上 下
26 / 66

26話 電車で腕が触れ合ってもムラムラしない男

しおりを挟む
翌日、昼前にラインがきた。

「ちょっと早めに終わった。13時待ち合わせにしようか。」
「早くて13時過ぎに着くわ。」
「焦らず。山手線で回ってく?」
「うん。」
「じゃあ山手線ホームの間とって5両目の前ってことで。ホーム待ち合わせ。」
「わかった。」
「15番線ね。」
「うん。ありがとう。」
「中央西改札から上がってくる??」
「改札口の名前わかんない。もうすぐ新宿着くから。」
「オッケー。じゃあ後で。」
「はーい。ちゃんと辿り着けるよ。」
「ははは。心配してないっす。」

さちこがホームに着くと彼が立っていた。
相変わら華奢なおっさんでデートのテンションは全くなかった。

新宿から上野駅まで初めて一緒に電車に乗った。
横並びに座ると彼は大きな声で身の上話をペラペラ話し始めた。

「この辺がね、僕が昔住んでたとこらへん。」
「へえ。めっちゃ都会だね。」
「そう。昔さ、すごい豪雨でさ、
この辺一帯が浸水して大変だったことがあったの。」
「へえ。」
「俺がまだ4歳とかで、母親が姉貴を迎えに行くって言い出して、
豪雨の中俺をおんぶして保育園まで出掛けたわけよ。」
「えー。えなり君は小さいから留守番させるか
近所の人に預けた方がよかったんじゃないの?」
「でしょー?で、行く先々で警官とかに止められたんだけど、
大丈夫っていうこと聞かなくてさ。」
「ほー。」

さちこは全く興味が湧かず、
静かに窓からの風景を見ていたい気持ちであった。

結局大声で勿体ぶって話した割には大したオチもなく、
隣に座っているだけで、相方がすべったような感覚であった。

しかもまだ残暑厳しい中、彼の上腕がさちこにあたって暑苦しかった。
好きな相手ならきっとソワソワするほどの密着感であったが、
全くムラムラしないどころか寧ろ不快だった。


ようやく上野駅に着き電車を降りて、
駅構内のハードロックカフェに入った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

処理中です...