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第001匙 先ず隅より始めよ:ジャンカレー(A01)とメトロ淡路町駅(Dm)
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「我がラボは〈中央通り〉を進み、〈末広町駅〉の交差点を〈蔵前通り〉に左折、次の信号の一本手前の路地を入った雑居ビルにある」
これは、アニメ『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』(以下『シュタゲ』と略記)の第一話において、主要人物の「鳳凰院凶真(ほうおういん・きょうま)」こと岡部倫太郎(おかべ・りんたろう)が「未来ガジェット研究所」の位置に関して言及している台詞である。
この『シュタゲ』の始まりにおいて語られているように、秋葉原の幹線である〈中央通り〉を、上野方面に向かって進んで行くと、東京メトロの末広町駅の出入口が置かれている〈蔵前橋通り〉にぶつかる。この交差点を左折し、しばし進んで行くと、そこに在る大きい通りが〈東京都道四五二号神田白山線〉である。
書き手の感覚では、中央通りと交差している蔵前橋通りが秋葉原と上野の境界で、蔵前橋通りと交差している大通りを渡った所は、秋葉原というよりも、神田明神の界隈なのだ。つまり、蔵前橋通りと神田白山線が、いわゆる〈アキバ界隈〉の外縁を形成しているのである。
ちなみに、蔵前橋通りと反対側の外縁は〈神田川〉であるように思われる。こちらは、自然境界である川なので、エリアの境としては分かり易かろう。
書き手は、スタンプラリーを始めるにあたって、AからEのどのコースで攻めるかの戦略を持ってはいなかった。
その代わりに、神田カレー街の北部が秋葉原界隈なので、この北エリアの最も外縁に位置している店という、空間面からこの企画を始めてみよう、と考えたのであった。
上野を上に考えた場合、この蔵前橋通りと神田白山線が交差している、アキバ界隈の左上隅に位置しているカレー店こそが〈ジャンカレー〉である。
ジャンカレーは、蔵前橋通りと繋がっている路地に位置している『シュタゲ』の「未来ガジェット研究所」のごく近くに在る店だし、たしかに物語の中に店自体は出てきてはいないのだが、もしかしたら描かれていないだけで、オカベたちが、ジャンカレーでカレーを食べた可能性もゼロではなかろう。
そういった次第で、書き手は、アキバのコーナーに位置しているこの店こそを、カレー・スタンプラリーの最初の店に選んだのである。
スタンプをコスパよく集めてゆこう、とするのならば、最も安い、六五〇円の「ジャンカレー」を選ぶのが適切かもしれないが、ここでは店の名物である、税込み九九〇円の「豚角煮カレー」を、書き手は注文した。
注文方法は、現金のみ対応の券売機で、先に券を購入するタイプであった。
チケットを店員に渡した際に、スタンプラリーの事を伝えたところ、スタンプは券売機の脇にあるテーブルにてセルフで押印との事であったので、荷物を座席に置き一息ついてから、書き手は、一つ目のスタンプを冊子に慎重に押したのであった。
料理が提供されるのを待っている間、店内の掲示物を読んでいたのだが、ジャンカレーのサービスの特徴は、客である我々に、お腹いっぱい食べて欲しい、という「田舎のおばあちゃん」のおもてなしの精神であるらしく、ご飯を多めにしているのだそうだ。だから、普通盛りでも量が多く、仮に〈大盛り〉にした場合、本当に多量であるらしい。だから反対に、ご飯があまりお腹に入らない体調の場合には、注文の段階で、普通盛りを「少な目」で注文すべきであるようだ。
さらに待ち時間に、ガイドブックの店の頁(六〇ページ)を読んでいると、ジャンカレーの特徴がこう綴られていた。
書き手が注文した「豚角煮カレー」は、「豚バラ肉をオリジナルの調味液に漬け込み一晩じっくり寝かせ」、さらに、「翌日(中略)煮込んだら味がよく染み込むように丸一日低温でじっくりと寝かせる」そうなのだ。
つまり、かくのごとく、豚角は〈二度〉寝かされているらしい。
さらに、カレールーも完成までに三日かけられている、との事であった。
書き手は、全く料理ができないので、調理に関しては、全然詳しくはないのだが、カレーは寝かせると、より美味しくなるという話は耳にした事があるし、豚バラ肉も寝かせると、同様に美味になるのであろう。
こういった手間暇の結果として、ジャンカレーは、二〇一六年と二〇一七年の「神田カレーグランプリ」にて、二年連続で第三位を受賞したにちがいない。
そうこうしているうちに提供された豚角煮カレーは、とろっとろで口に入れた瞬間に溶けてしまうような印象で、カレールーとも実にマッチしていた。
ただ一つ注意すべき点があるとするのならば、カレーと豚の角煮が美味しいので、こちらを先に食べ過ぎてしまうと、ライスがかなり残ってしまう事である。おもてなしの心から、ジャンカレーのご飯は多めに盛られているからだ。
*
店を出た後で書き手は、行きに使った末広町駅ではなく、淡路町駅からメトロに乗るべく、都道を神田川方面に向かって行った。
神田川に架かっている〈昌平橋〉を渡ると、界隈は秋葉原から神保町の端に位置する淡路町エリアに入り、外堀通りが靖国通りにぶつかった所にある淡路町駅の出入口が〈A5〉である。
この小川町側改札に在るトイレに行ったところ、そこに書き手は、淡路町駅のスタンプを押す場所を見付けてしまったのだ。駅に幾つかの出入口がある場合、なかなかスタンプの設置場所が分からない時もある。
だから、Aコースに分類されているジャンカレーと違って、東京メトロの淡路町駅はDコースに配されているのだが、発見したその時が吉、とばかりに、書き手は、早速、スタンプを押印したのであった。
かくして、書き手の神田カレー・スタンプラリーは、上野を上にした場合、秋葉原の左上隅に在る〈ジャンカレー〉と、秋葉原エリアの左下隅と近接している〈メトロの淡路町駅〉という、秋葉原エリアのコーナーに位置している、これら二ヶ所のスタンプの押印より始まったのであった。
〈訪問データ〉
ジャンカレー末広町店:秋葉原・末広町
A01
八月十一日・祝日・十八時
豚角煮カレー:九九〇円(現金)
駅名;エリア:東京メトロ・淡路町駅;神保町・淡路町
コース交通機関:Dメトロ
訪問日時:八月十一日・祝日、十八時半
〈参考資料〉
アニメ『STEINS;GATE』第一話、二〇十一年,四月・七月期放映,全二十四話。
「ジャンカレー」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六〇ページ。
これは、アニメ『STEINS;GATE(シュタインズゲート)』(以下『シュタゲ』と略記)の第一話において、主要人物の「鳳凰院凶真(ほうおういん・きょうま)」こと岡部倫太郎(おかべ・りんたろう)が「未来ガジェット研究所」の位置に関して言及している台詞である。
この『シュタゲ』の始まりにおいて語られているように、秋葉原の幹線である〈中央通り〉を、上野方面に向かって進んで行くと、東京メトロの末広町駅の出入口が置かれている〈蔵前橋通り〉にぶつかる。この交差点を左折し、しばし進んで行くと、そこに在る大きい通りが〈東京都道四五二号神田白山線〉である。
書き手の感覚では、中央通りと交差している蔵前橋通りが秋葉原と上野の境界で、蔵前橋通りと交差している大通りを渡った所は、秋葉原というよりも、神田明神の界隈なのだ。つまり、蔵前橋通りと神田白山線が、いわゆる〈アキバ界隈〉の外縁を形成しているのである。
ちなみに、蔵前橋通りと反対側の外縁は〈神田川〉であるように思われる。こちらは、自然境界である川なので、エリアの境としては分かり易かろう。
書き手は、スタンプラリーを始めるにあたって、AからEのどのコースで攻めるかの戦略を持ってはいなかった。
その代わりに、神田カレー街の北部が秋葉原界隈なので、この北エリアの最も外縁に位置している店という、空間面からこの企画を始めてみよう、と考えたのであった。
上野を上に考えた場合、この蔵前橋通りと神田白山線が交差している、アキバ界隈の左上隅に位置しているカレー店こそが〈ジャンカレー〉である。
ジャンカレーは、蔵前橋通りと繋がっている路地に位置している『シュタゲ』の「未来ガジェット研究所」のごく近くに在る店だし、たしかに物語の中に店自体は出てきてはいないのだが、もしかしたら描かれていないだけで、オカベたちが、ジャンカレーでカレーを食べた可能性もゼロではなかろう。
そういった次第で、書き手は、アキバのコーナーに位置しているこの店こそを、カレー・スタンプラリーの最初の店に選んだのである。
スタンプをコスパよく集めてゆこう、とするのならば、最も安い、六五〇円の「ジャンカレー」を選ぶのが適切かもしれないが、ここでは店の名物である、税込み九九〇円の「豚角煮カレー」を、書き手は注文した。
注文方法は、現金のみ対応の券売機で、先に券を購入するタイプであった。
チケットを店員に渡した際に、スタンプラリーの事を伝えたところ、スタンプは券売機の脇にあるテーブルにてセルフで押印との事であったので、荷物を座席に置き一息ついてから、書き手は、一つ目のスタンプを冊子に慎重に押したのであった。
料理が提供されるのを待っている間、店内の掲示物を読んでいたのだが、ジャンカレーのサービスの特徴は、客である我々に、お腹いっぱい食べて欲しい、という「田舎のおばあちゃん」のおもてなしの精神であるらしく、ご飯を多めにしているのだそうだ。だから、普通盛りでも量が多く、仮に〈大盛り〉にした場合、本当に多量であるらしい。だから反対に、ご飯があまりお腹に入らない体調の場合には、注文の段階で、普通盛りを「少な目」で注文すべきであるようだ。
さらに待ち時間に、ガイドブックの店の頁(六〇ページ)を読んでいると、ジャンカレーの特徴がこう綴られていた。
書き手が注文した「豚角煮カレー」は、「豚バラ肉をオリジナルの調味液に漬け込み一晩じっくり寝かせ」、さらに、「翌日(中略)煮込んだら味がよく染み込むように丸一日低温でじっくりと寝かせる」そうなのだ。
つまり、かくのごとく、豚角は〈二度〉寝かされているらしい。
さらに、カレールーも完成までに三日かけられている、との事であった。
書き手は、全く料理ができないので、調理に関しては、全然詳しくはないのだが、カレーは寝かせると、より美味しくなるという話は耳にした事があるし、豚バラ肉も寝かせると、同様に美味になるのであろう。
こういった手間暇の結果として、ジャンカレーは、二〇一六年と二〇一七年の「神田カレーグランプリ」にて、二年連続で第三位を受賞したにちがいない。
そうこうしているうちに提供された豚角煮カレーは、とろっとろで口に入れた瞬間に溶けてしまうような印象で、カレールーとも実にマッチしていた。
ただ一つ注意すべき点があるとするのならば、カレーと豚の角煮が美味しいので、こちらを先に食べ過ぎてしまうと、ライスがかなり残ってしまう事である。おもてなしの心から、ジャンカレーのご飯は多めに盛られているからだ。
*
店を出た後で書き手は、行きに使った末広町駅ではなく、淡路町駅からメトロに乗るべく、都道を神田川方面に向かって行った。
神田川に架かっている〈昌平橋〉を渡ると、界隈は秋葉原から神保町の端に位置する淡路町エリアに入り、外堀通りが靖国通りにぶつかった所にある淡路町駅の出入口が〈A5〉である。
この小川町側改札に在るトイレに行ったところ、そこに書き手は、淡路町駅のスタンプを押す場所を見付けてしまったのだ。駅に幾つかの出入口がある場合、なかなかスタンプの設置場所が分からない時もある。
だから、Aコースに分類されているジャンカレーと違って、東京メトロの淡路町駅はDコースに配されているのだが、発見したその時が吉、とばかりに、書き手は、早速、スタンプを押印したのであった。
かくして、書き手の神田カレー・スタンプラリーは、上野を上にした場合、秋葉原の左上隅に在る〈ジャンカレー〉と、秋葉原エリアの左下隅と近接している〈メトロの淡路町駅〉という、秋葉原エリアのコーナーに位置している、これら二ヶ所のスタンプの押印より始まったのであった。
〈訪問データ〉
ジャンカレー末広町店:秋葉原・末広町
A01
八月十一日・祝日・十八時
豚角煮カレー:九九〇円(現金)
駅名;エリア:東京メトロ・淡路町駅;神保町・淡路町
コース交通機関:Dメトロ
訪問日時:八月十一日・祝日、十八時半
〈参考資料〉
アニメ『STEINS;GATE』第一話、二〇十一年,四月・七月期放映,全二十四話。
「ジャンカレー」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六〇ページ。
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