7 / 34
第一章 『ベルガレートの迷宮』
第一章7 迷宮踏破から始まる異世界スローライフ
しおりを挟む
俺は魔石の光を頼りに、薄暗いところ歩いた。
『恐怖耐性』がなかったら多分一人でこれはきついだろうな。
前世はお化け屋敷とか苦手だったし……。
「腹減ったけど、何も食べるものがない。せめて水だけでもあれば……」
俺は魔石を見て思った。
そういえば、ずっとこれのこと魔石って呼んでたけど、魔力入ってんのか?
試しに収納してみるか。
「ステータス確認……おっ!」
入ってる! さっき魔力が29230で、今の魔力が……29240か。
たった10だけだが、これだけあれば。
それに光に辿って進んでるんだ、通ったところの光源を取っとけばまず迷うことはないだろう。
俺は歩きながら魔石の収納を繰り返す。
ステータスのところには、魔石(298個)と書かれている。
つまりたったこの作業を繰り返すだけで2980もの魔力が溜まったのだ。
「お金なくても魔力があれば……」
魔石も売ったりできそうだしな。
それにしてもここらへんモンスターが1匹も出てこないな。
それに寒い……寒がりの俺には地獄だ。アルノアといた場所よりも寒い。
――バリッ
足元で何か割れた音がした。
「氷、か?」
もう少し進んでみる。
俺はそのまま真っ直ぐ進んだ。いや、一本道だけど、それっぽくねっ!
「めっちゃヌメヌメしてる……」
氷がない場所には、ヌメヌメとした水が広がっていた。
これはさすがに飲める気がしない。
「の、飲むぞ」
――ゴクリッ
両手でスライムをすくうと、俺は喉を鳴らした。
と、その時、後ろでぽちゃんと音がなった。
「スライ、ム……」
振り返ると青色の体を持ったスライムがそこにいた。
こうしてみるとかなり可愛いな。クラゲのようだ。
「ごめんな。可愛いけどここから出るため……」
というか、スライム――剣で倒せるのか?
魔法が使えたら別だが、俺はまだ使えないぞ!
「とりあえず切ってみるか」
瞬間身体強化をつけて、思いっ切り振り下ろす!
お、魔石に変わった。何かスキルもらえるかな?
――収納。
〈スライムの個体スキル『対熱耐性』、『対寒耐性』、『身体再生』獲得〉
スライムってある意味チートモンスターだな……。
というか、なんでスライム再生できるのに死んだんだ?
「剣スキルが関わってんか? 『魔力遮断』だったよな……」
もしや、スライムの体って魔力でできてるのか?
まぁ深く考えても無駄だな。スライムのおかげで寒さも和らいだみたいだ。
この水も頑張ればいけるよな、多分。
なんかローションを飲むみたいだ……。
両手ですくい、口元へ持っていく。
「めっちゃ甘い! なんじゃこりゃ!」
でもこれはこれでいける! ペットボトルみたいなのに入れて収納したいけど、都合よく容器があるわけもない……諦めるか。
腹がいっぱいになるまで飲むとしよう。
「甘い……糖尿病になりそうだ……」
三杯くらい飲むと心なしか、腹はいっぱいになった
……妙に満腹感がある。
「とりあえずこれでもう少し耐えるだろ」
空腹感がなくなった今、俺は最強になった!
うれしくもなんともないけどなっ! 俺はのんびりしたいんだよっ!
そのあとも、俺は一人で闇雲に歩き続けた。
分かれ道の時はスキル『危険察知』を使って選び、よくわからないときは勘で進んだ。
そして早くも一週間くらいが過ぎた。
なぜか空腹感に襲われることはなかった。とはいえ、口はさみしい。
話す相手もいなければ、道を教えてくれる者もいない。
モンスターを倒すのも作業のようになり、いちいち魔力がどれくらい溜まったか確認することもなくなった。
スキルもいくつか手に入れた。クモみたいなモンスターからはスキル『魔力糸』と『気配遮断』を手に入れた。『気配遮断』に関してはロリニオンが提示したスキル一覧にあったやつだ。
いくつか階段を見つけて上ったが、どちらにしろ十五歳になるまではここから出れない。
魔力を持っているってだけでユルシリアは八歳の少年を迷宮に落としたんだ。外に出て見つかれば、最悪処刑だ。
睡眠はスキル『気配遮断』を使って行っていた。『恐怖耐性』があるせいか、なんの躊躇もなく眠りについた。
そんなことを一人で延々と繰り返しながら、四年経ったある日。
迷宮は本当に作業ゲーと化していた……ラスボスを序盤で倒したせいで、それ以上の強さを持つ者は出てこなかった。
地上へ繋がる階段は見つけた。一年くらい前になっ! だが処刑されるわけにはいかないと、我慢したのだ!
だが、今日。俺は一匹のモンスターと出会った。
その名も――そう! ……カエル? みたいなやつ!
いや、俺に正式名称みたいの聞かれても分からないから。迷宮で引きこもりしてたし……。
そのカエルからは魔力が一つも感じられなかったが、とりあえず倒した。
すると、一つの個体スキルを手に入れた。
――『魔力不可視化』
つまりはほかの者から魔力の存在を隠せるということだ。
十二歳になった俺(引きこもり)は、今日家(迷宮)を出ることにした!
「おつかれさま、俺……これからはゆっくりのんびり暮らそうな」
んでもってじゃあな、迷宮。四年間住んでいた俺の家。
俺は光の方へ向かって歩き出した。
よし、これからが俺の第二の人生!
「スローライフ開始だっ!」
『恐怖耐性』がなかったら多分一人でこれはきついだろうな。
前世はお化け屋敷とか苦手だったし……。
「腹減ったけど、何も食べるものがない。せめて水だけでもあれば……」
俺は魔石を見て思った。
そういえば、ずっとこれのこと魔石って呼んでたけど、魔力入ってんのか?
試しに収納してみるか。
「ステータス確認……おっ!」
入ってる! さっき魔力が29230で、今の魔力が……29240か。
たった10だけだが、これだけあれば。
それに光に辿って進んでるんだ、通ったところの光源を取っとけばまず迷うことはないだろう。
俺は歩きながら魔石の収納を繰り返す。
ステータスのところには、魔石(298個)と書かれている。
つまりたったこの作業を繰り返すだけで2980もの魔力が溜まったのだ。
「お金なくても魔力があれば……」
魔石も売ったりできそうだしな。
それにしてもここらへんモンスターが1匹も出てこないな。
それに寒い……寒がりの俺には地獄だ。アルノアといた場所よりも寒い。
――バリッ
足元で何か割れた音がした。
「氷、か?」
もう少し進んでみる。
俺はそのまま真っ直ぐ進んだ。いや、一本道だけど、それっぽくねっ!
「めっちゃヌメヌメしてる……」
氷がない場所には、ヌメヌメとした水が広がっていた。
これはさすがに飲める気がしない。
「の、飲むぞ」
――ゴクリッ
両手でスライムをすくうと、俺は喉を鳴らした。
と、その時、後ろでぽちゃんと音がなった。
「スライ、ム……」
振り返ると青色の体を持ったスライムがそこにいた。
こうしてみるとかなり可愛いな。クラゲのようだ。
「ごめんな。可愛いけどここから出るため……」
というか、スライム――剣で倒せるのか?
魔法が使えたら別だが、俺はまだ使えないぞ!
「とりあえず切ってみるか」
瞬間身体強化をつけて、思いっ切り振り下ろす!
お、魔石に変わった。何かスキルもらえるかな?
――収納。
〈スライムの個体スキル『対熱耐性』、『対寒耐性』、『身体再生』獲得〉
スライムってある意味チートモンスターだな……。
というか、なんでスライム再生できるのに死んだんだ?
「剣スキルが関わってんか? 『魔力遮断』だったよな……」
もしや、スライムの体って魔力でできてるのか?
まぁ深く考えても無駄だな。スライムのおかげで寒さも和らいだみたいだ。
この水も頑張ればいけるよな、多分。
なんかローションを飲むみたいだ……。
両手ですくい、口元へ持っていく。
「めっちゃ甘い! なんじゃこりゃ!」
でもこれはこれでいける! ペットボトルみたいなのに入れて収納したいけど、都合よく容器があるわけもない……諦めるか。
腹がいっぱいになるまで飲むとしよう。
「甘い……糖尿病になりそうだ……」
三杯くらい飲むと心なしか、腹はいっぱいになった
……妙に満腹感がある。
「とりあえずこれでもう少し耐えるだろ」
空腹感がなくなった今、俺は最強になった!
うれしくもなんともないけどなっ! 俺はのんびりしたいんだよっ!
そのあとも、俺は一人で闇雲に歩き続けた。
分かれ道の時はスキル『危険察知』を使って選び、よくわからないときは勘で進んだ。
そして早くも一週間くらいが過ぎた。
なぜか空腹感に襲われることはなかった。とはいえ、口はさみしい。
話す相手もいなければ、道を教えてくれる者もいない。
モンスターを倒すのも作業のようになり、いちいち魔力がどれくらい溜まったか確認することもなくなった。
スキルもいくつか手に入れた。クモみたいなモンスターからはスキル『魔力糸』と『気配遮断』を手に入れた。『気配遮断』に関してはロリニオンが提示したスキル一覧にあったやつだ。
いくつか階段を見つけて上ったが、どちらにしろ十五歳になるまではここから出れない。
魔力を持っているってだけでユルシリアは八歳の少年を迷宮に落としたんだ。外に出て見つかれば、最悪処刑だ。
睡眠はスキル『気配遮断』を使って行っていた。『恐怖耐性』があるせいか、なんの躊躇もなく眠りについた。
そんなことを一人で延々と繰り返しながら、四年経ったある日。
迷宮は本当に作業ゲーと化していた……ラスボスを序盤で倒したせいで、それ以上の強さを持つ者は出てこなかった。
地上へ繋がる階段は見つけた。一年くらい前になっ! だが処刑されるわけにはいかないと、我慢したのだ!
だが、今日。俺は一匹のモンスターと出会った。
その名も――そう! ……カエル? みたいなやつ!
いや、俺に正式名称みたいの聞かれても分からないから。迷宮で引きこもりしてたし……。
そのカエルからは魔力が一つも感じられなかったが、とりあえず倒した。
すると、一つの個体スキルを手に入れた。
――『魔力不可視化』
つまりはほかの者から魔力の存在を隠せるということだ。
十二歳になった俺(引きこもり)は、今日家(迷宮)を出ることにした!
「おつかれさま、俺……これからはゆっくりのんびり暮らそうな」
んでもってじゃあな、迷宮。四年間住んでいた俺の家。
俺は光の方へ向かって歩き出した。
よし、これからが俺の第二の人生!
「スローライフ開始だっ!」
17
お気に入りに追加
3,232
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます
銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。
死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。
そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。
そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。
※10万文字が超えそうなので、長編にしました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの
つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。
隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる