3 / 6
3話 絵に描いたような成金ファッションの男
しおりを挟む
男女比率20対20のはずが
その日行くと7対7であった。
しかも<男性は高身長、高学歴、高収入>を謳った会であったが、
低身長もいたし、品のないのもいたし、フリードリンクとはいえ、
このご時世でアルコールは提供無し、フードも立食は中止で、
冷え切った前菜のみが盛り付けられた皿が
1人に一皿運ばれて来ただけであった。
(これだったら男の見た目だけでもせめて自分で
選択できるマッチングアプリのがマシ。)
5分で帰りたくなったさちこであった。
さちこの隣に若い華奢な女性と
同年代風の女性が座っていた。
さちこは友人に教えてもらった通り、
スカーフを太ももにかけた。
(これは次のための練習だ。)
そう自分に言い聞かせて背筋を伸ばして笑顔で座っていた。
しばらくすると3人組の男性が前に座り、
途中から独り参加の男性が加わり、3対4の構図で1時間過ごした。
同年代の女性は積極的に男性に話しかけて場を盛り上げてくれていた。
さちこの前に座った男は3人組の中でも長老でさちこと同い年か
年上くらいに見えた。
ただ格好は若造で、茶髪の畝ったロングヘア、
日焼けした肌に黒いTシャツ。
胸に大きく<GUCCI>と金色のロゴの入っていた。
外国のモデルや俳優以外が着るとダサいテイストになるデザインだった。
極めつけにLouis vuittonの模様の入った長財布をドンっと机に置いた。
典型的な成金チャラ男スタイルだった。
色気も品もないさちこがもっとも興味のないタイプであった。
しかも彼は聞いてもいないのに
<妻はファッション誌の表紙を何度も飾ったことがある元モデルで
今も外見だけはどこに連れて行っても褒められる>
と自慢し始めた。
(だったら妻とやっとけよ。
どうせ相手にされねえからこんなとこ来てんだろ。)
そう思いつつも、
自分が話をしなくて済むのならとテレフォンレディのバイトのスタンスで
聞き上手モードに入るさちこであった。
「じゃあさ、好きなタイプは綺麗な人ってこと?」
「俺さ、外見より綺麗好きな人がいい。
嫁はさ、家の中が汚くても平気な人なの。それがもう嫌。」
(へえ、お前は見た目清潔感ないくせに綺麗好きなのか?
それともそんな汚い家にいるからやっぱお前は清潔感がないのか。)
「自分では掃除しないの?」
「片付けはするけど、してもすぐ散らかすし。
嫁に言ったら子供のせいにするしすぐ喧嘩になるから。」
(完全に邪気ってるな。早く席替えしたい。
今更なんでこんな男がよりによって私の前に座ることになるのか。
私の断捨離レベルがまだまだということなのか、
私の波動がまだ低いってことなのか。凹むわ。)
「それは言ったら喧嘩になるから言わないほうがいいよ。」
「でもすげえゴミ散乱してるの。」
「そう思ったらさ、自分がやればいいんだよ。黙って1人でご機嫌に。
そしたらやがて子供も奥さんも真似して手伝うようになるよ。
自分のためにやるの。うちもそうだったよ。
旦那に手伝ってなんてひとことも言わず、
いないものと思って自分で片付けとか掃除とか
毎朝するようになったら休日は<手伝うよ>って自ら言って
やってくれるようになったもん。」
「えー。俺自分だけするの嫌だ。」
(はい、終了。)
待ちに待ったスタッフのアナウンスが入った。
「まもなく席替えとなりますので
連絡先交換は今のうちにお願いします。」
もちろん誰とも連絡先など交換する気はなかった。
その日行くと7対7であった。
しかも<男性は高身長、高学歴、高収入>を謳った会であったが、
低身長もいたし、品のないのもいたし、フリードリンクとはいえ、
このご時世でアルコールは提供無し、フードも立食は中止で、
冷え切った前菜のみが盛り付けられた皿が
1人に一皿運ばれて来ただけであった。
(これだったら男の見た目だけでもせめて自分で
選択できるマッチングアプリのがマシ。)
5分で帰りたくなったさちこであった。
さちこの隣に若い華奢な女性と
同年代風の女性が座っていた。
さちこは友人に教えてもらった通り、
スカーフを太ももにかけた。
(これは次のための練習だ。)
そう自分に言い聞かせて背筋を伸ばして笑顔で座っていた。
しばらくすると3人組の男性が前に座り、
途中から独り参加の男性が加わり、3対4の構図で1時間過ごした。
同年代の女性は積極的に男性に話しかけて場を盛り上げてくれていた。
さちこの前に座った男は3人組の中でも長老でさちこと同い年か
年上くらいに見えた。
ただ格好は若造で、茶髪の畝ったロングヘア、
日焼けした肌に黒いTシャツ。
胸に大きく<GUCCI>と金色のロゴの入っていた。
外国のモデルや俳優以外が着るとダサいテイストになるデザインだった。
極めつけにLouis vuittonの模様の入った長財布をドンっと机に置いた。
典型的な成金チャラ男スタイルだった。
色気も品もないさちこがもっとも興味のないタイプであった。
しかも彼は聞いてもいないのに
<妻はファッション誌の表紙を何度も飾ったことがある元モデルで
今も外見だけはどこに連れて行っても褒められる>
と自慢し始めた。
(だったら妻とやっとけよ。
どうせ相手にされねえからこんなとこ来てんだろ。)
そう思いつつも、
自分が話をしなくて済むのならとテレフォンレディのバイトのスタンスで
聞き上手モードに入るさちこであった。
「じゃあさ、好きなタイプは綺麗な人ってこと?」
「俺さ、外見より綺麗好きな人がいい。
嫁はさ、家の中が汚くても平気な人なの。それがもう嫌。」
(へえ、お前は見た目清潔感ないくせに綺麗好きなのか?
それともそんな汚い家にいるからやっぱお前は清潔感がないのか。)
「自分では掃除しないの?」
「片付けはするけど、してもすぐ散らかすし。
嫁に言ったら子供のせいにするしすぐ喧嘩になるから。」
(完全に邪気ってるな。早く席替えしたい。
今更なんでこんな男がよりによって私の前に座ることになるのか。
私の断捨離レベルがまだまだということなのか、
私の波動がまだ低いってことなのか。凹むわ。)
「それは言ったら喧嘩になるから言わないほうがいいよ。」
「でもすげえゴミ散乱してるの。」
「そう思ったらさ、自分がやればいいんだよ。黙って1人でご機嫌に。
そしたらやがて子供も奥さんも真似して手伝うようになるよ。
自分のためにやるの。うちもそうだったよ。
旦那に手伝ってなんてひとことも言わず、
いないものと思って自分で片付けとか掃除とか
毎朝するようになったら休日は<手伝うよ>って自ら言って
やってくれるようになったもん。」
「えー。俺自分だけするの嫌だ。」
(はい、終了。)
待ちに待ったスタッフのアナウンスが入った。
「まもなく席替えとなりますので
連絡先交換は今のうちにお願いします。」
もちろん誰とも連絡先など交換する気はなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

マッチングアプリの男 せこい男編
椋のひかり~むくのひかり~
エッセイ・ノンフィクション
マッチングアプリ男シリーズ第2弾!今回のお相手は、自称年収600万円~800万円、未婚、子供なしの大学で事務員として働く男です。独身生活を謳歌しているのかと思いきやかなりのせこい男だった!しかもセクハラがえぐい!こんな奴が女子大学で働いてていいのか?と心配するほどであった。さちこはこんな男から何を学んだのか?世の淑女の皆様の一助になれば幸いです♡

一年ぶりの既婚者パーティー
椋のひかり~むくのひかり~
エッセイ・ノンフィクション
ほぼ1年ぶりに既婚者パーティに参加してみました。
今回は口コミを加味し、きちんと運営会社を下調べし、
前回とは異なる評判の良いB社のパーティーを選びました。
その体験談をシェアします。
お楽しみください。


どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルファポリスで規約違反しないために気を付けていることメモ
youmery
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスで小説を投稿させてもらう中で、気を付けていることや気付いたことをメモしていきます。
小説を投稿しようとお考えの皆さんの参考になれば。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる