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1話 店員にも嫌がられる口臭の男

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中級編マッチングアプリで名前を「舐め犬」にしている男がいた。
ルックスはまあまあタイプであった。
どんな舐め方をするのか?
好奇心旺盛なさちこは興味津々でいいねを押した。

<最近の顔がはっきりわかる写真も何枚かお見せしますよ>
と男の方から提示されたので
一瞬だけプロフィールに追加してもらいスクショした。

<舐め犬>とは何なのか?率直に尋ねた。
その文字通り、
女性の身体の全身を隈なく何時間も舐め続けるのが好きらしい。
舐めている行為で快感を覚えるから
最終的に挿入はしなくてもいいとのことだった。

彼は性について色々真面目に考えているようで
人間的にはいい人そうだった。
自分も舐められてみるかどうかは会って判断するということを条件に
一度お茶をする約束をした。

彼はスイーツ好きらしく、お店選びは彼に任せた。

待ち合わせ当日、
店の前で待ち合わせしていたが客が並んでいたので、
彼は先に入って名前を書いて中で待っていた。
「お店の前に着いたんですけど?」
さちこがラインした時、ちょうど次の順番だったらしい。

さちこは彼が店の中にいるのかと扉を開けて入っていくと
ちょうど彼がヤキモキした様子こっちに向かって歩いてきた。
(あ?彼かな?)
「舐め犬さん?」
さちこはすれ違いそうになる彼に声をかけた。
彼は顔を上げてさちこに気づいた。
「あ、悦子さん?」
「はい。こんにちは。初めまして。」
「あ、こんにちは。」
「すいませんね。お待たせして。」
(まあ時間には遅れてねえけどな。)
「いや、店の前って言ってたんですけど、
なんか人がいっぱいなんで名前書いて中で待ってた方がいいかと思って。
ちょうど次呼ばれるんで。」
「あーそーだったんですね。ありがとうございます。
間に合って良かったです。」
(なんだ?この臭い。。。彼か?マスクずっとしてるから臭いのかなあ。)
さちこはこの受け入れ難い臭いの元がどこなのか
何度か確認したが、彼からのものだと確信した。
(やっぱり彼の口臭だわ。最悪。)

店員が彼の名前を読み上げた。
若い女の店員の態度が著しく悪いのは
彼の口臭のせいではないかと察知したぐらいであった。

一番奥の席に通されて向かい合わせに座った。
メニューと水を置きに来たきり、
店員は誰一人こちらに近づこうとしなかった。

何度も手を挙げて大きめの声で店員を呼んでも
明らかに気づいているのに無視されていた。
(やっぱあそこの客臭いから行きたくないって
店員同士で話になってるんじゃないかな。)

遂に彼はわざわざ席を離れて店員を呼びに行った。
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