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一巡目(二〇二二)
第052匙 衝撃的電気箱:スパイスカレー・ブラックデビル(D14)
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月曜日は、午前中の仕事の後、夕方からの仕事が始まるまで、昼時に比較的時間を取ることができるので、ランチ・タイムにしか行けないような店に行く、というスタンプ・ラリー戦略を採る事にした。
こういった方針に基づいて、月曜日の昼に書き手が訪れんとしたのは、電気街で有名な秋葉原の昭和通り側に位置している〈スパイスカレー ブラックデビル〉であった。
この店はランチ・タイムのみの営業で、その営業時間は、十一時半から十四時半(ラスト・オーダー)なので、昼に時間的余裕がある場合にしか訪店できない、スタンプ・ラリーを達成する上で難易度が高く、行けるときに行くのが吉なのである。
短時間営業の店の場合、カレー・ソースが無くなった時には、早めに店仕舞いをするケースもあるので、この点において、ブラックデビルは、スタンプ・ラリー達成上、高難易度な店なのだ。
書き手が秋葉原に着いたのは、ラスト・オーダーの三十分前だったので、カレー・ソースが枯れてさえいなければ、書き手は目的を果たす事ができそうである。
店は、総武線の高架下近くに位置していたのだが、店がある二階に向かう前に、建物の前に置かれていたメニュー・パネルで、注文品のメドをつけてしまう事にした。
メニューは、「スパイスカレー」「スパイスカレーデラックス」「アジアンキーマカレー」「牛すじ煮込みカレー」「ポーク角煮カレー」「三元豚ロースカレー」「半熟たまごカレー」「半熟たまごチーズカレー」「レッドチェーダチーズカレー」「ほうれんそうコーンカレー」「肉3種盛りカレー」など色々並べ置かれており、さらに、カレー・ソースに関しては、「2種類のルー」、すなわち、「一気に汗が噴き出すほどの衝撃的な辛さと奥深い味わい」の「スパイシー」か、「たっぷりの果物の甘みと酸味の中の程よい辛味」の「フルーティー」から選ぶようになっていた。
カレー・ソースは、「スパイシー」にする事にしたのだが、しかし問題は、多種にわたるカレー・ライス・メニューの方で、特にトッピングを、「ポーク角煮」にするか、「三元豚ロース」にするか、それとも「牛すじ煮込み」にするか、つまり、お肉をどうするかで、書き手は悩んでしまい、雨の下という事もあって、結局、決めかねたまま、書き手は、二階へと続く階段を昇ったのであった。
店に入り、着座してメニューを開くと、店内のメニューには、店前のパネルよりも多くのメニューが掲載されていて、ここで書き手の目に止まったのは、「肉二種盛りカレー」であった。
店外のパネルにあった肉三種では、肉の種類が多すぎるような気がしていたので、二種盛りは適切であるように、書き手には思えたのだ。
結果、この日の書き手は、「肉2種盛りカレー」にし、「牛すじ・ポーク角煮・鶏挽肉」の三種から二種を選ぶ肉に関しては、ポーク角煮と牛すじを選んだ。
これならば、店の前で、選ぶべき肉に悩む必要などなかったのだ。もしかしたら、書き手のように、肉で悩む客がいるからこそ、三種盛りや二種盛りというメニューが存在しているのかもしれない。
注文後、カレーが提供されるまで、例の如く、店の掲示物を読んでいたのだが、その掲示には、この昼の三時間営業の「スパイスカレー ブラックデビル」は、「たっぷりのスパイスと野菜と果物をじっくり煮込んだ旨辛カレーは関西で人気のカレーショップ『spice32』のカレーを特別に提供してもらっております」とあった。
検索してみたところ、「spice32」は、大阪の梅田や京都の祇園四条に店舗があるらしいのだが、この店のカレーに対して「衝撃の辛さ」と形容している記事を書き手は見付けた。
やがて、提供された、ポーク角煮と牛すじの「肉2種盛りカレー」、「スパイシー」カレー・ソースは……。
!!!
本当に激辛で、舌が痺れるほど、衝撃的であった。
普段の書き手は、辛いカレーは、水ではなく白米でリセットするようにしているのだが、この日は、ライスを大盛にしなかったので、途中でライスが無くなってしまい、結局、水で口内の辛味を和らげるしかなくなってしまったのだった。
次の来店機会には、ライスを多めにし、さらにラッシーも注文しよう、と強く誓った書き手であった。
そしてもう一つ、書き手には衝撃的な事があって、この店〈スパイスカレー ブラックデビル〉が三時間という短時間営業であるのは、昼の時間にだけ、カレー・ショップとして営業しているからで、この場所は、夜になると、声優を目指す人・アニメや漫画・声優好きがキャストを務める、「コンセプト喫茶&BARカフェ&バー」たる「声優のたまご」へと変貌するからであるらしい。
これは、本当に衝撃的な事実であった。
〈訪問データ〉
スパイスカレー ブラックデビル;秋葉原・昭和通り
D14
十月十七日・月曜日・十四時
肉2種盛りカレー(牛すじ・ポーク角煮):九五〇円(QR)
〈参考資料〉
「スパイスカレー ブラックデビル」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六十三ページ。
〈WEB〉
『スパイスカレー ブラックデビル』、二〇二二年十二月二十六日閲覧。
『声優のたまご』、二〇二二年十二月二十六日閲覧。
こういった方針に基づいて、月曜日の昼に書き手が訪れんとしたのは、電気街で有名な秋葉原の昭和通り側に位置している〈スパイスカレー ブラックデビル〉であった。
この店はランチ・タイムのみの営業で、その営業時間は、十一時半から十四時半(ラスト・オーダー)なので、昼に時間的余裕がある場合にしか訪店できない、スタンプ・ラリーを達成する上で難易度が高く、行けるときに行くのが吉なのである。
短時間営業の店の場合、カレー・ソースが無くなった時には、早めに店仕舞いをするケースもあるので、この点において、ブラックデビルは、スタンプ・ラリー達成上、高難易度な店なのだ。
書き手が秋葉原に着いたのは、ラスト・オーダーの三十分前だったので、カレー・ソースが枯れてさえいなければ、書き手は目的を果たす事ができそうである。
店は、総武線の高架下近くに位置していたのだが、店がある二階に向かう前に、建物の前に置かれていたメニュー・パネルで、注文品のメドをつけてしまう事にした。
メニューは、「スパイスカレー」「スパイスカレーデラックス」「アジアンキーマカレー」「牛すじ煮込みカレー」「ポーク角煮カレー」「三元豚ロースカレー」「半熟たまごカレー」「半熟たまごチーズカレー」「レッドチェーダチーズカレー」「ほうれんそうコーンカレー」「肉3種盛りカレー」など色々並べ置かれており、さらに、カレー・ソースに関しては、「2種類のルー」、すなわち、「一気に汗が噴き出すほどの衝撃的な辛さと奥深い味わい」の「スパイシー」か、「たっぷりの果物の甘みと酸味の中の程よい辛味」の「フルーティー」から選ぶようになっていた。
カレー・ソースは、「スパイシー」にする事にしたのだが、しかし問題は、多種にわたるカレー・ライス・メニューの方で、特にトッピングを、「ポーク角煮」にするか、「三元豚ロース」にするか、それとも「牛すじ煮込み」にするか、つまり、お肉をどうするかで、書き手は悩んでしまい、雨の下という事もあって、結局、決めかねたまま、書き手は、二階へと続く階段を昇ったのであった。
店に入り、着座してメニューを開くと、店内のメニューには、店前のパネルよりも多くのメニューが掲載されていて、ここで書き手の目に止まったのは、「肉二種盛りカレー」であった。
店外のパネルにあった肉三種では、肉の種類が多すぎるような気がしていたので、二種盛りは適切であるように、書き手には思えたのだ。
結果、この日の書き手は、「肉2種盛りカレー」にし、「牛すじ・ポーク角煮・鶏挽肉」の三種から二種を選ぶ肉に関しては、ポーク角煮と牛すじを選んだ。
これならば、店の前で、選ぶべき肉に悩む必要などなかったのだ。もしかしたら、書き手のように、肉で悩む客がいるからこそ、三種盛りや二種盛りというメニューが存在しているのかもしれない。
注文後、カレーが提供されるまで、例の如く、店の掲示物を読んでいたのだが、その掲示には、この昼の三時間営業の「スパイスカレー ブラックデビル」は、「たっぷりのスパイスと野菜と果物をじっくり煮込んだ旨辛カレーは関西で人気のカレーショップ『spice32』のカレーを特別に提供してもらっております」とあった。
検索してみたところ、「spice32」は、大阪の梅田や京都の祇園四条に店舗があるらしいのだが、この店のカレーに対して「衝撃の辛さ」と形容している記事を書き手は見付けた。
やがて、提供された、ポーク角煮と牛すじの「肉2種盛りカレー」、「スパイシー」カレー・ソースは……。
!!!
本当に激辛で、舌が痺れるほど、衝撃的であった。
普段の書き手は、辛いカレーは、水ではなく白米でリセットするようにしているのだが、この日は、ライスを大盛にしなかったので、途中でライスが無くなってしまい、結局、水で口内の辛味を和らげるしかなくなってしまったのだった。
次の来店機会には、ライスを多めにし、さらにラッシーも注文しよう、と強く誓った書き手であった。
そしてもう一つ、書き手には衝撃的な事があって、この店〈スパイスカレー ブラックデビル〉が三時間という短時間営業であるのは、昼の時間にだけ、カレー・ショップとして営業しているからで、この場所は、夜になると、声優を目指す人・アニメや漫画・声優好きがキャストを務める、「コンセプト喫茶&BARカフェ&バー」たる「声優のたまご」へと変貌するからであるらしい。
これは、本当に衝撃的な事実であった。
〈訪問データ〉
スパイスカレー ブラックデビル;秋葉原・昭和通り
D14
十月十七日・月曜日・十四時
肉2種盛りカレー(牛すじ・ポーク角煮):九五〇円(QR)
〈参考資料〉
「スパイスカレー ブラックデビル」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六十三ページ。
〈WEB〉
『スパイスカレー ブラックデビル』、二〇二二年十二月二十六日閲覧。
『声優のたまご』、二〇二二年十二月二十六日閲覧。
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