです。」
サンディルは淡々としていた。
「挑戦するのですね!!センピグネスに!!一体センピグネスの誰との戦いをのぞんでいるのですか!?」
会場の全員が息を呑んだ。
そして、サンディルは言った。
「緑の帝王、私はあなたとの勝負を望むわ。」
会場はシーンとなった。司会者も黙ってしまった。
「まぁ、そうなるわな。」
ダンドルはボソッと言った。
そして会場はざわつき始めた。
「緑の帝王って!あの緑の帝王!?」
「嘘でしょ!?センピグネスの長よ!!」
「倒せるはずがない!!」
色んな声があった。しかし、サンディルはぶれなかった。
そして、センピグネスの1人がリングへ走ってやってきて言った。
「緑の帝王が、試合を許可したぞー!!!」
会場は大盛り上がりをみせた。
「とんでもないワンマッチが開かれるぞ!!」
サンディルは覚悟を決めた。
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