146 / 221
二巡目(二〇二三)
第01(125)匙 明治三十二年、一八九九:レストラン1899お茶の水(C01)
しおりを挟む
八月最初の日の夜、書き手は、お茶の水方面に続く坂道、〈本郷通り〉を上っていた。
その坂の途中に在るのが「ホテル龍名館お茶の水本店」である。
二〇二三年現在、ホテルは休館中なのだが、ここに隣接している「レストラン1899お茶の水」(以下「1899」と略記)は営業している。
この和食ダイニングでは、店が在るお茶の水にちなんで、〈お茶〉を食材とした、料理や飲み物を提供し、まさに「お茶を食す」をコンセプトにしているのだ。
この〈食〉としてのお茶を提供する「1899」それ自体は、二〇二三年に十年目を迎えた、比較的新しい飲食店なのだが、母体となるホテル「龍名館」の創業は、なんと、百二十年以上前の十九世紀末の一八九九年、すなわち、明治三十二年にまで遡る事ができる。
今回の「スタンプラリー23」において、書き手は、何らかのテーマを決めて、カレー提供店を巡ろう、と考えており、その第一テーマが、実は、〈歴史ある店を巡る〉だったのである。
そういった意味から、今回のスタンプラリーにおいて、書き手は、この「1899」を第一店目に選んだのであった。
ちなみに、店のスタッフに尋ねたところ、書き手が、今回のスタンプラリーでの最初の来店者であったらしい。
さて、この日の書き手は、前年と同じカレー・メニューである「1899和出汁キーマカレー」に加え、この店「1899」が、イヴェントの最初の店という事もあって、普段はあまり口にしないビール、とはいえノンアルコールなのだが、「1899抹茶ノンアルコールビール」を注文し、勝手に、イヴェントの開始を祝ったのであった。
そして、カレーの提供を待っている間、先にサーヴされた緑色の麦酒もどきをチビチビとやりながら、書き手は、百二十年以上を誇る、「龍名館」の歴史を、タブレットで読み直した。
なるほど、「龍名館」自体は、明治時代に、初代の「濱田卯平衛」氏が開業したらしいのだが、そもそもは、今現在、「コレド室町」が位置している〈日本橋室町〉にて、江戸時代から営まれていた旅館「名倉屋旅館」の分店であったそうだ。
濱田卯平衛氏は、名倉屋の長男で、その四代目を継ぐ可能性もあったらしいのだが、名倉屋は、氏の姉の〈辰〉が養子を迎えて継承したため、卯平衛氏の方は、名倉屋の分店として、〈神田区南甲賀町(現・千代田区神田駿河台)〉に旅館を創業し、それが、今の「龍名館」の事の始まりだという。
ちなみに、「龍名館」という名の〈名〉は「名倉屋」から、〈龍〉は姉の〈辰〉から取ったのではないか、と考えられているようだ。
という事は、「龍名館」のルーツは、江戸時代にまで遡る事もできそうだが、とまれ、ここでは、初代・濱田卯平衛氏が創業した「龍名館」にこそ着目したい。
さて、初代は、新し物好きで、流行に敏感であったらしく、例えば、庭の一部に洋館を建てたり、料理に洋食を出したりしていたそうだ。
書き手は、もしかしたら、洋食の中に、カレーがあったとしたら面白いかも、とホテルの歴史を読みながら思った。
たしか、クラーク博士による札幌農学校でのカレー食の導入が明治九年頃だったはずなので、明治三十年代の東京の「龍名館」で、洋食メニューの一つとしてカレーが提供されていた、そんな可能性だってゼロではあるまい。
と夢想をする書き手であった。
〈訪問データ〉
レストラン1899お茶の水:淡路町エリア
C01
八月一日・火・二十時
1899和出汁キーマカレー(一二五〇)1899抹茶ノンアルコールビール(七二〇):一九二〇円(クレカ)
『北斗の拳』カード:No.22「Z(ジード)」
〈参考資料〉
「レストラン1899お茶の水」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、七十二ページ。
〈WEB〉
「1899について」、『レストラン1899お茶の水』、二〇二三年八月二日閲覧。
「龍名館の歴史」、『ホテル龍名館東京』、二〇二三年八月二日閲覧。
その坂の途中に在るのが「ホテル龍名館お茶の水本店」である。
二〇二三年現在、ホテルは休館中なのだが、ここに隣接している「レストラン1899お茶の水」(以下「1899」と略記)は営業している。
この和食ダイニングでは、店が在るお茶の水にちなんで、〈お茶〉を食材とした、料理や飲み物を提供し、まさに「お茶を食す」をコンセプトにしているのだ。
この〈食〉としてのお茶を提供する「1899」それ自体は、二〇二三年に十年目を迎えた、比較的新しい飲食店なのだが、母体となるホテル「龍名館」の創業は、なんと、百二十年以上前の十九世紀末の一八九九年、すなわち、明治三十二年にまで遡る事ができる。
今回の「スタンプラリー23」において、書き手は、何らかのテーマを決めて、カレー提供店を巡ろう、と考えており、その第一テーマが、実は、〈歴史ある店を巡る〉だったのである。
そういった意味から、今回のスタンプラリーにおいて、書き手は、この「1899」を第一店目に選んだのであった。
ちなみに、店のスタッフに尋ねたところ、書き手が、今回のスタンプラリーでの最初の来店者であったらしい。
さて、この日の書き手は、前年と同じカレー・メニューである「1899和出汁キーマカレー」に加え、この店「1899」が、イヴェントの最初の店という事もあって、普段はあまり口にしないビール、とはいえノンアルコールなのだが、「1899抹茶ノンアルコールビール」を注文し、勝手に、イヴェントの開始を祝ったのであった。
そして、カレーの提供を待っている間、先にサーヴされた緑色の麦酒もどきをチビチビとやりながら、書き手は、百二十年以上を誇る、「龍名館」の歴史を、タブレットで読み直した。
なるほど、「龍名館」自体は、明治時代に、初代の「濱田卯平衛」氏が開業したらしいのだが、そもそもは、今現在、「コレド室町」が位置している〈日本橋室町〉にて、江戸時代から営まれていた旅館「名倉屋旅館」の分店であったそうだ。
濱田卯平衛氏は、名倉屋の長男で、その四代目を継ぐ可能性もあったらしいのだが、名倉屋は、氏の姉の〈辰〉が養子を迎えて継承したため、卯平衛氏の方は、名倉屋の分店として、〈神田区南甲賀町(現・千代田区神田駿河台)〉に旅館を創業し、それが、今の「龍名館」の事の始まりだという。
ちなみに、「龍名館」という名の〈名〉は「名倉屋」から、〈龍〉は姉の〈辰〉から取ったのではないか、と考えられているようだ。
という事は、「龍名館」のルーツは、江戸時代にまで遡る事もできそうだが、とまれ、ここでは、初代・濱田卯平衛氏が創業した「龍名館」にこそ着目したい。
さて、初代は、新し物好きで、流行に敏感であったらしく、例えば、庭の一部に洋館を建てたり、料理に洋食を出したりしていたそうだ。
書き手は、もしかしたら、洋食の中に、カレーがあったとしたら面白いかも、とホテルの歴史を読みながら思った。
たしか、クラーク博士による札幌農学校でのカレー食の導入が明治九年頃だったはずなので、明治三十年代の東京の「龍名館」で、洋食メニューの一つとしてカレーが提供されていた、そんな可能性だってゼロではあるまい。
と夢想をする書き手であった。
〈訪問データ〉
レストラン1899お茶の水:淡路町エリア
C01
八月一日・火・二十時
1899和出汁キーマカレー(一二五〇)1899抹茶ノンアルコールビール(七二〇):一九二〇円(クレカ)
『北斗の拳』カード:No.22「Z(ジード)」
〈参考資料〉
「レストラン1899お茶の水」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2023』、七十二ページ。
〈WEB〉
「1899について」、『レストラン1899お茶の水』、二〇二三年八月二日閲覧。
「龍名館の歴史」、『ホテル龍名館東京』、二〇二三年八月二日閲覧。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる