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一巡目(二〇二二)
第038匙 淡路町に聳えるインドの宮殿:ガンディーマハル(B02)
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九月二十八日、書き手は、午後三時少し前に、丸の内線の淡路町駅で下車した後、本郷通りの坂をのぼっていた。
その途上においてである。
神田カレーグランプリの〈くま〉のノボリが、書き手の視界に入ってきた。
そのノボリを立てていた店は未訪店だったので、書き手は、ノボリに誘われるままに、その店に入る事に決めた。
ノボリは、通りに面した建物の一階に立てられていたのだが、店それ自体は二階に位置しているので、書き手は昇降機を使って店に向かったのであった。
そして――
エレベーターで昇ると、扉の先は既に店であった。
そこが、インド料理店「ガンディーマハル」である。
その創業は一九九九年、ということは、開店してから二十三周年を迎えており、神田界隈のインド・レストランとしては、かなりの老舗で、さらに、この店の店員は皆インド人であるそうだ。
インドのグジャラート州には、一九七〇年からグジャラート州の州都となった、〈ガンディーナガル(外務省が採用している表記は「ガンジーナガル」)〉という町があり、その意味は〈ガンディーの町〉で、これは、グジャラート州出身のマハトマ・ガンディーから採られた名である。もしかしたら、この店の名も、ガンディーにちなんでいるのか、と思いながら、書き手はエレベーターを降り、店に足を踏み入れたのであった。
ちなみに、店名後半の〈マハル〉は、タージ・マハルの「マハル」と、おそらく同じ意味であろう。すなわち、マハルとは、ペルシア語で「宮殿」のことなので、「ガンディーマハル」とは、直訳すると、〈ガンディー宮殿〉という意味になるだろう。
はたして、店内の雰囲気は、インドの宮殿もかくや、という感じであった。
実際、この店の店内は、インドの建物をイメージしているらしい。
入店した時、時刻はもうすぐ三時、店の中は、インド人のスタッフしかいなかったのだが、どうやらランチタイム終了の直前であったようだ。
書き手は、少し申し訳ない気持ちを抱きながら着席し、「ランチセットメニュー」として提供されている「2品カレーセット」、「3品カレーセット」、「タンドリーセット」の中から、「2品カレーセット」を選ぶ事にした。
この場合、カレーは、「チキンカレー」、「ラムカレー」、「ベジタブルカレー」、「キーマカレー」、「豆カレー」、「エビカレー」、「バターチキン」、「ほうれん草とチキン」、「ほうれん草とジャガイモ」の九種類の中から、二品選ぶことになる。
カレーのメニューは、野菜系のカレーを除くと、魚介はエビで、肉はチキンとマトン、すなわち、牛と豚は無いので、このインド料理店は、ヒンドゥー系のカレー店なのだろう。
どこかのエピソードで言及した記憶があるのだが、ヒンドゥー教では、牛は神聖な動物であるために、豚は不浄な動物という理由から、食用がタブーで、非ベジタリアンのヒンドゥーにおいて食用とされる獣肉は、鶏肉と羊肉、そして山羊肉である。
インド人スタッフ・オンリーのインド風のインテリアの、このガンディー宮殿は、スパイスを約二十種類も使い、さらに、メニューごとにスパイスの組み合わせを変化させたりして、本場のインドの味を出さんとしているそうだ。
そして、キーマは、他のメニューよりもスパイスが多めで、野菜カレーはターメリックが多めであるらしい。
そこで、書き手は、二品選べるカレーのうち、茶色と緑の品を一つずつ選ぶ事にし、一品目は、スパイス多めの「キーマカレー」を、もう一品は、ターメリック多めの「ほうれん草とジャガイモ(のカレー)」を注文したのであった。
しばらくすると、大き目のナン、小盛りのライス、サラダ、そして、緑と茶色のカレーが置かれた銀色のプレートが運ばれてきた。
このガンディーマハルが三十八件目で、アジアンレストランにも何店か行っているのに、書き手が、この企画でナンでカレーを食べるのは実はここが最初であった。
まず、緑と茶色のカレーを一口ずつ口に運んでみたのだが、スパイス多めのキーマの方がやはり辛かったので、先に、緑のホウレンソウのカレーを、ライスとナンで食べる事にした。
食べ始める前には、大きいナンが余るかも、と思ったのだが、カレーが辛めだったので、バランス的にはちょうどよかった。
ナンに関しては、お代わりが自由だったのだが、お代わりをする場合には、バランスを考えると、二品ではなく、カレーは三品にするのがベターであるように思われる。
とまれ、本格的なインド料理、ナンでおいしく完食させていただいた。
ただし、である。
ランチタイム提供のメニューですら、九種類のカレーのうち、未だ二種類しか味わえていない。
スタンプラリー企画終了後、淡路町・お茶の水の上り坂の二階に聳える、このインド宮殿を再訪することもいつかあるだろう、そう思いながら、本郷通りの坂を下る書き手であった。
〈訪問データ〉
ガンディーマハル:淡路町・新御茶ノ水
B02
九月二十八日・水曜日・十四時四五分
2品カレーセット(キーマカレー;ほうれん草とジャガイモ):九八〇円(現金)
〈参考資料〉
「ガンディーマハル」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十九ページ。
その途上においてである。
神田カレーグランプリの〈くま〉のノボリが、書き手の視界に入ってきた。
そのノボリを立てていた店は未訪店だったので、書き手は、ノボリに誘われるままに、その店に入る事に決めた。
ノボリは、通りに面した建物の一階に立てられていたのだが、店それ自体は二階に位置しているので、書き手は昇降機を使って店に向かったのであった。
そして――
エレベーターで昇ると、扉の先は既に店であった。
そこが、インド料理店「ガンディーマハル」である。
その創業は一九九九年、ということは、開店してから二十三周年を迎えており、神田界隈のインド・レストランとしては、かなりの老舗で、さらに、この店の店員は皆インド人であるそうだ。
インドのグジャラート州には、一九七〇年からグジャラート州の州都となった、〈ガンディーナガル(外務省が採用している表記は「ガンジーナガル」)〉という町があり、その意味は〈ガンディーの町〉で、これは、グジャラート州出身のマハトマ・ガンディーから採られた名である。もしかしたら、この店の名も、ガンディーにちなんでいるのか、と思いながら、書き手はエレベーターを降り、店に足を踏み入れたのであった。
ちなみに、店名後半の〈マハル〉は、タージ・マハルの「マハル」と、おそらく同じ意味であろう。すなわち、マハルとは、ペルシア語で「宮殿」のことなので、「ガンディーマハル」とは、直訳すると、〈ガンディー宮殿〉という意味になるだろう。
はたして、店内の雰囲気は、インドの宮殿もかくや、という感じであった。
実際、この店の店内は、インドの建物をイメージしているらしい。
入店した時、時刻はもうすぐ三時、店の中は、インド人のスタッフしかいなかったのだが、どうやらランチタイム終了の直前であったようだ。
書き手は、少し申し訳ない気持ちを抱きながら着席し、「ランチセットメニュー」として提供されている「2品カレーセット」、「3品カレーセット」、「タンドリーセット」の中から、「2品カレーセット」を選ぶ事にした。
この場合、カレーは、「チキンカレー」、「ラムカレー」、「ベジタブルカレー」、「キーマカレー」、「豆カレー」、「エビカレー」、「バターチキン」、「ほうれん草とチキン」、「ほうれん草とジャガイモ」の九種類の中から、二品選ぶことになる。
カレーのメニューは、野菜系のカレーを除くと、魚介はエビで、肉はチキンとマトン、すなわち、牛と豚は無いので、このインド料理店は、ヒンドゥー系のカレー店なのだろう。
どこかのエピソードで言及した記憶があるのだが、ヒンドゥー教では、牛は神聖な動物であるために、豚は不浄な動物という理由から、食用がタブーで、非ベジタリアンのヒンドゥーにおいて食用とされる獣肉は、鶏肉と羊肉、そして山羊肉である。
インド人スタッフ・オンリーのインド風のインテリアの、このガンディー宮殿は、スパイスを約二十種類も使い、さらに、メニューごとにスパイスの組み合わせを変化させたりして、本場のインドの味を出さんとしているそうだ。
そして、キーマは、他のメニューよりもスパイスが多めで、野菜カレーはターメリックが多めであるらしい。
そこで、書き手は、二品選べるカレーのうち、茶色と緑の品を一つずつ選ぶ事にし、一品目は、スパイス多めの「キーマカレー」を、もう一品は、ターメリック多めの「ほうれん草とジャガイモ(のカレー)」を注文したのであった。
しばらくすると、大き目のナン、小盛りのライス、サラダ、そして、緑と茶色のカレーが置かれた銀色のプレートが運ばれてきた。
このガンディーマハルが三十八件目で、アジアンレストランにも何店か行っているのに、書き手が、この企画でナンでカレーを食べるのは実はここが最初であった。
まず、緑と茶色のカレーを一口ずつ口に運んでみたのだが、スパイス多めのキーマの方がやはり辛かったので、先に、緑のホウレンソウのカレーを、ライスとナンで食べる事にした。
食べ始める前には、大きいナンが余るかも、と思ったのだが、カレーが辛めだったので、バランス的にはちょうどよかった。
ナンに関しては、お代わりが自由だったのだが、お代わりをする場合には、バランスを考えると、二品ではなく、カレーは三品にするのがベターであるように思われる。
とまれ、本格的なインド料理、ナンでおいしく完食させていただいた。
ただし、である。
ランチタイム提供のメニューですら、九種類のカレーのうち、未だ二種類しか味わえていない。
スタンプラリー企画終了後、淡路町・お茶の水の上り坂の二階に聳える、このインド宮殿を再訪することもいつかあるだろう、そう思いながら、本郷通りの坂を下る書き手であった。
〈訪問データ〉
ガンディーマハル:淡路町・新御茶ノ水
B02
九月二十八日・水曜日・十四時四五分
2品カレーセット(キーマカレー;ほうれん草とジャガイモ):九八〇円(現金)
〈参考資料〉
「ガンディーマハル」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十九ページ。
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