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王太子のやらかしの後始末
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サリエルが公爵領で水を得た魚のように楽しい毎日を送っている時を同じくして、王都では重苦しい空気が貴族の中で漂っていた。
クリスとサリエルが王立図書館へ行って魔術書を読んでいただけの事を、早合点して《クリスの隠し子》だの《親子で出奔》だのと有りもしないのに思い込みで大騒動にして、王国騎士団や憲兵まで使ってクリスの居場所を探した王太子の失態は、隠しようもなく貴族平民関係なく王都中に広がっていった。
これでは王家の面目丸潰れである。
平民街の食堂でも
「なあ、彼の人はなぜ大魔法使い様を追い落とそうとしたんだい?」
「そりゃ、小さい時から大魔法使い様は天才だったからな。才能を妬んだのさ。」
騎士団の一室でも
「全くいい迷惑だ、おれぁ休みだったのに駆り出されてさ。王都から出たってんで街道を馬で走って探し回って。大魔法使い様が馬で出国するかよ、魔法でひょい!って居なくなるさね。」
「そりゃそうさ、隠し子ったって5才だろ?13の時の子ってことになるじゃないか。アホらしい。そんなことになってたらもっと前に噂になるさ、大魔法使いの子を孕んだなんて相手だって黙ってないよ。」
「ほんとにな、昨日今日生まれたってんじゃないんだ。どうして隠し子なんて発想になるかね?」
「エライ人の頭ん中はわかんねえなー」
「ほんとだよ。それより代休くれよー」
貴族のパーティーでも
「殿下のクリス殿に対する嫉妬には困ったもんだ。」
「そうそう。魔法大臣の小公爵もたった5つの愛娘を領地へと送ることになって、気を病んだそうで今休職してしまって、王宮へは出仕してないとか。」
「そうそう。魔術師団長もクリス殿への王太子の為さりように憤慨して、辞表を提出したとか。今は陛下預かりになっているそうですけれど、時期をみて受理するのでしょうな。」
「では次の団長は?ご長男が継がれるのか?確か魔術師団にいるのでしょう。」
「ああ、でも殿下と同級だったこともあり、昔からクリス殿に言いがかりをつけていた殿下に愛想も尽きて側近の話を断ったとか。それで団長を継ぐのかねぇ。」
「じゃあ、公爵家の一門がみな領地に帰ってしまうのか。」
「そうなったらそれこそ薮蛇だな。」
「「あー先を思うと頭が痛いのー・・・」」
王宮では国王が王太子を呼んで叱責をしていた。
「お前は自分が何をしたかわかっているのか!」
こめかみに青筋をたてて、口から唾を飛ばして大激怒である。
「大変申し訳ありません。」
王太子のエドワードは色の無い顔で何度目かわからない謝罪を繰り返していた。
「魔法大臣は休職、魔術師団長は辞職願。クリストファーはスコット公爵領へと引き込もってしまった。最悪の事態だとわかっているのか!」
「申し訳ありません。」
スコット公爵家は建国時の王弟が臣籍降下した時に興された名門である。
時に、スコット家から王家に嫁入りしたり、王家から王女が嫁いだり婿入りしたり。
傍流とはいえ王家の血が流れているし、王位継承権も順位は低いが持っている一族だ。
しかも今代の大魔法使いが居る家である。
喧嘩するにも相手が悪すぎる。
もし、もし万が一、現王家に反感を募らせ反乱の意思を持ったらどうするのか!
このまま不協和音が続くといずれ内乱に向かってしまう。
王国騎士団と私設の騎士団とは差が歴然だとしても、相手側には大魔法使いが存在しているのだ!
魔術師団の大半も公爵家の家門からの者が多い。
団長が辞任した暁にはその者たちも辞めてしまうだろう。
すると、王家と貴族との武力の均衡が崩されてしまう。
「なぜお前は昔からクリスをそんなに目の敵にするのだ!」
「う!!」
王太子は目を反らし、言葉に詰まった。
「スコット公爵家は権力に対しては欲が無い。クリスが魔術師団に入ろうが入らなかろうが、長兄がお前の側近になろうがなるまいが、そっとしておけばよかろう。好きに、自由にさせておけば何にも起きないのだから。」
「それは陛下がスコット公爵にしているように、ということですか。」
王太子が不満げに口を挟んだ。
「そうだ!それで何か国に問題が起きたか!スコット領からたくさんの税が国へ納められ、辺境の脅威からも守られ、国は平穏で何が文句あるのだ!お前がそんなでは、王位は継がすことが出来ない。魔法大臣と魔術師団長の留意が出来なければ廃嫡し、次男のルイスを王太子とする!これは決定だ。良いな!期限はバカンスシーズン前までだ。わかったら居ね!」
王太子の余分な一言に国王は猛烈に怒り狂い、とうとう廃嫡という言葉まで出てしまった。
言い終わるとシッシッと手で追い払われる。
これは由々しき事態である。
王太子は問題だらけの側近を怒鳴り散らし、事態打開の案を練った。
王太子がなぜクリスを気にするのか。
単に魔法が自分より上手いからであった。
世間が見抜くほど簡単な理由、嫉妬である。
が、そこには少しばかし面倒な問題が絡んでいた。
王太子の母の王妃は、貴族学園時代、公爵を好いていた。
父親世代一番の魔法使い、その自由で豪快活達な性格な上にイケメンな公爵に惚れていた令嬢は数知れず。
同じ年の侯爵令嬢である王妃も婚約の打診を親をせっついてしてもらった。
王妃の領地は南部の大領主である。北部の公爵家との政治的な旨みは多分にある。
しかし《本能の求める相手にしか引かれない》という魔術師の特性を色濃く引く彼の人には全く効かない。
そしてある時、隣接他国の辺境伯令嬢とあっという間に結婚してしまった。
王家に嫁ぎ子を為した後であっても、喉に刺さった魚の骨のように、公爵家の事が気になってしょうがない。
自分の息子と公爵家の息子を比較しては、溜飲を下げていた。
魔法大臣の小公爵は彼の方ほどの人物でなかったから。
なのに、傍系のクリスは幼年期からみるみると頭角を表し、その自由な振る舞いや言動に若き日の公爵の姿を見た王妃は王太子にもっともっとと攻め立てた。
しかしクリスは王太子など気にも留めず今代の大魔法使いの二つ名まで手に入れた。
クリスの飄々とした佇まいに、王妃から彼の方を拐った憎っき公爵夫人の高笑いする声が聞こえるよう、全て王妃の妄想なのだが。だいたい公爵夫人は王妃が公爵に懸想していたことすら知らないのであるが。
ただでも年下のクリスの才能に嫉妬していた王太子は、クリスと比較して行われる母の叱責に心が囚われてしまったのであった。
王太子は偏狭で浅慮に成長していった。
すると、周りには王太子のイエスマンが取り巻き、それがより一層拗らせてこの大騒動に発展してしまったのであった。
王太子は謝罪の手紙を認め、小公爵と魔術師団長に正式に詫びを入れた。
側近も各家の当主も担ぎ出して、大々的な謝罪行脚を行った。
王妃に至っても、王妃の謝罪だけでなく、自分の生家の当主である兄に謝罪へと向かわせ、小公爵夫人と魔術師団長夫人の公爵の妹を王宮のお茶会へと招待しそこで頭を下げ膝を折って謝罪した。
ここまで王家が折れたことで、小公爵と魔術師団長は職務へと復帰した。
ここで、国王陛下から王太子の不肖の詫びと少なくない慰謝料によってこの件は手打ちになったのである。
ここまで、3ヶ月の月日が経過したのだった。
「問題も解決したし、さあ、そろそろ王都へと戻っておいで」
と、小公爵がサリエルに手紙を出したのだがサリエルは、
「領地が肌に合うので、王都へは戻りません。祖父母である公爵夫妻の許可を得ています。」
と、なんとも悲しい返事を返してきた。
サマーバケーションに、小公爵夫妻が赤子の嫡男と共にサリエルを連れ戻しに領地へと赴いたが、領都の自由な空気と祖父良く似た性格のサリエルは、《より自由に》という魔術師の特性が強くなり、頑として王都へ戻ることを拒否した。
孫と甥のクリスが居る生活を楽しんでいる両親の公爵夫妻は強力な援軍として公爵領に引き留めたこともあり、その年はサリエルは領地で暮らすことを両親もしぶしぶ認めざるを得ないのであった。
結局これ以降毎年このやり取りが10年も続くことになるのだが、小公爵夫妻はこの時はそれに気づくことが出来なかったので、後にこの初年度に連れて帰らなかったことをたいそう後悔したのであった。
一方サリエルは領地で、生き生きと、のびのびと日々を過ごし、一流の魔法使いへと成長していくのであった。
クリスとサリエルが王立図書館へ行って魔術書を読んでいただけの事を、早合点して《クリスの隠し子》だの《親子で出奔》だのと有りもしないのに思い込みで大騒動にして、王国騎士団や憲兵まで使ってクリスの居場所を探した王太子の失態は、隠しようもなく貴族平民関係なく王都中に広がっていった。
これでは王家の面目丸潰れである。
平民街の食堂でも
「なあ、彼の人はなぜ大魔法使い様を追い落とそうとしたんだい?」
「そりゃ、小さい時から大魔法使い様は天才だったからな。才能を妬んだのさ。」
騎士団の一室でも
「全くいい迷惑だ、おれぁ休みだったのに駆り出されてさ。王都から出たってんで街道を馬で走って探し回って。大魔法使い様が馬で出国するかよ、魔法でひょい!って居なくなるさね。」
「そりゃそうさ、隠し子ったって5才だろ?13の時の子ってことになるじゃないか。アホらしい。そんなことになってたらもっと前に噂になるさ、大魔法使いの子を孕んだなんて相手だって黙ってないよ。」
「ほんとにな、昨日今日生まれたってんじゃないんだ。どうして隠し子なんて発想になるかね?」
「エライ人の頭ん中はわかんねえなー」
「ほんとだよ。それより代休くれよー」
貴族のパーティーでも
「殿下のクリス殿に対する嫉妬には困ったもんだ。」
「そうそう。魔法大臣の小公爵もたった5つの愛娘を領地へと送ることになって、気を病んだそうで今休職してしまって、王宮へは出仕してないとか。」
「そうそう。魔術師団長もクリス殿への王太子の為さりように憤慨して、辞表を提出したとか。今は陛下預かりになっているそうですけれど、時期をみて受理するのでしょうな。」
「では次の団長は?ご長男が継がれるのか?確か魔術師団にいるのでしょう。」
「ああ、でも殿下と同級だったこともあり、昔からクリス殿に言いがかりをつけていた殿下に愛想も尽きて側近の話を断ったとか。それで団長を継ぐのかねぇ。」
「じゃあ、公爵家の一門がみな領地に帰ってしまうのか。」
「そうなったらそれこそ薮蛇だな。」
「「あー先を思うと頭が痛いのー・・・」」
王宮では国王が王太子を呼んで叱責をしていた。
「お前は自分が何をしたかわかっているのか!」
こめかみに青筋をたてて、口から唾を飛ばして大激怒である。
「大変申し訳ありません。」
王太子のエドワードは色の無い顔で何度目かわからない謝罪を繰り返していた。
「魔法大臣は休職、魔術師団長は辞職願。クリストファーはスコット公爵領へと引き込もってしまった。最悪の事態だとわかっているのか!」
「申し訳ありません。」
スコット公爵家は建国時の王弟が臣籍降下した時に興された名門である。
時に、スコット家から王家に嫁入りしたり、王家から王女が嫁いだり婿入りしたり。
傍流とはいえ王家の血が流れているし、王位継承権も順位は低いが持っている一族だ。
しかも今代の大魔法使いが居る家である。
喧嘩するにも相手が悪すぎる。
もし、もし万が一、現王家に反感を募らせ反乱の意思を持ったらどうするのか!
このまま不協和音が続くといずれ内乱に向かってしまう。
王国騎士団と私設の騎士団とは差が歴然だとしても、相手側には大魔法使いが存在しているのだ!
魔術師団の大半も公爵家の家門からの者が多い。
団長が辞任した暁にはその者たちも辞めてしまうだろう。
すると、王家と貴族との武力の均衡が崩されてしまう。
「なぜお前は昔からクリスをそんなに目の敵にするのだ!」
「う!!」
王太子は目を反らし、言葉に詰まった。
「スコット公爵家は権力に対しては欲が無い。クリスが魔術師団に入ろうが入らなかろうが、長兄がお前の側近になろうがなるまいが、そっとしておけばよかろう。好きに、自由にさせておけば何にも起きないのだから。」
「それは陛下がスコット公爵にしているように、ということですか。」
王太子が不満げに口を挟んだ。
「そうだ!それで何か国に問題が起きたか!スコット領からたくさんの税が国へ納められ、辺境の脅威からも守られ、国は平穏で何が文句あるのだ!お前がそんなでは、王位は継がすことが出来ない。魔法大臣と魔術師団長の留意が出来なければ廃嫡し、次男のルイスを王太子とする!これは決定だ。良いな!期限はバカンスシーズン前までだ。わかったら居ね!」
王太子の余分な一言に国王は猛烈に怒り狂い、とうとう廃嫡という言葉まで出てしまった。
言い終わるとシッシッと手で追い払われる。
これは由々しき事態である。
王太子は問題だらけの側近を怒鳴り散らし、事態打開の案を練った。
王太子がなぜクリスを気にするのか。
単に魔法が自分より上手いからであった。
世間が見抜くほど簡単な理由、嫉妬である。
が、そこには少しばかし面倒な問題が絡んでいた。
王太子の母の王妃は、貴族学園時代、公爵を好いていた。
父親世代一番の魔法使い、その自由で豪快活達な性格な上にイケメンな公爵に惚れていた令嬢は数知れず。
同じ年の侯爵令嬢である王妃も婚約の打診を親をせっついてしてもらった。
王妃の領地は南部の大領主である。北部の公爵家との政治的な旨みは多分にある。
しかし《本能の求める相手にしか引かれない》という魔術師の特性を色濃く引く彼の人には全く効かない。
そしてある時、隣接他国の辺境伯令嬢とあっという間に結婚してしまった。
王家に嫁ぎ子を為した後であっても、喉に刺さった魚の骨のように、公爵家の事が気になってしょうがない。
自分の息子と公爵家の息子を比較しては、溜飲を下げていた。
魔法大臣の小公爵は彼の方ほどの人物でなかったから。
なのに、傍系のクリスは幼年期からみるみると頭角を表し、その自由な振る舞いや言動に若き日の公爵の姿を見た王妃は王太子にもっともっとと攻め立てた。
しかしクリスは王太子など気にも留めず今代の大魔法使いの二つ名まで手に入れた。
クリスの飄々とした佇まいに、王妃から彼の方を拐った憎っき公爵夫人の高笑いする声が聞こえるよう、全て王妃の妄想なのだが。だいたい公爵夫人は王妃が公爵に懸想していたことすら知らないのであるが。
ただでも年下のクリスの才能に嫉妬していた王太子は、クリスと比較して行われる母の叱責に心が囚われてしまったのであった。
王太子は偏狭で浅慮に成長していった。
すると、周りには王太子のイエスマンが取り巻き、それがより一層拗らせてこの大騒動に発展してしまったのであった。
王太子は謝罪の手紙を認め、小公爵と魔術師団長に正式に詫びを入れた。
側近も各家の当主も担ぎ出して、大々的な謝罪行脚を行った。
王妃に至っても、王妃の謝罪だけでなく、自分の生家の当主である兄に謝罪へと向かわせ、小公爵夫人と魔術師団長夫人の公爵の妹を王宮のお茶会へと招待しそこで頭を下げ膝を折って謝罪した。
ここまで王家が折れたことで、小公爵と魔術師団長は職務へと復帰した。
ここで、国王陛下から王太子の不肖の詫びと少なくない慰謝料によってこの件は手打ちになったのである。
ここまで、3ヶ月の月日が経過したのだった。
「問題も解決したし、さあ、そろそろ王都へと戻っておいで」
と、小公爵がサリエルに手紙を出したのだがサリエルは、
「領地が肌に合うので、王都へは戻りません。祖父母である公爵夫妻の許可を得ています。」
と、なんとも悲しい返事を返してきた。
サマーバケーションに、小公爵夫妻が赤子の嫡男と共にサリエルを連れ戻しに領地へと赴いたが、領都の自由な空気と祖父良く似た性格のサリエルは、《より自由に》という魔術師の特性が強くなり、頑として王都へ戻ることを拒否した。
孫と甥のクリスが居る生活を楽しんでいる両親の公爵夫妻は強力な援軍として公爵領に引き留めたこともあり、その年はサリエルは領地で暮らすことを両親もしぶしぶ認めざるを得ないのであった。
結局これ以降毎年このやり取りが10年も続くことになるのだが、小公爵夫妻はこの時はそれに気づくことが出来なかったので、後にこの初年度に連れて帰らなかったことをたいそう後悔したのであった。
一方サリエルは領地で、生き生きと、のびのびと日々を過ごし、一流の魔法使いへと成長していくのであった。
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残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となるの4話目[魔法の先生]が不手際で消えてしまいました。スミマセン。3話の末尾に追記してありますが、良いねしてくださった方申し訳ありませんでした。
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