3 / 11
2話 職業を偽る男
しおりを挟む翌朝、彼からメッセージが来た。
「おはようございます。
これから仕事行ってきます。」
「おはようございます。
お仕事楽しんできてくださ~い!
気をつけて行ってらっしゃい~」
さちこは巷の女性と違って、
お相手と会う日まで連絡がなくても
割と平気な方である。
もうすぐ会うんだから世間話は
その時すればいいというスタンスである。
何度もラインマジックに引っかかった結果
実際会うまでは余計な先入観を持たない方が
冷静に判断できるということが身に染みて
わかったからである。
でもそれはどうやら無礼だと受け取る方も
一定数いるようである。
出会い系サイトの相談コーナーを閲覧すると
会う約束をしてからも
コンタクトをとり続けることを礼儀とし、
それを強く望む女性の意見が多かった。
だいたい連絡が来なくなったという愚痴を
そんなところに書き込む女性達だから
それを女性の一般論に置き換えてほしくはないのだが
きっとそれを読んだ男性陣は鵜呑みにして
一般的に女性には会うまではこまめに連絡した方がいい
と思うのかもしれない。
彼はそれを読んでのことか、
元々そっち派の寂しがりやの性格なのか、
単にさちこに興味があってのことか、
はまだわからないがその晩もラインしてきた。
最近はお相手とは主に会うための業務連絡以外
ラインをしないスタイルが多かったせいか
マメな男は新鮮だった。
「お疲れ様です。お仕事終わりました。」
「お仕事お疲れ様でした~。」
「悦子さんはお仕事されてますか?」
「扶養控除内で仕事しています。
友介さんは何系のお仕事されているんですか?
私は事務です。」
「おれは役所に勤務しています。
案外真面目なお仕事です。」
(げ~地方公務員かよ。
プロフに会社員って書いてくせに。。。
公務員苦手だから
わざわざプロフ見て避けてきたのに。。。
そこ嘘つかれると防ぎようないよな。
しかも地方公務員の年収ってこんなに高いの?
これも嘘なのか?)
「公務員はNGなんです。」
と言ってブロックするか悩んだが
稀に見る若いイケメンであるし、
評判の悪い公務員の職種No.3ではないので
とりあえず会うことにした。
とはいえ、さちこのテンションは急降下し、
この時点で彼は恋人候補ではなくなった。
「あら!公務員の方なんですか?
会社員ってプロフに書いてらっしゃったから超意外!」
「公務員なんです。
だから平日夜か土日が暇なんです。」
「なるほどね~
区役所勤めなのに△△市にお住まいなのも意外。笑」
「だから通勤に少し時間かかるんです。」
「B型なのに公務員ってのも意外。笑」
「B型でも公務員務まりますよ。笑」
「公務員なのに
性感マッサージ得意なのは逆に納得。笑」
「どんな納得ですか。笑」
「公務員って変態多いでしょ?笑
私も変態だから変態は悪い意味じゃないよ。笑
変態っていうか性に対してポジティブな人
っていうのかしら。
そういう人が多いイメージ。」
「公務員って性にポジティブなのかな?
これまでにそういう経験あり?笑
おれは変態というよりエロい。笑」
(ポジティブっていうかヤリチンが多いってこと。
特に体力勝負の国家公務員は
女性に評判悪いの知らないのかな。)
「(地方)公務員と付き合ったことないけど
周りの話を聞くとね。笑
そうだね、友介さんはエロいんだね。
むっつりではなさそうだもんね。
(まあ大抵自分のことをエロいという男は
私から見れば全然エロくないし、
私の変態ぶりにドン引きする場合が多いんだけど、
彼は大丈夫なのかなあ。。。
あとは公務員男特有の
割り勘思考でなければいいけど。)
「なるほど~。」
「公務員のお仕事ってリモートではないのかな?
通勤時間長いのって嫌だよね~
私、満員電車苦手。」
「リモートは全くないね。
そういえば、
性感マッサージ動画見てるって言ってたじゃない?
そんなんあるんだ。」
(ほらな、ちゃんと網に引っかかったな。笑
まあそんなこと質問してくる時点で
素人丸出しだけどね~笑。)
「ははは。笑
ほぼ毎日AV観てるから
その中にそういう設定のがあるって意味。笑」
「ほぼ毎日!それはすごいな。笑
そんなに好きなのね。笑」
「好きっていうかもう日課だね。笑
だから早送りして観てるよ。笑」
「へえ。笑
それ観ながら一人でするの?」
「うん。」
「エッチだね。」
「うん。笑
エロい女好き?」
「めっちゃ好き!笑」
「だよね~。笑 良かった。
友介さんは毎日するの?」
「いや、おれは毎日はさすがにしないかな。
一人でするより実戦派!笑」
(ほらな、オナニーしない男は
基本エロくないんだよ。)
「そっか~
そんだけ相手がいるってことなんだね~
さすがだね~。笑」
さちこはここで引っ掛け問題を出した。
なんと返してくるか見ものだった。
「そんな相手はいないんだけどね~。」
「奥さんとはしてる派?
あらセフレがいるのか。」
「奥さんとは全くしない派です。笑
そして、今はセフレもいない。笑」
「そうなんだ~良かった。」
もう彼は恋人候補から外れたのだから
奥さんとはしてようがしてまいが
セフレがいようがいまいがどうでも良かったが
どう返信してくるか、
人間性に興味があったから質問した。
今のところ
さちこ的に悪い気はしなかったので合格とした。
「なので、おれとたくさん会ってください。笑」
ズキューン!
思わぬ返しに久々に胸にキュンとくる言葉だった。
しかも今まで漢字だった「俺」を
わざわざひらがなにしているところ、
母性本能をくすぐる技に感服した。
「うんうん!
久々にきゅんしちゃった。笑
お主なかなかやるな!
さすがイケメン!笑」
「そう言ってもらえるとうれしいです。」
「ますます日曜日お会いできるの楽しみになったわ。
もうそろそろ寝る時間かな?今日もありがとう。」
「そろそろ寝ましょう。
おやすみなさい。」
「はい。おやすみなさい。」
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
甘々に
緋燭
恋愛
初めてなので優しく、時に意地悪されながらゆっくり愛されます。
ハードでアブノーマルだと思います、。
子宮貫通等、リアルでは有り得ない部分も含まれているので、閲覧される場合は自己責任でお願いします。
苦手な方はブラウザバックを。
初投稿です。
小説自体初めて書きましたので、見づらい部分があるかと思いますが、温かい目で見てくださると嬉しいです。
また書きたい話があれば書こうと思いますが、とりあえずはこの作品を一旦完結にしようと思います。
ご覧頂きありがとうございます。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
義妹のミルク
笹椰かな
恋愛
※男性向けの内容です。女性が読むと不快になる可能性がありますのでご注意ください。
母乳フェチの男が義妹のミルクを飲むだけの話。
普段から母乳が出て、さらには性的に興奮すると母乳を噴き出す女の子がヒロインです。
本番はありません。両片想い設定です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる