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15話『修行後の再会』
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「久しぶりじゃないかぁ! アルトくん! それにレナードさんも!」
ギルドに入り、受付嬢と話す俺に気付いたのか、ネアは急いで駆け寄ってきてくれた。
会う予定なんて立てずに急遽来たというのに、ネアは厚く歓迎してくれた。
およそ一ヶ月ぶりの再会だ。
「ネアさん、お久しぶりです」
「ネアさん! あの時はアルト様がお世話になりました!」
挨拶を済ませ、ふとネアの後ろを見ると一人少女が隠れていた。
確かこの子は洞窟の中で倒れてエラファスに担がれていた子ではなかろうか。
この赤い髪が特徴的で覚えている。
「あなたが、噂の……」
「あはは、すまないねアルトくん。この子は見ての通り人見知りなんだ。僕たちには普通に話せるんだけどね……君のことはギルドでもよく話題になってるから、特にかもね」
ネアの後ろにいる少女が俺にジト目を向ける。
怒っているのか、怖がっているのか、その境目のような不思議な表情をしている。
はて、どっちなんだろうか。
暗い洞窟で、なんなら歩いてる時は常に担がれていたせいもあってこの少女の背格好があの時は分からなかったが、こうして話してみると俺と目線がほぼ同じである。
「アルトくんに紹介しよう、《偵察者》のゼーラだ。ギルド一の索敵能力を誇るうちの若き神童だよ」
「若い……? 身長も同じくらいだし、もしかして僕と同じ十五歳?」
「十六歳だ! ……って、お前まだガキじゃないか! ふん!」
ガキなのはどっちだ、なんて初対面で言い返さない。なんたって俺は大人だからな。
というか一歳差とは思わせないような口ぶりだな。
「アルトくんって十五歳だったのかい!? それであの力か……」
そういえばネアに年齢は言ってなかった。
まぁ特に隠すこともないし、魔法学校に入学するなら尚更だろう。
「あはは、二十一歳でこの規模のギルド作るネアさんも相当だと思いますよ」
「仲間のおかげさ」
一通りギルドの中を案内されたが、改めてすごいと思う。
もはや一つのオフィスビルのような。入口には二、三人の門番と受付には三人の女性、中には多くの人が賑わっている。
「そういえば、みんな白い服を着てるけど」
「あぁ、あれはうちのメンバーの証でもある制服みたいなもんだよ」
白を基調とした服に、黒の縦線が数本入っている。メンバー全員が同じ服を着る、そんな統一感が俺の厨二病心をくすぐってきた。
「うちは珍しいんだ。こんな制服を作ってるギルドなんて普通ないよ? 僕のこだわりって言っていいのかな、こういう一体感は大事にしたいでしょ? 」
「確かにカッコイイ!」
「アルトくんなら分かってくれると思ったよ! それに見た目だけじゃなく、こうした方が戦闘になった時に仲間だと分かりやすくなるんだ。暗くても白は目立つからね」
「ネアさんって結構頭良い?」
「あんまり言われたことないけどね。そんなことよりアルトくん、うちに入りにきてくれたわけじゃないの? 制服も用意してあるよ」
隣の少女が今にも飛びかかってきそうな剣幕でこちらを見ている。
多分この子はネアのことが好きなんだろうな。俺の当たったことのない直感がそう言ってる。
「今日はネアさんに挨拶しに来ただけですよ。会えただけで今日はよく眠れそうです」
「僕にそんな快眠効果はないよ。――あ、そういえば今からゼーラと二人でクエストに行く予定だったんだけどアルトくんもどう? 良ければレナードさんも同伴で」
それは突然のお誘いだった。
突然過ぎて少し反応に困る。いまいちクエストってものを理解していないし、そもそもギルドのメンバーじゃない俺はそんなノコノコ付いて行っていいものなのだろうか。
でも、興味が無いと言えば嘘になる。
「そろそろ帰らないと日が暮れてしまうので……ね? アルト様?」
「楽しそうなので、ぜひ同行させてもらいます!」
「アルト様!? 私の話聞いてましたか!? もう日が暮れますよ!?」
俺は色々試したかった。
人間のメノ相手には試せないあれやこれやを。
『加速』の付与術、『無からの覚醒』のモンスター集め、そしてここ最近修行している魔力の限界の再確認。
あと、さっき買ったばかりの魔石。
俺はメノに負けた。
あの人は確かに強かったが、あれでもエンリア家の三男である。きっと上には上がいるはずだ。
まずはメノの重力魔法の攻略。それがクリア出来ない限りは、俺はメノに一生勝てない。
「もう、旦那様には日帰りと伝えていますよ! 怒られても庇いませんからね、アルト様!」
「大丈夫、今日中に帰れるように頑張るから。安心して?」
「三日間も行方不明になった人のその言葉に説得力なんて微塵も、これぽっちもありませんからね」
かなりご立腹なレナードだが、俺が行くとなれば付いてくるしかなかった。
正直今の俺ではレナードの足元にも及ばない実力だと思う。多分このクエストで死にかけたとしても、レナードが守ってくれるはずだ。
だからこそ成長しなくてはならない。
突然の提案ではだったが、逆にこれはチャンスでもある。
俺は、ネアと共にクエストへと向かった――
ギルドに入り、受付嬢と話す俺に気付いたのか、ネアは急いで駆け寄ってきてくれた。
会う予定なんて立てずに急遽来たというのに、ネアは厚く歓迎してくれた。
およそ一ヶ月ぶりの再会だ。
「ネアさん、お久しぶりです」
「ネアさん! あの時はアルト様がお世話になりました!」
挨拶を済ませ、ふとネアの後ろを見ると一人少女が隠れていた。
確かこの子は洞窟の中で倒れてエラファスに担がれていた子ではなかろうか。
この赤い髪が特徴的で覚えている。
「あなたが、噂の……」
「あはは、すまないねアルトくん。この子は見ての通り人見知りなんだ。僕たちには普通に話せるんだけどね……君のことはギルドでもよく話題になってるから、特にかもね」
ネアの後ろにいる少女が俺にジト目を向ける。
怒っているのか、怖がっているのか、その境目のような不思議な表情をしている。
はて、どっちなんだろうか。
暗い洞窟で、なんなら歩いてる時は常に担がれていたせいもあってこの少女の背格好があの時は分からなかったが、こうして話してみると俺と目線がほぼ同じである。
「アルトくんに紹介しよう、《偵察者》のゼーラだ。ギルド一の索敵能力を誇るうちの若き神童だよ」
「若い……? 身長も同じくらいだし、もしかして僕と同じ十五歳?」
「十六歳だ! ……って、お前まだガキじゃないか! ふん!」
ガキなのはどっちだ、なんて初対面で言い返さない。なんたって俺は大人だからな。
というか一歳差とは思わせないような口ぶりだな。
「アルトくんって十五歳だったのかい!? それであの力か……」
そういえばネアに年齢は言ってなかった。
まぁ特に隠すこともないし、魔法学校に入学するなら尚更だろう。
「あはは、二十一歳でこの規模のギルド作るネアさんも相当だと思いますよ」
「仲間のおかげさ」
一通りギルドの中を案内されたが、改めてすごいと思う。
もはや一つのオフィスビルのような。入口には二、三人の門番と受付には三人の女性、中には多くの人が賑わっている。
「そういえば、みんな白い服を着てるけど」
「あぁ、あれはうちのメンバーの証でもある制服みたいなもんだよ」
白を基調とした服に、黒の縦線が数本入っている。メンバー全員が同じ服を着る、そんな統一感が俺の厨二病心をくすぐってきた。
「うちは珍しいんだ。こんな制服を作ってるギルドなんて普通ないよ? 僕のこだわりって言っていいのかな、こういう一体感は大事にしたいでしょ? 」
「確かにカッコイイ!」
「アルトくんなら分かってくれると思ったよ! それに見た目だけじゃなく、こうした方が戦闘になった時に仲間だと分かりやすくなるんだ。暗くても白は目立つからね」
「ネアさんって結構頭良い?」
「あんまり言われたことないけどね。そんなことよりアルトくん、うちに入りにきてくれたわけじゃないの? 制服も用意してあるよ」
隣の少女が今にも飛びかかってきそうな剣幕でこちらを見ている。
多分この子はネアのことが好きなんだろうな。俺の当たったことのない直感がそう言ってる。
「今日はネアさんに挨拶しに来ただけですよ。会えただけで今日はよく眠れそうです」
「僕にそんな快眠効果はないよ。――あ、そういえば今からゼーラと二人でクエストに行く予定だったんだけどアルトくんもどう? 良ければレナードさんも同伴で」
それは突然のお誘いだった。
突然過ぎて少し反応に困る。いまいちクエストってものを理解していないし、そもそもギルドのメンバーじゃない俺はそんなノコノコ付いて行っていいものなのだろうか。
でも、興味が無いと言えば嘘になる。
「そろそろ帰らないと日が暮れてしまうので……ね? アルト様?」
「楽しそうなので、ぜひ同行させてもらいます!」
「アルト様!? 私の話聞いてましたか!? もう日が暮れますよ!?」
俺は色々試したかった。
人間のメノ相手には試せないあれやこれやを。
『加速』の付与術、『無からの覚醒』のモンスター集め、そしてここ最近修行している魔力の限界の再確認。
あと、さっき買ったばかりの魔石。
俺はメノに負けた。
あの人は確かに強かったが、あれでもエンリア家の三男である。きっと上には上がいるはずだ。
まずはメノの重力魔法の攻略。それがクリア出来ない限りは、俺はメノに一生勝てない。
「もう、旦那様には日帰りと伝えていますよ! 怒られても庇いませんからね、アルト様!」
「大丈夫、今日中に帰れるように頑張るから。安心して?」
「三日間も行方不明になった人のその言葉に説得力なんて微塵も、これぽっちもありませんからね」
かなりご立腹なレナードだが、俺が行くとなれば付いてくるしかなかった。
正直今の俺ではレナードの足元にも及ばない実力だと思う。多分このクエストで死にかけたとしても、レナードが守ってくれるはずだ。
だからこそ成長しなくてはならない。
突然の提案ではだったが、逆にこれはチャンスでもある。
俺は、ネアと共にクエストへと向かった――
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