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6話 元バンドマンドラマーの手先は器用なのか?
しおりを挟む「ねえ年いくつ?もしかしたら私より若い?」
「そんなことないわ。俺のこといくつに見えてんの?自分こそ若いやろ?」
「まあまあいってるよ。じゃあ同じくらいかなあ?」
「53」
「えー!全然見えない!見た目若いね!」
「うん、よく言われる。俺昔バンドやっててさ。」
「へー。」
「俺のフェイスブック見る?」
「あ、いいの?うん。」
「ほら、これ俺の昔の写真。全然ちゃうやろ?」
(昔の写真見せたがる男ってほんま興味ないんだよな。
しかも別にヘビメタなんてタイプじゃねーし)
「これ?」
「そう。全然違うやろ?」
「あ、全然違う!髪もすごい長いし、すごい痩せてるね!いくつの時の?」
「二十歳ぐらいかな。」
「いくつまでやってたの?」
「結構長いで。30代入るくらいまでかな。一応プロ目指してたから。」
「へー。どこのパートやってたの?」
「ドラム。」
「ふーん。」
(ベースとかギターなら指先が器用かと期待値上がったんだけどな。)
「デビューする話もきてたんやけど、その直前にメンバーが捕まって解散してん。」
「え!何やったの?薬?」
「違う。喧嘩。酔うて暴れたらしい。」
「そっかー。じゃあその人の代わりに誰か入れて再結成しなかったの?」
「まあな。もうなんかみんなやる気なくなった感じかな。」
「ふーん。じゃあもう今は趣味でもやってないんだ?」
「うん。」
「今結婚してるの?」
「うん。俺2回してるねん。」
「ふーん。子供は?」
「一人息子がいる。」
「じゃあバンドマンは家庭に落ち着いたんだね。」
「落ち着いたっていうか、まあ養って行かなあかんしな。
でもあっちは落ち着いてないで。」
「結婚何年目?」
「何年やろ?」
「子供の年齢でわかるんじゃない?」
「そっか、じゃあ8年くらいかなあ。」
「で、宇宙人の彼女とはいつ付き合ってたの?」
「2、3年前かな。」
「そっから彼女いないの?」
「この仕事してたら全然出会いないし。」
「そう?逆にこうやって色んな人の家に上がり込んでるんじゃないの?」
「そんなことないわ。だいたい年寄りの家やもん。」
「そっか。確かに修理だと古い家が多いもんね。
じゃあ宇宙人の彼女とはどこで知り合ったん?」
「水漏れの修理。笑」
「ほらな。笑」
「かわいい手。」
そうこうしているうちに彼は缶ビールを1本開けて、
次第にさちこの手をさすり始めた。
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