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一巡目(二〇二二)
第044匙 カレーに本気です:MAJI CURRY 神田神保町本店(B05)
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十月最初の土日に、書き手が、地元の茨城に帰省した時の事である。
書き手は、夕食の買い出しに、地元のスーパー・マーケットに赴いた。その店内で、レトルトのコーナーの商品棚に並べられていたカレーを眺めていたのだが、その際にそこに、『S&B』から販売されている「神田カレーグランプリ」というシリーズを発見したのである。
「おっ、おおおおぉぉぉ~~~!!!」
思わず、書き手は、心の中で叫びを上げてしまった。
書き手は、今現在、「神田カレー街食べ歩きスタンプラリー」に参加中なのだが、そんな書き手が地元のスーパーで目にしたのは、そのスタンプラリーと関連したイヴェント、『神田カレーグランプリ』の歴代グランプリ受賞店のカレーを商品化したレトルト・カレーだったのだ。
『S&B』のページでは、そのシリーズについて次のような紹介が為されていた。
「東京神田で開催されるカレーの祭典『神田カレーグランプリ』のレトルトカレーシリーズ。
300店以上のカレー提供店舗が密集する東京神田で、年に1度開催されるカレーの祭典『神田カレーグランプリ』のレトルトカレーシリーズです」
つまり、その三百の中の八つの店の九つのカレーが、「欧風カレーボンディ チーズカレー」、「マンダラ ビーフマサラカレー」、「日乃屋カレー 和風ビーフカレー」、「100時間カレーB&R 欧風ビーフカレー」、「お茶の水 大勝軒 復刻版カレー」、「お茶の水 大勝軒 スパイスドライキーマ」、「ビストロべっぴん舎 カシビールビーフカリー」、「洋食膳海カレーTAKEUCHI クリーミーシーフードカレー」、そして「MAJIカレー 特選ハンバーグカレー」である。
ちなみに、〈MAJIカレー〉のグランプリ獲得カレーは、「特製チーズフォンデュがけハンバーグカレー」なのだが、そのカレーではなく、普通のハンバーグカレーが商品になっているのは、チーズ・フォンデュのレトルト化が難しかったからなのかもしれない。
とまれ、十月の最初の時点で、未だに書き手がスタンプ・ラリーで赴いていない店のレトルト・カレーが幾つも並べ置かれていたため、これらのどれかを買いたい衝動に駆られてしまった書き手ではあったが、未来訪の店のカレーは、東京に戻った際に、実際に店に足を運んで味わう事にして、その場では、己が欲望をグッと堪えたのであった。
そして十月四日の火曜日の夜、東京に戻ってきた書き手が訪れたのは、『S&B』のホームページでは「新商品」と明記されていた〈MAJI CURRY(マジ・カレー〉であった。
レトルトではなく、マジ・カレーのカレーが実際に食べられるのは、関東では、神保町、有明、埼玉県の志木、そして、海外ではタイ、そしてシンガポールなのだが、もちろん、書き手が赴いたのは、神田神保町本店である。
店のホーム・ページのメニューには、レトルトにあった「ハンバーグカレー」以外にも、「プレーンカレー」、「ビーフカレー」、「オムカレー」、「海老フライカレー」、「味わい野菜カレー」、「こだわり豚カツカレー」、ハンバーグカレーにチーズ・フォンデュをかけた「グランプリカレー」などのライン・ナップがあったのだが、グランプリカレーを除くと、それ以外のメニューはみな、価格一〇〇〇円以下で、この安さも、この店の人気の要因の一つであるように書き手には思えた。
来店時の書き手の直感が、今後、足繁くこの店に通う事を告げていたので、安い順にメニューを順次クリアする、という訪店戦略を採用し、この日の書き手は、「プレーン」の次に廉価な「ビーフカレー」を選ぶ事にした。
店のホーム・ぺージによると、MAJI CURRYの創業者は、「さまざまなカレーを求めて世界中を旅し」、「そこで様々なスパイスの魅力と各国特有のスパイス文化に出会い、日本の伝統的なカレーと融合させることを思い」ついたのだそうだ。
世界中を旅するなんて、それだけ、カレーに〈本気(まじ)〉だったのであろう。
そもそもの話、「MAJI」という店名も、この心意気に由来しているらしい。
そんな情報を、カレーの提供を待っている間、書き手は、タブレットで読んでいたのだが、それを読みながら、端目では、客席カウンターの向こう側の調理場を見ていた。
そこで目撃したのは、注文を受けた後、一食ずつ、小鍋に入れて調理している様子であった。
調理法も本気だっ!
やがて、提供されたカレーこそが、世界のスパイス・カレーと日本の煮込みカレーを融合させた〈MAJI(な)カレー〉なのである。
今回は、たしかに、カレー・スタンプ・ラリー目的での訪店だったが、この先、ビーフ以外のカレーも真剣に味わってゆこう、でももしも、店舗に通う時間的余裕がないのならば、その場合には、レトルトでもいいから味わおう、そう決意した書き手であった。
ちなみに、レトルトは、「神田カレーグランプリ」のシリーズに入っている「ハンバーグカレー」以外にも、「ビーフカレー」があり、それらは、ネットでの購入も可能なので、もし、近隣のスーパーで見かけなかった場合にも入手可能なのはありがたい話である。
*
十月の初めにMAJI CURRYに書き手が行った時点では、未だ「2022 神田カレーグランプリ」は開催前だったのだが、この年の第十回大会において、MAJIカレーが、二〇一八年の第八回大会に引き続き、第十代目のグランプリを獲得した事を、ここに明記しておこう。
*
十二月の後半、書き手は、MAJI CURRYを再訪し、この時には「ハンバーグカレー」を注文した。そして、初回の来店の時には素のままのMAJIカレーを味わうために利用しなかった、味調整の店独自ブレンドの、ライス用のスパイスと、ルー用のスパイスを振りかけたのだが、卓上スパイスによる味変も良き味であった。
〈訪問データ〉
MAJI CURRY 神田神保町店:神保町・お茶の水
十月四日・火曜・十九時十五分
特製ビーフカレー:七二〇円(現金)
〈再訪〉
十二月十九日・月曜日・十三時半
ハンバーグカレー:八二〇円(QR)
〈参考資料〉
「MAJI CURRY 神田神保町本店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十六ページ。
〈WEB〉
「神田カレーグランプリ」、「神田カレーグランプリ MAJIカレー 特製ハンバーグカレー お店の中辛」、『S&B』、二〇二二年十二月十八日閲覧。
「MAJI CURRY」、二〇二二年十二月十八日閲覧。
書き手は、夕食の買い出しに、地元のスーパー・マーケットに赴いた。その店内で、レトルトのコーナーの商品棚に並べられていたカレーを眺めていたのだが、その際にそこに、『S&B』から販売されている「神田カレーグランプリ」というシリーズを発見したのである。
「おっ、おおおおぉぉぉ~~~!!!」
思わず、書き手は、心の中で叫びを上げてしまった。
書き手は、今現在、「神田カレー街食べ歩きスタンプラリー」に参加中なのだが、そんな書き手が地元のスーパーで目にしたのは、そのスタンプラリーと関連したイヴェント、『神田カレーグランプリ』の歴代グランプリ受賞店のカレーを商品化したレトルト・カレーだったのだ。
『S&B』のページでは、そのシリーズについて次のような紹介が為されていた。
「東京神田で開催されるカレーの祭典『神田カレーグランプリ』のレトルトカレーシリーズ。
300店以上のカレー提供店舗が密集する東京神田で、年に1度開催されるカレーの祭典『神田カレーグランプリ』のレトルトカレーシリーズです」
つまり、その三百の中の八つの店の九つのカレーが、「欧風カレーボンディ チーズカレー」、「マンダラ ビーフマサラカレー」、「日乃屋カレー 和風ビーフカレー」、「100時間カレーB&R 欧風ビーフカレー」、「お茶の水 大勝軒 復刻版カレー」、「お茶の水 大勝軒 スパイスドライキーマ」、「ビストロべっぴん舎 カシビールビーフカリー」、「洋食膳海カレーTAKEUCHI クリーミーシーフードカレー」、そして「MAJIカレー 特選ハンバーグカレー」である。
ちなみに、〈MAJIカレー〉のグランプリ獲得カレーは、「特製チーズフォンデュがけハンバーグカレー」なのだが、そのカレーではなく、普通のハンバーグカレーが商品になっているのは、チーズ・フォンデュのレトルト化が難しかったからなのかもしれない。
とまれ、十月の最初の時点で、未だに書き手がスタンプ・ラリーで赴いていない店のレトルト・カレーが幾つも並べ置かれていたため、これらのどれかを買いたい衝動に駆られてしまった書き手ではあったが、未来訪の店のカレーは、東京に戻った際に、実際に店に足を運んで味わう事にして、その場では、己が欲望をグッと堪えたのであった。
そして十月四日の火曜日の夜、東京に戻ってきた書き手が訪れたのは、『S&B』のホームページでは「新商品」と明記されていた〈MAJI CURRY(マジ・カレー〉であった。
レトルトではなく、マジ・カレーのカレーが実際に食べられるのは、関東では、神保町、有明、埼玉県の志木、そして、海外ではタイ、そしてシンガポールなのだが、もちろん、書き手が赴いたのは、神田神保町本店である。
店のホーム・ページのメニューには、レトルトにあった「ハンバーグカレー」以外にも、「プレーンカレー」、「ビーフカレー」、「オムカレー」、「海老フライカレー」、「味わい野菜カレー」、「こだわり豚カツカレー」、ハンバーグカレーにチーズ・フォンデュをかけた「グランプリカレー」などのライン・ナップがあったのだが、グランプリカレーを除くと、それ以外のメニューはみな、価格一〇〇〇円以下で、この安さも、この店の人気の要因の一つであるように書き手には思えた。
来店時の書き手の直感が、今後、足繁くこの店に通う事を告げていたので、安い順にメニューを順次クリアする、という訪店戦略を採用し、この日の書き手は、「プレーン」の次に廉価な「ビーフカレー」を選ぶ事にした。
店のホーム・ぺージによると、MAJI CURRYの創業者は、「さまざまなカレーを求めて世界中を旅し」、「そこで様々なスパイスの魅力と各国特有のスパイス文化に出会い、日本の伝統的なカレーと融合させることを思い」ついたのだそうだ。
世界中を旅するなんて、それだけ、カレーに〈本気(まじ)〉だったのであろう。
そもそもの話、「MAJI」という店名も、この心意気に由来しているらしい。
そんな情報を、カレーの提供を待っている間、書き手は、タブレットで読んでいたのだが、それを読みながら、端目では、客席カウンターの向こう側の調理場を見ていた。
そこで目撃したのは、注文を受けた後、一食ずつ、小鍋に入れて調理している様子であった。
調理法も本気だっ!
やがて、提供されたカレーこそが、世界のスパイス・カレーと日本の煮込みカレーを融合させた〈MAJI(な)カレー〉なのである。
今回は、たしかに、カレー・スタンプ・ラリー目的での訪店だったが、この先、ビーフ以外のカレーも真剣に味わってゆこう、でももしも、店舗に通う時間的余裕がないのならば、その場合には、レトルトでもいいから味わおう、そう決意した書き手であった。
ちなみに、レトルトは、「神田カレーグランプリ」のシリーズに入っている「ハンバーグカレー」以外にも、「ビーフカレー」があり、それらは、ネットでの購入も可能なので、もし、近隣のスーパーで見かけなかった場合にも入手可能なのはありがたい話である。
*
十月の初めにMAJI CURRYに書き手が行った時点では、未だ「2022 神田カレーグランプリ」は開催前だったのだが、この年の第十回大会において、MAJIカレーが、二〇一八年の第八回大会に引き続き、第十代目のグランプリを獲得した事を、ここに明記しておこう。
*
十二月の後半、書き手は、MAJI CURRYを再訪し、この時には「ハンバーグカレー」を注文した。そして、初回の来店の時には素のままのMAJIカレーを味わうために利用しなかった、味調整の店独自ブレンドの、ライス用のスパイスと、ルー用のスパイスを振りかけたのだが、卓上スパイスによる味変も良き味であった。
〈訪問データ〉
MAJI CURRY 神田神保町店:神保町・お茶の水
十月四日・火曜・十九時十五分
特製ビーフカレー:七二〇円(現金)
〈再訪〉
十二月十九日・月曜日・十三時半
ハンバーグカレー:八二〇円(QR)
〈参考資料〉
「MAJI CURRY 神田神保町本店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十六ページ。
〈WEB〉
「神田カレーグランプリ」、「神田カレーグランプリ MAJIカレー 特製ハンバーグカレー お店の中辛」、『S&B』、二〇二二年十二月十八日閲覧。
「MAJI CURRY」、二〇二二年十二月十八日閲覧。
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