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15話 セフレの存在意義
しおりを挟む鰻店を出てエスカレーターで降りた。
さちこがエスカレーターの手すりに手を置くと
彼がその上に手を重ねた。
そんな控えめなアプローチがさちこの心に響いた。
一階下のレストラン街に行くと
展望台風に設計された屋上スペースがあった。
新宿の街が一望できた。
展望台が好きなさちこは
ずっとここで景色を眺めていたかった。
彼はレストラン街をウロウロして
次回行くお店を探しているようだった。
(まあこのズレも
いつかは大きな溝になるのだろうが、
セフレ扱いしていれば
さほど気にもならないであろう。)
そう思うさちこであった。
彼はさちこの路線まで遠回りして見送ってくれた。
帰り際に「じゃあね。」と言いながら
またウインクしていたのが気になった。
どう見ても彼のキャラではない仕草だからであった。
電車に乗ったさちこはなんとなく途中下車して
近所のカフェに寄り道したくなった。
そのカフェは今も好きな変態男と初面談した
思い出の場所であった。
彼を感じたくなるといつもそのカフェに足を運んでいた。
だからこそ今行くとどんな気持ちになるのか
確かめたくなった。
カフェに着くと
やはり彼と会った日のことを思い出した。
だがさちこは注文した豆乳ラテが冷めるまで
友人に今日の出来事をラインで報告していた。
そのことに夢中になりすぎてか、
変態男のことは考える暇もなく時間が過ぎていった。
ここに来るといつも変態男にラインしたくなっていたが
今日はそうならなかった。
それは気持ちが分散されている証で、
変態男を忘れるいい兆候だと思った。
だからといって、今日の彼に
<またすぐ会いたい。>と思うこともなく、
<また会うだろうな。>ぐらいの余裕さでいれる。
これが自分の中の女性性と男性性が
バランスよく保たれた精神状態である。
最近までずっと変態男への想いが執着心に
なっていることには自分でも気づいていたが
どうにもその執着心を手放せずに苦闘していた。
<一人の男に執着しない>
本来の自分のスタイルがやっと戻ってきたことが
嬉しかった。
これぞ恋愛活動する意義だと改めて認識した。
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