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第三章 『溜め込んだ魔力でスローライフを』
第三章5 魔法の基礎知識
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そういえばこんな現象、前にもあったな。
あの時の変化は極端で、魔力はゼロになった。ハーヴェイさんのおかげで魔力は無事戻ってきたけど。
あのとき魔力がゼロになった原因は魔女だ。
でも魔女はハーヴェイさんが……。
「で、考えて原因は分かったのか?」
「確証はしていません。でも、やっぱり魔女が関係あるのかと」
「魔女ってまさか全身に包帯を巻いてるやつか?」
「はい、そうですが……」
心当たりがあるのか、ラグナさんからシリアスな空気が流れ始める。
包帯を巻いた少女。この世界の人たちからは『魔女』と呼ばれている存在。名前を聞くだけで関わりたくない感じがする。だが俺は、エゼルガルドでその魔女と出会ってしまった。
いつどこでかけられえたか分からない呪いで、俺は時間遡行を体感した。実際時間遡行したわけではなく、簡単に言うと幻覚みたいなものだ。
魔精霊の因子を体内に秘めているはずなのに、魔力を感じなかったのはやはりこの呪いが原因だったのかもしれない。
「魔力変動ってやつだな。魔女の呪いの副作用みたいなもんだ……」
深刻そうな表情を浮かべるラグナさんに、俺も釣られて不安感を抱いてしまう。
「それってやばいやつですか……」
「いや、大丈夫だ……直に治る」
「治るんですか! そんな深刻そうな顔しないでくださいよ!」
「すまんすまん」
これはわざとだな。わざと俺の不安感を煽ったな。ラグナさん、性格が悪いようで!
副作用とはいえ、治るんならそんな悩むことでもない。
「そういえば、なんでラグナさんが包帯の魔女を知ってるんですか?」
「そんなの決まってんだろ。ハーヴェイと一緒に生き残りの魔女を封印したからな」
ラグナさんの話を聞けば、元々ラグナさんはハーヴェイさんと同期だったらしい。
その実、ハーヴェイさんとラグナさん同い年らしい。ハーヴェイさんが六十歳だと仮定したら、この人も六十歳になるんだよな……。ラグナさん恐るべし。
そんなハーヴェイさんと一緒に生き残りの魔女を封印する依頼を受けたらしい。
仮にそれを『魔女封印計画』と名付けよう。適当につけただけだ! 中二病とかではないぞ!?
生き残りの魔女とは、終戦後魔女裁判から逃れた魔女のことを指すらしい。
魔精霊因子のおかげで寿命は延び、今の時代もどこかにいるといわれている。そんな魔女をおおよそ三十年前にスキル『守り手』で封印しようとした。これが――『魔女封印計画』というわけだ。
「そんなことがあったんですね……すごいです!」
「おうおう! すごいだろう! 昔、俺はかなり強かったからな! 四帝龍並みだ!」
リィラから感心を向けられ、機嫌が良くなったのかラグナさんは得意げに笑った。
封印できてない魔女いたけどね。そいつに呪いかけられたけどね。現在進行形で、魔力が安定してないからね。
とはいえ、そんな過去があったことには驚きだ。
ステラさんはいくつなのだろうか。見た目は二十歳でも通用するくらい綺麗な人だが。
「レイに魔法を教えてやる。リハビリを兼ねてな」
「リハビリですか?」
リハビリか。魔力量が不安定なせいで、魔法の力の調整ができなくなっている。
今はスキル『魔力感知』など、常時発動型のスキルに異常は見られないが、次いつバグるか分からない。
それに、ラグナさんから直々に魔法を教えてもらうなんて滅多にないチャンスだ。
「お願いします!」
スローライフのためにもたくさんの魔法を覚えておこう。
「基礎的なことから教えよう。魔法には六つの属性がある」
ラグナさんは俺の目を見ながら説明を始めた。
炎魔法、水魔法、氷魔法、風魔法、光魔法、闇魔法。
ここらへんはゲームとかラノベでも定番だ。
「適正ってのは誰にでもあるわけじゃない。まぁ七大聖騎士のほとんどは五つ以上の適正を持ってるがな」
じゃあ俺の適正は炎属性ってことか?
使ったことがないからまだ分からないけど。
「リィラ、知ってるか? 闇魔法と光魔法の違い」
「はい。光魔法は回復など、対象者に能力を付与する効果があります。闇魔法は封印など、相手の行動を抑える効果があります。どちらも直接的ダメージを与えられないですが」
「正解だ」
さすが魔法学校の卒業生だな。
うーん、スローライフには光魔法と闇魔法は使わないかな。
スローライフに必要なのは炎魔法、水魔法、風魔法の三つくらいだろう。
氷魔法なんて攻撃手段でしか用途ないと思うし。
炎魔法は火を使うのに便利だ。
水魔法はわざわざ川に水を取りに行く手間が省ける。
風魔法は洗濯物がすぐ乾かせる。
……まぁ今のんびり暮らせてるし、魔法自体必要ない気もするが。
でもせっかく溜め込んだ魔力だし、使いたいってのは本音だ。
あの時の変化は極端で、魔力はゼロになった。ハーヴェイさんのおかげで魔力は無事戻ってきたけど。
あのとき魔力がゼロになった原因は魔女だ。
でも魔女はハーヴェイさんが……。
「で、考えて原因は分かったのか?」
「確証はしていません。でも、やっぱり魔女が関係あるのかと」
「魔女ってまさか全身に包帯を巻いてるやつか?」
「はい、そうですが……」
心当たりがあるのか、ラグナさんからシリアスな空気が流れ始める。
包帯を巻いた少女。この世界の人たちからは『魔女』と呼ばれている存在。名前を聞くだけで関わりたくない感じがする。だが俺は、エゼルガルドでその魔女と出会ってしまった。
いつどこでかけられえたか分からない呪いで、俺は時間遡行を体感した。実際時間遡行したわけではなく、簡単に言うと幻覚みたいなものだ。
魔精霊の因子を体内に秘めているはずなのに、魔力を感じなかったのはやはりこの呪いが原因だったのかもしれない。
「魔力変動ってやつだな。魔女の呪いの副作用みたいなもんだ……」
深刻そうな表情を浮かべるラグナさんに、俺も釣られて不安感を抱いてしまう。
「それってやばいやつですか……」
「いや、大丈夫だ……直に治る」
「治るんですか! そんな深刻そうな顔しないでくださいよ!」
「すまんすまん」
これはわざとだな。わざと俺の不安感を煽ったな。ラグナさん、性格が悪いようで!
副作用とはいえ、治るんならそんな悩むことでもない。
「そういえば、なんでラグナさんが包帯の魔女を知ってるんですか?」
「そんなの決まってんだろ。ハーヴェイと一緒に生き残りの魔女を封印したからな」
ラグナさんの話を聞けば、元々ラグナさんはハーヴェイさんと同期だったらしい。
その実、ハーヴェイさんとラグナさん同い年らしい。ハーヴェイさんが六十歳だと仮定したら、この人も六十歳になるんだよな……。ラグナさん恐るべし。
そんなハーヴェイさんと一緒に生き残りの魔女を封印する依頼を受けたらしい。
仮にそれを『魔女封印計画』と名付けよう。適当につけただけだ! 中二病とかではないぞ!?
生き残りの魔女とは、終戦後魔女裁判から逃れた魔女のことを指すらしい。
魔精霊因子のおかげで寿命は延び、今の時代もどこかにいるといわれている。そんな魔女をおおよそ三十年前にスキル『守り手』で封印しようとした。これが――『魔女封印計画』というわけだ。
「そんなことがあったんですね……すごいです!」
「おうおう! すごいだろう! 昔、俺はかなり強かったからな! 四帝龍並みだ!」
リィラから感心を向けられ、機嫌が良くなったのかラグナさんは得意げに笑った。
封印できてない魔女いたけどね。そいつに呪いかけられたけどね。現在進行形で、魔力が安定してないからね。
とはいえ、そんな過去があったことには驚きだ。
ステラさんはいくつなのだろうか。見た目は二十歳でも通用するくらい綺麗な人だが。
「レイに魔法を教えてやる。リハビリを兼ねてな」
「リハビリですか?」
リハビリか。魔力量が不安定なせいで、魔法の力の調整ができなくなっている。
今はスキル『魔力感知』など、常時発動型のスキルに異常は見られないが、次いつバグるか分からない。
それに、ラグナさんから直々に魔法を教えてもらうなんて滅多にないチャンスだ。
「お願いします!」
スローライフのためにもたくさんの魔法を覚えておこう。
「基礎的なことから教えよう。魔法には六つの属性がある」
ラグナさんは俺の目を見ながら説明を始めた。
炎魔法、水魔法、氷魔法、風魔法、光魔法、闇魔法。
ここらへんはゲームとかラノベでも定番だ。
「適正ってのは誰にでもあるわけじゃない。まぁ七大聖騎士のほとんどは五つ以上の適正を持ってるがな」
じゃあ俺の適正は炎属性ってことか?
使ったことがないからまだ分からないけど。
「リィラ、知ってるか? 闇魔法と光魔法の違い」
「はい。光魔法は回復など、対象者に能力を付与する効果があります。闇魔法は封印など、相手の行動を抑える効果があります。どちらも直接的ダメージを与えられないですが」
「正解だ」
さすが魔法学校の卒業生だな。
うーん、スローライフには光魔法と闇魔法は使わないかな。
スローライフに必要なのは炎魔法、水魔法、風魔法の三つくらいだろう。
氷魔法なんて攻撃手段でしか用途ないと思うし。
炎魔法は火を使うのに便利だ。
水魔法はわざわざ川に水を取りに行く手間が省ける。
風魔法は洗濯物がすぐ乾かせる。
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