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一巡目(二〇二二)
第009匙 A6の仙台牛:焼肉モリちゃん(A06)
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書き手は、神田・秋葉原方面に向かって靖国通りの左側の歩道を取っていた。
〈白山通り〉を越えて、そのまま数分歩き、幾つかの細い道を通り過ぎると、道幅広めの〈明大通り〉に至る前に、角度広めの〈V〉字の細道が在るのだが、横断歩道を渡って、右の斜めの細道に入る。
その小道には、焼き肉屋が軒を連ねており、ここは、いわば神保町・焼肉街になっているのだが、この道が明大通りに接続する手前、右側に位置しているのが、〈焼肉モリちゃん御茶ノ水店〉である。
モリちゃんは、A5ランクの和牛を提供している焼き肉専門店で、昼営業もしており、ランチには、牛カルビ焼肉ランチ、サーロインステーキ丼など心躍る品も廉価な価格で提供されているのだが、もちろん、書き手は、ランチタイム限定メニューである〈国産黒毛和牛A5ランクカルビカレー〉を注文した。
ちなみに、モリちゃんは、このカレーをもってして、今年の〈神田カレーグランプリ〉に初出場している、との事であった。
やがて提供された盆には、カレーライスに加え、サラダときゅうりの漬物、そして生卵も付けられていた。
さらに、である。
なんと、ランチタイムには、ご飯とカレーが食べ放題であり、もちろん、書き手はお代わりをした。
お代わりのカレーはセルフサービスなのだが、カレー鍋が置かれている場所には、カレーの装い方講座のポスターが貼られていた。
カレーの美しい注ぎ方は、業務用の銀色の〈寸胴鍋〉から、お玉でカレーを掬った後に、すぐには皿上のライスにかけずに、鍋でお玉をワンバウンドさせると、カレーが垂れずに済むそうなのだ。そこで、書き手もそれを実践してみた。
たしかに、カレーは零れなかった。
数分後、お代わりもしたカレーライスを完食したのだが、書き手の腹は腹十分目を超えてしまっていた。
それにしても、やはり、焼き肉専門店が提供している牛肉は格が違った。
神田カレー街の冊子内の店の紹介頁によると、なんと、「仕込みの段階で出た脂身の多い部分や端の部位をたっぷり5時間以上煮込んで旨味を出して」いるらしい。
ちなみに、店員さんが言っていたのだが、この日の国産和牛は〈仙台牛〉とのことであった。
後で、ネットで調べてみたところ、仙台牛は、「日本食肉格付協会枝肉取引企画」の基準で、肉質の等級が「A5またはB5」、すなわち、最高ランクである〈5〉ではないと、〈仙台牛〉を名乗る事が許されない、全国で唯一のブランド牛であるそうだ。
その基準とは、「霜降りと赤身のバランス、きめの細かさなど厳しい基準をクリア」せねばならないらしい。
そして、仙台牛の味は、「口当たりが良くやわらかで、まろやかな風味と豊かな肉汁が特徴」の「上質な食味」だという。
仙台牛が、このような良質の肉であるのは、仙台の「清らかな水で育ったササニシキやひとめぼれなどの稲わら」を食べさせ、「およそ3年かけて丁寧に育てられて」いるから、との事であった。
サイトの説明文を読んでいるだけで、食したばかりの仙台牛の味が口の中で再現されたような感じがして、書き手は、思わず唾を飲み込んでしまった。
だから思ったのだ。
この〈モリちゃん〉で、書き手が訪れたAコース配置の店は六件目になるのだが、モリちゃんで食べた黒毛和牛は、たしかに〈A5〉ランクなのだが、個人的には、この仙台牛に、最高ランク以上の〈A6〉を与えたいな、と。
〈訪問データ〉
焼肉モリちゃん 御茶ノ水店:神保町・御茶ノ水
A06
八月二十二日・月曜日・十四時
和牛A5ランクカルビカレー:一二〇〇円(QR)
〈参考資料〉
「焼肉モリちゃん 御茶ノ水店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、七十二ページ。
〈WEB〉
「神保町駅 構内図」、『東京メトロ』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
『焼肉ホルモン モリちゃん』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
「仙台牛とは」、『仙台牛銘柄推進協議会』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
〈白山通り〉を越えて、そのまま数分歩き、幾つかの細い道を通り過ぎると、道幅広めの〈明大通り〉に至る前に、角度広めの〈V〉字の細道が在るのだが、横断歩道を渡って、右の斜めの細道に入る。
その小道には、焼き肉屋が軒を連ねており、ここは、いわば神保町・焼肉街になっているのだが、この道が明大通りに接続する手前、右側に位置しているのが、〈焼肉モリちゃん御茶ノ水店〉である。
モリちゃんは、A5ランクの和牛を提供している焼き肉専門店で、昼営業もしており、ランチには、牛カルビ焼肉ランチ、サーロインステーキ丼など心躍る品も廉価な価格で提供されているのだが、もちろん、書き手は、ランチタイム限定メニューである〈国産黒毛和牛A5ランクカルビカレー〉を注文した。
ちなみに、モリちゃんは、このカレーをもってして、今年の〈神田カレーグランプリ〉に初出場している、との事であった。
やがて提供された盆には、カレーライスに加え、サラダときゅうりの漬物、そして生卵も付けられていた。
さらに、である。
なんと、ランチタイムには、ご飯とカレーが食べ放題であり、もちろん、書き手はお代わりをした。
お代わりのカレーはセルフサービスなのだが、カレー鍋が置かれている場所には、カレーの装い方講座のポスターが貼られていた。
カレーの美しい注ぎ方は、業務用の銀色の〈寸胴鍋〉から、お玉でカレーを掬った後に、すぐには皿上のライスにかけずに、鍋でお玉をワンバウンドさせると、カレーが垂れずに済むそうなのだ。そこで、書き手もそれを実践してみた。
たしかに、カレーは零れなかった。
数分後、お代わりもしたカレーライスを完食したのだが、書き手の腹は腹十分目を超えてしまっていた。
それにしても、やはり、焼き肉専門店が提供している牛肉は格が違った。
神田カレー街の冊子内の店の紹介頁によると、なんと、「仕込みの段階で出た脂身の多い部分や端の部位をたっぷり5時間以上煮込んで旨味を出して」いるらしい。
ちなみに、店員さんが言っていたのだが、この日の国産和牛は〈仙台牛〉とのことであった。
後で、ネットで調べてみたところ、仙台牛は、「日本食肉格付協会枝肉取引企画」の基準で、肉質の等級が「A5またはB5」、すなわち、最高ランクである〈5〉ではないと、〈仙台牛〉を名乗る事が許されない、全国で唯一のブランド牛であるそうだ。
その基準とは、「霜降りと赤身のバランス、きめの細かさなど厳しい基準をクリア」せねばならないらしい。
そして、仙台牛の味は、「口当たりが良くやわらかで、まろやかな風味と豊かな肉汁が特徴」の「上質な食味」だという。
仙台牛が、このような良質の肉であるのは、仙台の「清らかな水で育ったササニシキやひとめぼれなどの稲わら」を食べさせ、「およそ3年かけて丁寧に育てられて」いるから、との事であった。
サイトの説明文を読んでいるだけで、食したばかりの仙台牛の味が口の中で再現されたような感じがして、書き手は、思わず唾を飲み込んでしまった。
だから思ったのだ。
この〈モリちゃん〉で、書き手が訪れたAコース配置の店は六件目になるのだが、モリちゃんで食べた黒毛和牛は、たしかに〈A5〉ランクなのだが、個人的には、この仙台牛に、最高ランク以上の〈A6〉を与えたいな、と。
〈訪問データ〉
焼肉モリちゃん 御茶ノ水店:神保町・御茶ノ水
A06
八月二十二日・月曜日・十四時
和牛A5ランクカルビカレー:一二〇〇円(QR)
〈参考資料〉
「焼肉モリちゃん 御茶ノ水店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、七十二ページ。
〈WEB〉
「神保町駅 構内図」、『東京メトロ』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
『焼肉ホルモン モリちゃん』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
「仙台牛とは」、『仙台牛銘柄推進協議会』、二〇二二年八月三十一日閲覧。
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