[完結] 残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となる

有栖多于佳

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完結 王家の断罪劇 

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王都の貴族学園にスコット公爵家のご令嬢が満を持して入学した。
同じ年、プレコースに王太子の第一王子エドウィンも入学し、二人は同じ学舎で過ごすことになった。

王家から小公爵夫妻に時を同じくして、婚約の打診が行われた。
しかし、小公爵は当主は公爵であり自分には決定権が無い、故に、スコット公爵領にいる公爵本人に打診をしてくれと返答がなされた。

言っていることはもっともである。
王家としても本当は勅令という形でスコット公爵家に婚約を謀りたかった。
しかし、国王が頑として許しを出さない。

なので、王太子と小公爵、もしくは王子とサリエル本人の中で婚約を結びたいという意思があり、それを王家は聞きいれたとしたいのである。

が、それも小公爵は拒絶し、王妃に心酔してサリエルを王家に嫁がせたいと願っていた小公爵夫人も、ある日を境に一切王妃の求めに応じず、王宮へ上がることも無く、王妃へ手紙で『自分の伴侶は自分で見つけよ』という家訓を盾にサリエルに王子の婚約者をすすめることは無いと答えてきた。


それならばと、王子に発破をかけてサリエルに何度も会いに行かせたが、公爵領でサリエルに会うことは叶わなかった。
それでも王子も王妃の血筋故か、あの成人の儀でみた美しさと謹み深さを兼ね揃えたサリエルをどうしても自分のモノにしたいと、相手のことはさておき、自分の欲望に忠実な彼は、王都の社交界ではサリエルと恋仲になっている、もう婚約も間近だと側近を使って噂を流したりした。


貴族学園に入学のその日、タウンハウスに王家の紋章をデカデカ付けた馬車が停まり、サリエルと一緒に馬車で登校すると朝から王子が突撃してきた。

「殿下、先触れもなくこんな早朝から来られても迷惑です。婚約者でも無いサリエルと二人きりで馬車に乗せるなど我が家を侮るのもいい加減にしてください。」
そう小公爵がはっきりと拒否した。

「なんと、小公爵、私の好意を迷惑だというのか!不敬であるぞ!」
まさか、拒否されるとは思ってもいなかった王子は、顔を真っ赤にして玄関先で地団駄を踏んで憤慨した。

その様子を眺めていた使用人の者たちは、各々
(あんな野性動物のような者が王子だなんて世も末だ)
(アレに嫁ぐというなら、家を出ると言ったお嬢様が正解だったな)
(なんと馬鹿そうな倅だ、王太子おやが親なら王子も子だな)

そんな不敬なことを目一杯考えていた。

余りに聞き分けが無く、騒ぎが一行に収まらないので、サリエルがしょうがないと、降りてきて、あの成人の儀でみせた美しいカーテシーで挨拶した。

「おお、サリエル嬢。ご無沙汰だな、今日より毎日一緒に学園に通えるのを楽しみにしていたぞ。今日より王家の馬車で共に通おうぞ。」
そう言って、手を取りその甲にキスをした。

サリエルは鷹揚に薄く微笑んで、そのまま馬車へエスコートされるまま乗ると王宮へと向かった。
今日は王太子の第一王子が入学する特別な入学式なので、王宮に全校生徒とその親を集めての式典、そして交流会を行うことになっているのだ。

だから、王子は王宮でサリエルの到着を待っていれば良かったのだが、わざわざ王家の馬車で迎えに来てエスコートして王宮に入るところを多くの貴族の目に触れさせることによって、サリエルが王子の婚約者であるという噂をより広めて、逃げれないようにしようとゲスなことを考えていたのだった。

サリエルが王宮につくと、先ほどの王子の思惑通りそれをみた貴族は口々に二人の仲を肯定した。
「王子殿下の初恋の君だ」
「深窓の令嬢であるサリエル様は王妃になるにふさわしい。」
そんな囁きが、そこここで聞かれる。

サリエルはそれを知ってか知らずか、特に気にする素振りもなく謹み深い薄い笑顔を口許に称えては王子の問いかけに答えていた。

「美しい一枚の絵画のようだ。」
「入学式に親の小公爵夫妻と一緒にではなく殿下と来られたのだ、今日の式典のあとの交流会で婚約の発表があるのかもしれないな。」

そんな声も聞こえていた。

王子が朝から公爵のタウンハウスに迎えに行って(さんざん騒いだあげく)サリエルと王宮に来たことを、知った王太子は目を見張った。

「アイツ、なかなかやるな。すぐに二人を呼べ。」
そうして、王太子宮の応接室に入学式の式典前だというのにわざわざ人をやって呼んで、王太子夫妻でサリエルを迎えた。

「なかなか会えなくて難儀したぞ、サリエル嬢。どうだ、エドウィンとは?」
「父上、そんなことまだ言わなくても。」
気がせってただ登校するために一緒に馬車に乗っただけのサリエルにエドウィンの感想を聞く、愚か者の父親であるが、それを止めない王太子妃もそれだけの人、王子に至ってはちょっと嬉しそうですらある。

「どうとはわかりかねますが、王国の若き太陽に拝面できて光栄です。」
サリエルはそんな恙無い回答を口にした。

「なるほど、これは押せばなんとかなるな、よし小公爵には私からもう一度打診をしよう。」
そんなことを本人を目の前にして口にしてしまう。

「父上!」
そして、それに嬉しさを隠せず顔を紅潮させてる王子を前にしても、サリエルは静かに薄く微笑んでいるだけだった。


時間も時間である、入学式の式典会場に王太子一家と一緒に入場したサリエルは、貴族学園の一年生の席の一番前まで王子にエスコートされ、そっと手を撫でられた後、席につくことを許された。

そのやり取りをみて、周りの女子生徒からキャーと言った声がそこここから上がる。

しかし、サリエルはなんともない無表情のまま姿勢正しく座っているのであった。

入学式の式典が終わり、大広間に場所を移して軽食を伴った交流会へと移っていった。
そこには、サリエルの腰を抱きとても近い距離で話しかける、王子の顔があった。

前に王太子夫妻が遅れてやってきて、王太子が声をあげた。

「みなの者に聞いて欲しい話がある。エドウィン前へ。」
そう言うと、王太子の横にがっしりと腰をホールドされたサリエルとそれを無理矢理引っ張って来た王子が並んだ。

「今、この瞬間にこの二人が愛し合い、婚約をする運びとなったこと、みなと共に喜びを共有したい。どうか若い二人に温かい拍手をもって歓迎してやって欲しい。」
王太子の満面の笑み、ちょっとばかり大きすぎる上ずった声に、公爵家を出し抜いてやったという気持ちが透けて見える。

王太子はあの後、小公爵夫妻に再度婚約の打診をし、即座に断られているのだが。
こうして発表してしまえば、もう後戻りできないだろうという打算があった。
サリエルの仕草や所作からは、自由な心で自分の意見を持っているような素振りも見せない。

これならば、大丈夫だと高を括っていたその時、一瞬の時、閃光が走り、サリエルの頭から爪先へと流れた。

「キャー!」
周りでその瞬間をみたものが叫び声をあげ、腰を抱いていた王子は尻餅をついた。

その場には、白い陶器の茶碗が無惨に割れて転がり、黒い絹糸が散らばり、貴族学園の制服の上にローズヒップの実が転がっていた。

そこに、サリエルの姿は無い。

「これはどういうことだ!」
王太子が怒鳴る。

「それは、こっちの話よ。勝手にわたくしの名を語って婚約を祝わないでよね、わたくしも公爵家も毎回拒否を表明しているわ、先ほども両親そろって、王太子ご夫妻にお断り申し上げたはずよ。」
そう言うと、ゆらゆらと空中を棚引く魔法の絨毯に乗って、腕を組み仁王立ちで立っているサリエル本人が居た。

「な、なんだ、お前、え?これは、王宮内での魔法は厳禁だ!近衛騎士、魔術師、あの者を捕らえよ!」
王太子がビシっとサリエルに指を差して周りに命じた。

しかし、その場で動ける者は誰も居ない。

「何している、早くしろ!」
そういうが、王太子自身ビシっと指した指を曲げることすらできないことに気がつく。

「もう茶番は終わりだ。」
するとサリエルの絨毯の更に上の空間を切り裂いて、狭い出口から男が出てきた。

紺色の髪に碧い瞳の美しい青年で、その体躯はしっかりとしていて、長い手足を伸ばすと、サリエルの肩を抱き、横に並んで立った。

「形代だとわかっていてもサリーの顔が俺以外に向くのも気に入らないのに、手の甲にキスして、手を握って撫でたこと、腰を抱いて歩いたこと、お前万死に値するよ。初代大魔法使いソフィアの呪いとアーサーの誓約の裁きを行う、天誅!」



そう言うと、王宮全体に轟音と共に稲妻が走りズドンという重い衝撃を受けた。

すると、王子は目を回して気を失い、王太子と王太子妃も倒れ混み起き上がれない。
そこ、ここの少なくない数の貴族やその子も倒れ混んでいる。

「あちこちで言うのも面倒ね、お父様頑張ってくださいな。」
サリエルが絨毯の上から小公爵に指示する。

「ウム」
難しい顔をしながら、詠唱し、その広間全体に大きな魔方陣が現れると、そこに国王と王妃、そしてそれに連なる者が何百人と現れた。

「これを捕らえ。」
そうして、そう自分の連れてきた騎士に命ずるのだった。

「何を、何をするのだ大臣、お主気でも触れたか?」
国王が動けない体ながらそう精一杯口にした。

「気が触れているのはお前だ。」
そう言うと、そこに公爵夫妻とダニエル、ロトが転移魔法で現れた。

「な、お主、ジャックとマリーか。なんだ、どういうことだ」
国王と王妃を魔法で並べて浮かべ、その二人をみて公爵が言った。

「お前とこの王家は誓約を違えたんだ。もう助命嘆願は受けんよ。」
「な、何を言う。公爵領は不可侵としてきたではないか!」
「お前はな。だが、王家はお前だけではない。王妃、王太子、王子、王太子の生家の侯爵家。お前らはやり過ぎたんだ。スコット公爵家による断罪の時はきたり。呪いと誓約の使者による裁きは既に行われたのだ」

公爵が冷たい声でそう告げた。

「そうですわ、わたくしやクリス先生に再三婚約を迫り、取り込もうというその態度が誓約違反ですわ。それに、王妃のあなた、あなた自分が若く美しくいるために、世界中の光属性の者を拐ってましたわね。
他国から侵略行為に対して報復をとる旨連絡がありましたわよ。」
サリエルがビシっと指を差して伝える。

「な、王妃、お前何をしたのかわかっているのか!王太子、お前にもスコット公爵家には近づくなと言っていたのになぜ聞かぬ!」
国王が王妃と王太子を詰り、その頬を打った。

「痛い、痛い、何よ私が何をしたって言うのよ。王家の呪いが解ければ拐わなくても王族の誰かに光の魔法を使わせれば良かったのに、あなたが呪いは解けないって言ったから、しょうがないじゃない。私の美しさの前には下々の犠牲なんて大したこと無いわ。」

王妃がそう喚く、その口にロトが目に見えない早さでパンチを繰り出し、王妃は床へとゴムボールのように転がり跳ねた。

「お前なんざ、美しくなんかねえんだよ。その内面を見せてやろう。」
そう言うが早いか、ロトが短い詠唱をすると王妃の体から光の粒がキラキラと抜け出て行き、その光の粒は天へと向かって昇っていった。

そして、暫くするとそこには皺がれた骨と皮の、醜い老婆が転がっていた。

「あら、お義父ロト様、殺してはダメよ。自国の住民を殺され、拐われた国へここに捕らわれた者はみな連れて行くのがお約束ですわ。

あなたたちは、初代の大魔法使いソフィア様の呪いの結末としてこれから話紡がれて行くのよ、ダメな王族の見本としてね。」

サリエルがそう言うと、公爵に従って、魔術師団と騎士団が多くの者を捕縛して地下牢へと収監したのだった。

「サリー手を。」
ガブがサリエルの手を取ってその甲にキスを落とし、その甲を撫でた。

「なんですの!人前で!」
サリエルは魔法の絨毯で浮かんでいるのだ、360度どの角度からも今の行為が見られていた。

「消毒、上書き。もう絶対にあんな作戦を支持しないから。」
そういうガブの目が据わっていた。

「形代ですわ、陶器と絹糸とローズヒップの実で出来たお人形です。」
サリエルは必死で訴えるが、それは通じる話ではないと周りは生温かい目を向けていた。

「これから、どうするんだ?」
苦い顔をしてガブとサリエルを見ていた小公爵が聞く。

「きっと、王国が落ち着くまでそれ相当の時間がかかるでしょう?ですから、わたくしこの瞬間を以て貴族学園を退学して、ガブと共に冒険の旅に出かけますわ。それではみなさま、ごきげんよう。」

そう言って、素晴らしい所作でカーテシーをすると、一転転移魔法でガブと共に消えてしまった。


「あれこそ、私のお嬢様です。尊い。」
「いや、昔、残念令嬢って渾名を付けた人って見る目あったなって思うけど。」
「いいえ、残念な訳がありませんわ。大魔法使いは《より自由に何物にも囚われず、気の向くままに》ですもの。」

そう言って、エラはサリエルが居た場所を拝むのだった。


後世、二人の消息はある島国の童話『魔法使いサリーとお付きのガブ』で知ることになるのだが、それはまた別の話。
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残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となるの4話目[魔法の先生]が不手際で消えてしまいました。スミマセン。3話の末尾に追記してありますが、良いねしてくださった方申し訳ありませんでした。
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