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後日談 新トーホー王国の再建
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国王、王妃、王太子、とその側近、その一族と王妃の生家とそれに連なる家門の者たち
トーホー王国の政治の中心にいた人物が、ゴッソリと居なくなった。
しかし、政治の停滞は許されないのだ、国際犯罪者となった王家の者を裁く過程で国の責任を追求されるのを防ぐためにも、新しい国王と政を行う面々を決めて、すぐさま問題解決に着手しなければならない。
「やはり、ここは神の力を与えられし者ガブを国王に、サリエルを王妃に充てるのが妥当ではないか?」
父の小公爵がやはり無難な線を押してくる。
「そうだのう、それが妥当だろうな。」
合いの手を入れるのが、クリスの父の魔術師団長である。
彼は、小公爵の叔母の配偶者、つまり叔父に当たる。
血の繋がりは無いのに、発想が似かよっているのだ。
「まあ、それじゃあ俺たちは戻るとしようか。」
「ええ。」
公爵夫妻は他人事を決め込んで、離席の機会を伺っていた。
「ちがーーーーーーーーーーーーーう。違うでしょ!」
突如、甲高い声が上がった。
ここは王宮の会議室、普通は子供の甲高い声が聞こえるハズなど無いのだが。
すると、空中をフワフワと浮かぶ《魔法の絨毯》に乗って、公爵の孫、小公爵の息子ケントが絨毯に仁王立ちで腕を前で組んで、口をこれでもかというくらいにムッと曲げて立っていた。
その後ろにはクリスとエラが所在無さげに座っていた。
「どうした!ケントここは遊び場じゃないんだ、何をしている出てきなさい。」
小公爵がケントに向かって怒鳴り、手を振って出ていけとジェスチャーをしている。
「遊び場じゃないくらい、知ってますよ父上。
良いですか、一刻の猶予も無いんですよ、トーホー王国の危機なんてものじゃない。
この混乱の最中、他国がどう干渉してくるかわからないんですよ!
そんな時になんでそんな夢物語を語っていられるんですか?僕には父上の気が知れない。」
ケントは大憤慨で父親を指差してそう言った。
「お前、子供が口を出すんじゃない、出て行けー!!」
小公爵が怒鳴り散らす。
「父上、良いですか、あの!あの姉上が王妃になると本当にお思いですか!ガブを国王に据えたら姉上が付いてくるなんて夢をみるのは止めてください。ガブと姉上が誰の説得に応じると思うか子供でも解るように教えて下さいよ!」
しかし、ケントはそれを気にもせず冷静に言葉を発した。
「「「うっ」」」
この発言に、父の小公爵も、祖父の公爵も、大叔父の魔術師団長も息を飲んだ。
「お祖父様、諦めてください。王家の断罪をする者たる公爵家当主として王位継承上位者として、国王につくのはお祖父様だ。王太子に父上、宰相に大叔父上、これしかないでしょう。」
ケントが当然だという口ぶりでそう告げ、半眼で睨む。
「これから、他国との折衝も待っている。先代の大魔法使いであり、ソロ冒険家ジャックである公爵が国王についたと、国王軍は公爵軍が取り仕切ると、そう周知されれば、これ以上無い他国への牽制になるでしょうに。
面倒ごとは御免だと逃げるのはお止めください、ただの時間の浪費です。
それでなくても、数十年この国の改革は後ろに追いやられてしまったのです。
いつやるの、今でしょ!はい、ご一緒に。」
「「いつやるの、今でしょ。」」
ケントの声かけに、後ろに座っているクリスとエラが唱和した。
「わ、わしが国王になったら、公爵領はどうするんだ、国境線だぞ、他国の侵略や魔獣退治もある。生半可な魔法使いじゃ手に終えまい。」
公爵が、顎を撫でながらケントに問いかける。
「そこは、クリス先生とエラが継ぎますよ。魔法使いと女剣士の夫婦です、牽制になりますよ、エラは公爵騎士団の団長の娘なんだし。今代の大魔法使いの名も他国へ十分轟いてますし、抑止力には問題ないでしょうに。」
「え?クリスとエラ?クリスお前、いつからエラとそう言う仲になった?」
「え?クリスが?あのクリスが?」
父の小公爵もクリスの父の大叔父も驚いて、後ろに座っている二人をマジマジと見て聞いた。
「そう言う仲というのが、どういう仲を想定しているのかは定かでは無いのですが、先程ワタシが確認した時には二人は同意の意思がありました、そうですよね?」
ケントが有無を言わさぬ勢いで振り返って聞く。
「あ、ああ、まあそうだな。ソウデスネ、エラと公爵領をマモリマスよ。」
「あ、わ、わたしも認めて貰えれば、剣士として戦います。魔獣も討伐します。ハイ、父にはまだ言ってないので、この後伝えておきます。」
「待て待て待てまて、今さっき決めたと、そんなことで大丈夫か?」
祖父の公爵が心配を口にするが、
「魔法使いは時間の長さでは無くビビビとくるかどうか、らしいですから、先程ビビビと来たので大丈夫ですよ。」
早口で尤もらしいことを勢いをつけて強引に押しきろうとしているケントに、
「なぜ、ケントが知っている口ぶり?なぜそんなにこの場を仕切っているの?」
祖母の公爵夫人が不思議そうにそう聞いてきた。
「ええ、よくぞ聞いてくださいました、お祖母様。姉上はもう僕の年にはガブと一緒に居ました。
ガブと初めて会った時からビビビと来てたそうです、そう言ってました。
ただワタシは姉やクリス先生やお祖父様のようなタイプではないので、学園できっと父上と母上のようなビビビに会うと思うのです。
今後楽しい学園生活を送るためには、国に憂い無く、未だ見ぬ相手の家も問題なく落ち着いていてこそ、キャハハウフフと楽しめるのだと思ったのです。
ところが私は今、もう11才です。
プレ参加まで2年しかなのに、その2年間で王宮内の組織基盤を安定させ、前国王たちの国際裁判を終え、他国との協議を良い落とし所でキチンと折り合いをつけ、王都の治安回復と失われた信頼と経済的損失を取り返すのに、2年で時間が足りるとお思いですか?ワタシにはとても足りるとは思えない。
思えないが、して貰わねばなりません。多くの国民が早い安定を求めています、それには適材適所なんです。
この布陣以外は問題発生リスクが著しく上がる未来しか見えないんだ!やって貰うしかない。」
そうケントが言うと、頭を左右に振った。
「そうか、では魔術師団長には誰をつける?」
祖父の公爵がケントに尋ねる。
「そのまま、ウイリアム兄様が昇格すれば良いのです。」
事も無げに答えるケントに、更に公爵が聞く。
「なるほど、では財務大臣はどうするつもりだ?」
「本当はヘンリー兄様と言いたいところですが、スコット家の身内で固めるのは要らぬ誤解を生む、ここは先代のロンダール伯爵が適任では?
市民生活にも明るく国際経済にも明るい。
視野が広いのが特徴ですね、経済は生き物です、目先の数字を追うだけの者は適任とは言えない。伯爵は上手く潮流を読むと思いますよ。」
そう胸を張って答えるケント、齢11才である。
スコット公爵家ではクリスやサリエルとは違い遅咲き、と見られているが、世間一般からみたら彼もまた天才なのであった。
「なるほど、わかった。では、ケントの案を承諾しよう、そしてここに公爵家当主としてクリスに代替わりをする前に最後の命令だ、ケント、お前は宰相補佐をして宰相と王太子をサポートすることを命ず。学園に通うようになるまでに、その役目を引き継ぎできる人物をよく探せよ、そうしないと、キャハハウフフの楽しい学園生活が無くなってしまうかもしれないぞ!」
公爵が楽しそうに眉をあげて笑顔でそう言った。
「なんでだよーーーー!!!」
甲高い叫び声が響き、その後1拍おいて、部屋中に大きな笑い声が響いたのだった。
トーホー王国の政治の中心にいた人物が、ゴッソリと居なくなった。
しかし、政治の停滞は許されないのだ、国際犯罪者となった王家の者を裁く過程で国の責任を追求されるのを防ぐためにも、新しい国王と政を行う面々を決めて、すぐさま問題解決に着手しなければならない。
「やはり、ここは神の力を与えられし者ガブを国王に、サリエルを王妃に充てるのが妥当ではないか?」
父の小公爵がやはり無難な線を押してくる。
「そうだのう、それが妥当だろうな。」
合いの手を入れるのが、クリスの父の魔術師団長である。
彼は、小公爵の叔母の配偶者、つまり叔父に当たる。
血の繋がりは無いのに、発想が似かよっているのだ。
「まあ、それじゃあ俺たちは戻るとしようか。」
「ええ。」
公爵夫妻は他人事を決め込んで、離席の機会を伺っていた。
「ちがーーーーーーーーーーーーーう。違うでしょ!」
突如、甲高い声が上がった。
ここは王宮の会議室、普通は子供の甲高い声が聞こえるハズなど無いのだが。
すると、空中をフワフワと浮かぶ《魔法の絨毯》に乗って、公爵の孫、小公爵の息子ケントが絨毯に仁王立ちで腕を前で組んで、口をこれでもかというくらいにムッと曲げて立っていた。
その後ろにはクリスとエラが所在無さげに座っていた。
「どうした!ケントここは遊び場じゃないんだ、何をしている出てきなさい。」
小公爵がケントに向かって怒鳴り、手を振って出ていけとジェスチャーをしている。
「遊び場じゃないくらい、知ってますよ父上。
良いですか、一刻の猶予も無いんですよ、トーホー王国の危機なんてものじゃない。
この混乱の最中、他国がどう干渉してくるかわからないんですよ!
そんな時になんでそんな夢物語を語っていられるんですか?僕には父上の気が知れない。」
ケントは大憤慨で父親を指差してそう言った。
「お前、子供が口を出すんじゃない、出て行けー!!」
小公爵が怒鳴り散らす。
「父上、良いですか、あの!あの姉上が王妃になると本当にお思いですか!ガブを国王に据えたら姉上が付いてくるなんて夢をみるのは止めてください。ガブと姉上が誰の説得に応じると思うか子供でも解るように教えて下さいよ!」
しかし、ケントはそれを気にもせず冷静に言葉を発した。
「「「うっ」」」
この発言に、父の小公爵も、祖父の公爵も、大叔父の魔術師団長も息を飲んだ。
「お祖父様、諦めてください。王家の断罪をする者たる公爵家当主として王位継承上位者として、国王につくのはお祖父様だ。王太子に父上、宰相に大叔父上、これしかないでしょう。」
ケントが当然だという口ぶりでそう告げ、半眼で睨む。
「これから、他国との折衝も待っている。先代の大魔法使いであり、ソロ冒険家ジャックである公爵が国王についたと、国王軍は公爵軍が取り仕切ると、そう周知されれば、これ以上無い他国への牽制になるでしょうに。
面倒ごとは御免だと逃げるのはお止めください、ただの時間の浪費です。
それでなくても、数十年この国の改革は後ろに追いやられてしまったのです。
いつやるの、今でしょ!はい、ご一緒に。」
「「いつやるの、今でしょ。」」
ケントの声かけに、後ろに座っているクリスとエラが唱和した。
「わ、わしが国王になったら、公爵領はどうするんだ、国境線だぞ、他国の侵略や魔獣退治もある。生半可な魔法使いじゃ手に終えまい。」
公爵が、顎を撫でながらケントに問いかける。
「そこは、クリス先生とエラが継ぎますよ。魔法使いと女剣士の夫婦です、牽制になりますよ、エラは公爵騎士団の団長の娘なんだし。今代の大魔法使いの名も他国へ十分轟いてますし、抑止力には問題ないでしょうに。」
「え?クリスとエラ?クリスお前、いつからエラとそう言う仲になった?」
「え?クリスが?あのクリスが?」
父の小公爵もクリスの父の大叔父も驚いて、後ろに座っている二人をマジマジと見て聞いた。
「そう言う仲というのが、どういう仲を想定しているのかは定かでは無いのですが、先程ワタシが確認した時には二人は同意の意思がありました、そうですよね?」
ケントが有無を言わさぬ勢いで振り返って聞く。
「あ、ああ、まあそうだな。ソウデスネ、エラと公爵領をマモリマスよ。」
「あ、わ、わたしも認めて貰えれば、剣士として戦います。魔獣も討伐します。ハイ、父にはまだ言ってないので、この後伝えておきます。」
「待て待て待てまて、今さっき決めたと、そんなことで大丈夫か?」
祖父の公爵が心配を口にするが、
「魔法使いは時間の長さでは無くビビビとくるかどうか、らしいですから、先程ビビビと来たので大丈夫ですよ。」
早口で尤もらしいことを勢いをつけて強引に押しきろうとしているケントに、
「なぜ、ケントが知っている口ぶり?なぜそんなにこの場を仕切っているの?」
祖母の公爵夫人が不思議そうにそう聞いてきた。
「ええ、よくぞ聞いてくださいました、お祖母様。姉上はもう僕の年にはガブと一緒に居ました。
ガブと初めて会った時からビビビと来てたそうです、そう言ってました。
ただワタシは姉やクリス先生やお祖父様のようなタイプではないので、学園できっと父上と母上のようなビビビに会うと思うのです。
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そうケントが言うと、頭を左右に振った。
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「そのまま、ウイリアム兄様が昇格すれば良いのです。」
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市民生活にも明るく国際経済にも明るい。
視野が広いのが特徴ですね、経済は生き物です、目先の数字を追うだけの者は適任とは言えない。伯爵は上手く潮流を読むと思いますよ。」
そう胸を張って答えるケント、齢11才である。
スコット公爵家ではクリスやサリエルとは違い遅咲き、と見られているが、世間一般からみたら彼もまた天才なのであった。
「なるほど、わかった。では、ケントの案を承諾しよう、そしてここに公爵家当主としてクリスに代替わりをする前に最後の命令だ、ケント、お前は宰相補佐をして宰相と王太子をサポートすることを命ず。学園に通うようになるまでに、その役目を引き継ぎできる人物をよく探せよ、そうしないと、キャハハウフフの楽しい学園生活が無くなってしまうかもしれないぞ!」
公爵が楽しそうに眉をあげて笑顔でそう言った。
「なんでだよーーーー!!!」
甲高い叫び声が響き、その後1拍おいて、部屋中に大きな笑い声が響いたのだった。
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残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となるの4話目[魔法の先生]が不手際で消えてしまいました。スミマセン。3話の末尾に追記してありますが、良いねしてくださった方申し訳ありませんでした。
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