カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第87匙 辛いカレーにはライスましましで:スープカレー屋オオドリー〈鴻〉 神田駿河台店(E13)

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 この日の夜、書き手は、神保町のデルタゾーンに位置している「スープカレー屋オオドリー〈鴻〉神田駿河台店」を訪れた。

 実は、この「鴻」には二十時少し過ぎに一度訪店した事があったのだが、残念ながら、その時には店が閉まっていた。
 ディナー・タイムの営業時間は、十七時から二十一時(LO二十時半)なのだが、訪店時刻が二十時だったので、カレーが枯れて早めに店仕舞いをしたのかもしれない。カレーが無くなったが故の早めの閉店というのは、実は〈カレー店あるある〉なのである。
 そして、二度目の訪問となったこの日は、店着が前回よりも早い十九時半頃という事もあってか、店は開いており、書き手は、ほっと胸を撫で下ろしたのであった。
 ちなみに、退店時の会計の際に店のスタッフに、今日は開いていて良かった、といった類の事を語ったところ、どうやら書き手が入店できなかったその日は、機材トラブルのために営業ができなかった、との事で、カレー枯れが閉店の理由ではなかったようである。
 とまれかくまれ、ようやく入店できたオオドリー、実はこの店、鴻(ーリドオオ)〉の神保町の本店には、八月末に既に訪れていたので、両店の間にいかなる差異が認められるのか、この点もまた書き手には楽しみの一つであった。

 入店した直後、書き手は、じっくりとメニューと睨めっこする事にした。
 まずはスープの選択からである。
 カレー・スープは、黒と赤の二種類が用意されており、「黒スープ」は「たくさんの野菜と豚骨ベースのスープ」で、もう一方の「赤スープ」は「たくさんの野菜と鶏の手捌ベース」のスープである。
 そしてスープの次に選択するのは具材なのだが、メニューに載っていたのは、野菜、チキン、ハンバーグ、豚しゃぶ、ビーフ、そしてロースカツであった。
 ガイドブックの店紹介ページでは「黒のハンバーグ」と「赤のチキン」が推されていたので、当初、書き手は、黒スープにハンバーグを注文するつもりでいたのだが、そんな書き手の目に入ってきたのが「ビーフ」であった。

 このビーフは黒スープ限定のメニューで、しかも、「じっくり煮込んだ国産牛はとろけるような舌ざわり」で、それより何より〈数量限定〉らしいのだ。

 限定…。
 タイミング次第では、たとえ欲しても食べられないケースがある品……。

 よし、決めたっ!

 来店時がラスト・オーダー時間の少し前なので、もしかしたらビーフが枯れているかもしれない。その場合にはハンバーグにしよう、そう思ってスタッフにビーフの有無を尋ねてみたところ、幸運にも、限定のビーフは未だ注文可能であった。
 かくして、書き手は、黒スープのビーフ、辛さは「1」、そしてライスの量は大盛りにした。
 辛さに関しては、神保町店で注文した時に一番下の辛さでも書き手には充分に辛かった印象があったし、ライスを大盛りにしたのは、辛いカレーは、水ではなく、ライスで口に残った辛さを和らげながら食べるのが適切だ、と考えたからである。
 ちなみに、ライスはお代わり〈無料〉なので、辛さに口内がやられ、大盛りでも足りない、と思った時には、お代わりをすれば無問題であろう。

 やがて、木製のお盆に載せられた二つの白い器が運ばれてきた。
 器は舟形で、そう、これこそが鴻のスープカレーの特徴なのだ。
 印象としては、もう片方の舟には茶色いカレーが浸水してしまっている感じであった。

 そしてやはり、ライスはお代わりをして、バランス的にはちょうどよかった。だからこその、お代わり無料なのかもしれない。

 やはり、辛いカレーを食す時にはライスは大盛りやお代わりがデフォルトなのである。

〈訪問データ〉
 スープカレー屋オオドリー〈鴻〉神田駿河台店:神保町・お茶の水
 E13
 十一月十六日・水・十九時半
 ビーフ(黒スープのみ):一三〇〇円(QR)

〈参考資料〉
 「スープカレー屋オオドリー〈鴻〉 神田駿河台店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、四十九ページ。
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