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小話 魔法大臣と魔術師団長の内緒話
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「セバスチャン、すぐに魔術師団長を呼んでくれ。至急だ。」
そう小公爵が命じて、半刻後、転移魔法で魔術師団長が公爵邸の小公爵執務室にやって来た。
「なんだ、急に。至急というならお前が訪ねて来ればいいだろ!人を呼びつけおって。」
「申し訳ない。しかし、人の目に触れては不味いのだ。こちらで話そう。」
そういうと、執務机の後ろにある本棚を動かして、地下へと続く階段が現れそこを降りて行った。
「なんと、そこまで重大なことか!」
驚きの声をあげつつ、地下の階段を降り急いで後を追う。
暫くすると、ゴゴゴという音と共に本棚が元に戻っていた。
地下にある部屋には魔石のランプが煌々と灯され、大きなソファと大きなテーブルが設えてあった。
そのテーブルの上に、陶器と黒い絹糸とローズヒップの実が置かれていた。
「なんだ、これは!?」
不思議な組み合わせの品に魔術師団長は首を傾げた。
「サリエルの形代の基だ!」
「は?なんだと?詳しく。」
「この前私と一緒におじ上に会いに行ったのはこれで作られた形代だった。」
「・・・・・・・」
魔術師団長は俄には信じがたいといった顔を小公爵に向けた。
「本当だ、今日成人の儀へと出席したのはこの形代だった。そして帰りの馬車の中でこれに戻ってしまった。」
「魔方陣は?魔方陣の解析は出来たのか?魔方陣はどこにある?」
「形代自体に魔方陣を書き込んでいたようで、基に戻ればわからぬようになっている。」
「では魔術の残滓はどうだ、それを当たればわかるのではないか?」
「だからおじ上に急ぎ来てもらったのだ、サリエルは私の魔力量を既に越えているようで私では拾うことが出来なかったのだ。」
魔術は下位の魔法使いの残滓を上位魔法使いが拾い集めることは出来ても、逆は出来ないのである。
なんということだ、と、息を飲んだ魔術師団長だったが、それではと急ぎ魔術の残滓を集める呪文を詠唱し始めた。
しかし、その魔法は詠唱を終えても発動しなかった。
それは魔術師団長よりもサリエルの方が魔術量が多いということ、上位の魔法使いということになる。
「これほどとは。」
魔術師団長はグッと言葉に詰まってしまい、小公爵は頭を抱えて泣きそうな顔をしていた。
「トーホー王国での魔法使いの序列はクリス→スコット公爵→わし→お前だったが、少なくとも三番目にサリエルが入るのだな。これは予想していたより事態は不味いな。」
「ああ、どうしたらいいのだ。私のサリエルが・・・」
「サリエルに付けている侍従、あれは誓約を交わしているのか?」
「いや、交わす訳なかろう。使用人となどおいそれとさせられる魔法ではないでしょうに。」
「では、クリスと誓約を交わさせるか。」
「サリエルの魔力量が王国で3番目である以上、2人が誓約したとしても我らより魔力量が上なのだ、しかもどっちも王国に執着がない。それこそ2人とも出奔しかねないわ。誓約はお互いの心に依るのだ、唯でさえ言うことを聞かないあれらが素直に聞く訳無いでしょうよ。」
「・・・ぬぬぬ」
誓約魔法とは、相手の魔力と自分の魔力を足して2つに分けることで、お互いの命をかけて契約する、非常に厳しい魔法だ。
魔力と寿命は相関性があるので、互い同じ魔力量になると、寿命も同じになる。
死ぬまで違えことが出来ない大切な約束を結ぶ時に使う、滅多に使用できない魔法である。
大魔法使いを国へ縛るには、誓約魔法で魔力量を減らすと共に、この国で死ぬまで一緒に過ごすと誓約魔法で縛れば良いのだが、そんなことを誰かに言われて誓う者は滅多に居ない。
珠にいるが。
小公爵の親、スコット公爵夫妻がそれなのだが。
と言うのも、小公爵の母マリーはトーエー王国の辺境伯の令嬢であったのだが、早くに母を亡くし後妻と上手くいってなかった。
自身も魔法使いとしてかなりの腕前であり、魔術師の特性に引きづられ国を出奔してしまう。
越境して一市民として公爵領のギルドで冒険者として活動し始めた彼女は、紆余曲折を経て、恋仲になった男が公爵家の嫡男であり、当代の大魔法使いと知るのだが。
自国に帰りたくないマリーとマリーと一緒になりたい男(公爵)が滅多に使われない誓約魔法を持ち出して結婚したのは、今では演劇の古典の演目にもなり、小説にもなっているので、大陸の多くの人が知る話だった。
公爵はマリーと結婚する時に、マリーと誓約をした。
出奔したマリーを公爵家の夫人につけるのに、国王の尽力をも賜った。
だから、王家はそこに王家の願う約束ごとも入れ込んだのである。
王家はスコット公爵領に不介入であること、しかし、きちんと辺境の警備と納税義務は負うこと。
スコット公爵は王国に妻マリーと共に留まること、公爵一族は王家に忠誠を誓うこと、と。
マリーと誓約で魔力を半分にしたとしても、マリーも魔力量が膨大だったので、今だにトーホー王国で2番目の魔法使いであるのだが。
マリーが居なければ、スコット公爵が出奔していたのではないか、と社交界では誠しやかに囁かれていた。
公爵のように、サリエルに誰かと誓約で国に縛ってしまえば良いのだが、それは心が求めなければ出来ないのだ。
仮に第一王子が無理矢理サリエルに誓約をさせようとしても、サリエルの方が上位魔法使いなので、誓約魔法を王子がかけた傍から解除魔法を使用していくので、王子から誓約をすることは出来ない。
誓約魔法は元来、魔力量が多い者が低い者へ力を分け与え、自分の力(寿命)を減らしてでも相手へ操をたてる究極的な契約とされていた。
勇者のパーティーで一緒に魔王を倒すという強い目的がある時などに過去は利用されたことなどもあったようだが、現在ではパーティー追放やパーティー解散が日常的に行われているので、誓約をしてまでパーティーを組むなどと言うと仲間が集まら無いだろう。
同じように、結婚した後に性格の不一致で離婚することもある夫婦関係において、誓約をしてまで結婚する夫婦というのは王族であっても稀、いや、ほぼほぼ行われていないのである。
公爵は良くも悪くも魔術師の特性が強い人物なのだった。
類い稀な才能を持つ魔術師、大魔法使いは、好きだと自分が感じた相手を独占し、手の中に閉じ込めたいという願望に囚われることが多い。独占欲も強く、だが、相手には甘く蕩けるよう、その様を執着溺愛と呼んで差し支えない。
その運命の相手のことを、世間では、運命の番と呼んだりしているそうだ、が。
その運命の相手に出会えない多く大魔法使いは、何にも囚われない生活を愛し、自由を愛し、あちらこちら気の向くままそこここを放浪する生活をするのだった。
だから、簡単に国に留まらせたいのなら、この王国に住みたいと願うサリエルの番と誓約させればいいのだが、そんな簡単に運命の番に出会えるものではない。
「とにかく、この魔法については秘匿にしよう。やはりサリエルは王都で暮らすのは不向きなのではないか?」
「だが、貴族令嬢としてキチンと嫁がせてやりたい気持ちが親としてはあるのです。」
「それをサリエルが求めて居ないから、こんな魔法を使うようになったのだろう。もうそろそろ、お前たちも諦めろ。お前の娘は貴族令嬢ではなく大魔法使いだと、よくよく理解することだ、それがお互いのためだ。」
魔術師団長は大魔法使いの親として、先輩として心からのアドバイスを告げた。
「・・・ぐぬぬぬぬ。」
小公爵は唇を強く噛んで俯いたのであった。
そう小公爵が命じて、半刻後、転移魔法で魔術師団長が公爵邸の小公爵執務室にやって来た。
「なんだ、急に。至急というならお前が訪ねて来ればいいだろ!人を呼びつけおって。」
「申し訳ない。しかし、人の目に触れては不味いのだ。こちらで話そう。」
そういうと、執務机の後ろにある本棚を動かして、地下へと続く階段が現れそこを降りて行った。
「なんと、そこまで重大なことか!」
驚きの声をあげつつ、地下の階段を降り急いで後を追う。
暫くすると、ゴゴゴという音と共に本棚が元に戻っていた。
地下にある部屋には魔石のランプが煌々と灯され、大きなソファと大きなテーブルが設えてあった。
そのテーブルの上に、陶器と黒い絹糸とローズヒップの実が置かれていた。
「なんだ、これは!?」
不思議な組み合わせの品に魔術師団長は首を傾げた。
「サリエルの形代の基だ!」
「は?なんだと?詳しく。」
「この前私と一緒におじ上に会いに行ったのはこれで作られた形代だった。」
「・・・・・・・」
魔術師団長は俄には信じがたいといった顔を小公爵に向けた。
「本当だ、今日成人の儀へと出席したのはこの形代だった。そして帰りの馬車の中でこれに戻ってしまった。」
「魔方陣は?魔方陣の解析は出来たのか?魔方陣はどこにある?」
「形代自体に魔方陣を書き込んでいたようで、基に戻ればわからぬようになっている。」
「では魔術の残滓はどうだ、それを当たればわかるのではないか?」
「だからおじ上に急ぎ来てもらったのだ、サリエルは私の魔力量を既に越えているようで私では拾うことが出来なかったのだ。」
魔術は下位の魔法使いの残滓を上位魔法使いが拾い集めることは出来ても、逆は出来ないのである。
なんということだ、と、息を飲んだ魔術師団長だったが、それではと急ぎ魔術の残滓を集める呪文を詠唱し始めた。
しかし、その魔法は詠唱を終えても発動しなかった。
それは魔術師団長よりもサリエルの方が魔術量が多いということ、上位の魔法使いということになる。
「これほどとは。」
魔術師団長はグッと言葉に詰まってしまい、小公爵は頭を抱えて泣きそうな顔をしていた。
「トーホー王国での魔法使いの序列はクリス→スコット公爵→わし→お前だったが、少なくとも三番目にサリエルが入るのだな。これは予想していたより事態は不味いな。」
「ああ、どうしたらいいのだ。私のサリエルが・・・」
「サリエルに付けている侍従、あれは誓約を交わしているのか?」
「いや、交わす訳なかろう。使用人となどおいそれとさせられる魔法ではないでしょうに。」
「では、クリスと誓約を交わさせるか。」
「サリエルの魔力量が王国で3番目である以上、2人が誓約したとしても我らより魔力量が上なのだ、しかもどっちも王国に執着がない。それこそ2人とも出奔しかねないわ。誓約はお互いの心に依るのだ、唯でさえ言うことを聞かないあれらが素直に聞く訳無いでしょうよ。」
「・・・ぬぬぬ」
誓約魔法とは、相手の魔力と自分の魔力を足して2つに分けることで、お互いの命をかけて契約する、非常に厳しい魔法だ。
魔力と寿命は相関性があるので、互い同じ魔力量になると、寿命も同じになる。
死ぬまで違えことが出来ない大切な約束を結ぶ時に使う、滅多に使用できない魔法である。
大魔法使いを国へ縛るには、誓約魔法で魔力量を減らすと共に、この国で死ぬまで一緒に過ごすと誓約魔法で縛れば良いのだが、そんなことを誰かに言われて誓う者は滅多に居ない。
珠にいるが。
小公爵の親、スコット公爵夫妻がそれなのだが。
と言うのも、小公爵の母マリーはトーエー王国の辺境伯の令嬢であったのだが、早くに母を亡くし後妻と上手くいってなかった。
自身も魔法使いとしてかなりの腕前であり、魔術師の特性に引きづられ国を出奔してしまう。
越境して一市民として公爵領のギルドで冒険者として活動し始めた彼女は、紆余曲折を経て、恋仲になった男が公爵家の嫡男であり、当代の大魔法使いと知るのだが。
自国に帰りたくないマリーとマリーと一緒になりたい男(公爵)が滅多に使われない誓約魔法を持ち出して結婚したのは、今では演劇の古典の演目にもなり、小説にもなっているので、大陸の多くの人が知る話だった。
公爵はマリーと結婚する時に、マリーと誓約をした。
出奔したマリーを公爵家の夫人につけるのに、国王の尽力をも賜った。
だから、王家はそこに王家の願う約束ごとも入れ込んだのである。
王家はスコット公爵領に不介入であること、しかし、きちんと辺境の警備と納税義務は負うこと。
スコット公爵は王国に妻マリーと共に留まること、公爵一族は王家に忠誠を誓うこと、と。
マリーと誓約で魔力を半分にしたとしても、マリーも魔力量が膨大だったので、今だにトーホー王国で2番目の魔法使いであるのだが。
マリーが居なければ、スコット公爵が出奔していたのではないか、と社交界では誠しやかに囁かれていた。
公爵のように、サリエルに誰かと誓約で国に縛ってしまえば良いのだが、それは心が求めなければ出来ないのだ。
仮に第一王子が無理矢理サリエルに誓約をさせようとしても、サリエルの方が上位魔法使いなので、誓約魔法を王子がかけた傍から解除魔法を使用していくので、王子から誓約をすることは出来ない。
誓約魔法は元来、魔力量が多い者が低い者へ力を分け与え、自分の力(寿命)を減らしてでも相手へ操をたてる究極的な契約とされていた。
勇者のパーティーで一緒に魔王を倒すという強い目的がある時などに過去は利用されたことなどもあったようだが、現在ではパーティー追放やパーティー解散が日常的に行われているので、誓約をしてまでパーティーを組むなどと言うと仲間が集まら無いだろう。
同じように、結婚した後に性格の不一致で離婚することもある夫婦関係において、誓約をしてまで結婚する夫婦というのは王族であっても稀、いや、ほぼほぼ行われていないのである。
公爵は良くも悪くも魔術師の特性が強い人物なのだった。
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その運命の相手に出会えない多く大魔法使いは、何にも囚われない生活を愛し、自由を愛し、あちらこちら気の向くままそこここを放浪する生活をするのだった。
だから、簡単に国に留まらせたいのなら、この王国に住みたいと願うサリエルの番と誓約させればいいのだが、そんな簡単に運命の番に出会えるものではない。
「とにかく、この魔法については秘匿にしよう。やはりサリエルは王都で暮らすのは不向きなのではないか?」
「だが、貴族令嬢としてキチンと嫁がせてやりたい気持ちが親としてはあるのです。」
「それをサリエルが求めて居ないから、こんな魔法を使うようになったのだろう。もうそろそろ、お前たちも諦めろ。お前の娘は貴族令嬢ではなく大魔法使いだと、よくよく理解することだ、それがお互いのためだ。」
魔術師団長は大魔法使いの親として、先輩として心からのアドバイスを告げた。
「・・・ぐぬぬぬぬ。」
小公爵は唇を強く噛んで俯いたのであった。
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残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となるの4話目[魔法の先生]が不手際で消えてしまいました。スミマセン。3話の末尾に追記してありますが、良いねしてくださった方申し訳ありませんでした。
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