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17話 マイペースな男

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約束の3日前の火曜日彼からラインがきた。 
 
「早く会いたい。」 
「私も早く会いたい。」 
 
さちこはすぐに返信したのに
そのまま既読スルーなことに少しモヤモヤした。 
 
そして前日にも彼からラインがきていた。 
 
「明日だね。」 
 
その日はさちこの誕生日。 
元彼とドライブデート中で、 
2時間後、帰宅してからラインに気づいた。 
 
「いよいよだね~。 
こないだと同じところに11:00でいいのかな!?」 
 
それから3時間ほど経っても既読スルーだったので 
返事を催促した。 
 
「イエスかノーかで返事下さい。」 
「ごめんなさい。 
待ち合わせ場所はそうしましょう。 
時間は11:30でいい?」 
 
(だったら早くそう言えばいいのに。 
返信に困ったからと言って 
既読スルーするのはもうやめてくれ。) 
 
さちこは<オッケー>のスタンプだけを返した。 
 
待ち合わせ当日、 
彼は11:11にラインを送ってきた。 
 
「ちょっと早めに着きそう。 
時間潰してるけど、さちも早めに着くなら教えて。」 
 
(いやいやいやいや、 
おめえが待ち合わせ時間指定したんだろ? 
前々回は遅刻、今回は早め、知らんがな。 
勝手すぎるやろ。 
しかもいつの間にか名前呼び捨てになってるし、 
なんかムカつく。 
確か初めて会ったときに「さっちゃん」と 
呼ぶよう指示したはずよなあ。) 
 
例えば、さちこは外出時に夫に急かされるのが 
一番イライラする。 
出発時刻を決めて自分の中で段取りを決めて 
行動しているのに 
遅れているわけでもないのに 
横からあーだこーだ言われると 
ペースを乱されるので本当にウザく感じる。 
 
今はもう夫と一緒に外出することはないから 
そんなことでイラつくことも無くなっていたが 
彼のラインで久々にその苛立ちを思い出した。 
 
「今駅に着いて歩いているところ。 
迷わず行けたら早く着けると思う。」 
「21分に電車着く予定。」 
 
さちこは前回とは異なる路線で向かったので 
少し道に迷ったが11:22には着いた。 
 
辺りをキョロキョロしていると彼の姿を見つけた。 
背の高い彼もまたキョロキョロして、 
さちこを見つけるとすぐに 
こちらに向かって歩いていきた。 
 
今回はすぐにホテルに直行するし、 
駅のトイレで身だしなみを整えず 
彼と対面することにした。 
 
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